プロローグ
【依頼 ― 凪メディカルクリニック】
アークシステムズ 午前9時
いつものオフィス。柊がコーヒーを片手にモニターを見つめている。
凪は隣の席で新しい案件のリストを整理していた。
「……おい、凪。これ、お前んとこの名前じゃないか?」
「え?……“凪メディカルクリニック”? あ、父さんの病院です。」
「お父さんって、院長なんだっけ?」
「はい。何か来てました?」
「正式な依頼だ。“院内システムの見直しと運用改善”。
──依頼元:院長・凪陽一。」
「……まじですか。父さん、ITに興味あったかなぁ……」
環が書類を抱えて通りかかり
「新しい案件ですか?」
「あぁ、凪の実家の病院から。システム更新の相談だってさ。」
「えっ、凪くんの……実家が病院!?」
「(苦笑)まぁ、そうなんですよ。
でも、僕がやるとなんかややこしくなりそうですけど……」
「いや、お前が行け。
“家族案件”ほど本音でぶつかれる現場はない。」
「……でも兄たち、全員医者で、僕だけSEですよ?
『現実逃げた』ってまだ言われそうです。」
「だったら、その“逃げた弟”がどれだけ進化したか、見せてやればいい。」
(柊が笑い、凪がため息をつく)
環なんか、面白そうですね。」
「うん。たまには“家族システム”のメンテナンスも必要だ。」
凪が苦笑しながら
「……了解です。じゃあ、家族アップデートしてきますか。」




