第1章 凪家の扉 ― ぽかぽかの原点 ―
アークシステムズに届いた一本の依頼。
送り主は、凪くんの父――凪メディカルクリニック院長・陽一。
そしてそこから、凪くんの「家族システム」が動き出す。
[病院前・午前10時]
雲ひとつない青空。海風がやさしく流れる。
アークシステムズの車がゆっくりと病院前に停まる。
「……おい、凪。
“クリニック”って言ってたよな?」
「え、はい。そうですけど……」
環は助手席から窓の外を見ながら
「え……なんか想像していたより大きいんですけど……。
クリニックというか、ほぼ総合医療センターですよね?」
「……まさか、こんなでかい病院だったとはな。」
「あはは……みんなそう言うんですよ。
言いませんでしたっけ? 実家、僕以外みんな医者なんです。」
「えっ!? お医者さんの家系だったんですか!?」
「はい。父が院長で、兄が3人。全員医者です。
僕は医者に興味がなくて……でも父さんが、
“自分のやりたいことをやれ”って言ってくれたんです。」
「なるほどね〜。そりゃ“自由設計”の家だな。」
環は戸惑いながら
「……すごいですね。
なんか、“ぽかぽか邸”とは別世界に来たみたいです。」
「ははは……別世界って。環さん、大げさですよ〜。」
(3人、笑いながらエントランスへ)
◇◇◇
[エントランス内]
自動ドアが開き、ほのかなアロマと陽光が差し込む。
受付の奥に、美鈴の筆跡で残された標語が目に入る。
環は小声で
「……“人を治すことはできても、癒すのは人の心だけ”。」
「……いい言葉だな。」
「母さんの言葉です。
僕が“心を支えるシステム”を作りたいって思ったの、
たぶん、この言葉の影響だと思います。」
環は静かに微笑む
「……凪くんの“ぽかぽかの原点”はここなんですね。」
凪は照れくさそうに
「へへ。そうかも。
今日、ここにみんなを連れて来られてよかったです。」
柊は優しく
「さぁ、“家族システム”のアップデート、始めるか。」
懐かしさと少しの緊張。
“家族”という言葉が、今でも心の奥で小さく疼く。
けれど、もう逃げない。
あの病院へ――ぽかぽかの原点へ。




