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魔女と使い魔のバタバタな日々  作者: 時雨瑠奈
人形の魔女
1/35

魔女は真っ白な宝物を見つける

 以前別の名前で書いていた作品を

リニューアルしたものです。

 魔女・スピカ=ルーンは本人曰く、悪魔的な魔女であ

る。

 本当は心優しく繊細だというのは、彼女の親友リイラ

=コルラッジだけが知っている。

 スピカは急に使い魔を持ちたくなり、人身売買を行っ

ているオークション会場へとやって来た。

 壇上には、せた中年の男と売り物らしき美しい少年

がいた。

 少年の背丈はかなり小柄で、透き通るような淡い青い

瞳と、鮮やかな金髪が印象的だった。

 不安そうにキョロキョロと辺りを見回し、金持ちらし

き人々を見やっている。

 スピカはじいっ、と少年を見た。綺麗きれいだ。

見た目はもちろん、その中身――魂さえも。

 この子に決めた。スピカはニヤリと(当人以外には

にこりに見えるが)笑った。

 彼女は雪のような髪をツインテールにし、宝石の如

く綺麗な紅い瞳をしたとても可愛かわいらしい魔女だった。

 が、本人がイメージする魔女との相違そういのため、彼女

は悪魔的というのを多少無理にでも貫こうとする。

 本来動物などを主流とする使い魔に、人間を選択

したのもそのせいだ。

 スピカがぼうっとしている間に、オークションは

すでに始まっていた。

「五千ヌフが出ました! 他に入札の方はおられま

せんか!?」

「……一万ヌフ」

 まさに銀の鈴を鳴らしたかのような声が、スピカの

口からこぼれ出た。

 一瞬、会場がしん、となる。

はっと顔を上げた少年がスピカの方を見た。

 スピカの紅い目と、少年の青い目がかちあう。

彼の顔が、助けを求めるようにスピカを見つめる。

 彼女はにっこりと笑うと、彼にだけ分かるようにうなず

いて見せた。

 と、さっき五千で入札した男が苛立たしげに二万、

さけんだ。

 スピカがひるんだ様子もなく五万と言い、二人の

小競り合いが始まる。

 最終的に、スピカが百万オンズでその少年を落札

した。

 ギョッとしたように、競り合っていた男が静かに

なる。

 この世界にはお金は四種類あり、銅貨がカトル、

銀貨がサンク、金貨がヌフで、さらに上級金貨と

いう物があり、それがオンズだった。

 かなりの金持ちでも、そうそう持っている物

ではない。

 これは彼女が幼い頃から使わず貯めていた、全

財産だった。

 が、彼女にとって、お金にさほどの価値はない。

それよりも、本当に真っ白な清らかな魂の持主、

この少年こそ、彼女にはかなりの価値のある物だ

った。

 そのためならば、いくらだろうと構わない。

見た目は綺麗でも、中身が真っ黒、もしくは少し

汚れている、という人間はかなり多い。

 私は運がよかった、とスピカは思った。

ホッとしたように、少年がこちらに笑顔を向ける。

 彼女は笑顔で少年に手を差し伸べ、少年は赤く

なって彼女の手を取った――。

 魔女と使い魔になる人間の少年の

物語です。恋愛要素も混じります。

 

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