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現代科学における文化:ナナ医師とカラスの村  作者: カンボロ


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3/7

二年前


その朝、講義室はいつもよりわずかに活気づいていた。何週間も空席だった椅子のいくつかが、ようやく再び埋まり始めた。ナナ・アユミ医師は眼鏡の奥から静かにそれを見つめる。クラスに最後に合流したレノ・バルトロガが、いまではいつも一番乗りで教室に来ていた。


ナナ医師は顔を上げ、今日の出席人数に少し驚いた。普段、この「現代科学における神秘文化論」の授業に残るのは五、六人ほど。しかし今日は十人。五十人という定員には遠く及ばないが、それでも教室の空気はいつもより少しだけ明るくなっていた。


数名の学生が、彼女に微笑みを向ける。昨日起きた出来事は、誰にでも起こりうること。彼女が示した覚悟は、いつか多くの人に伝わるはずだとナナ医師は思った。科学では説明できない死が存在するという信念。そして、人の人生、特に子供の魂にまで影響を与える闇の力があるかもしれないという執念。


その話は瞬く間に広まり、欠席していた学生の何人かは再び戻ってきた。単位のためだけではなく、純粋な好奇心のために。そして、ほとんど崩壊寸前のこの講義を守るために協力したいと言う者さえいた。さらには、彼女の謎めいた探求に寄り添いたいと。


ナナ医師は一人ひとりの顔を見つめる。十人の若者たちの中に、言葉にできない何かを感じた。好奇心、緊張、そして……かすかな恐れ。


彼女は黒板に書く。


「闇の儀式 物質主義と秘教的崇拝の狭間で」


チョークがわずかに震えた。その瞬間、教室の空気が重くなる。静寂。まるで“何か”が聞き耳を立てたかのように。


「では、いつ全てが始まったのか話します。はっきりとは言えませんが、おそらく二年前……あの頃です。すべてがまだ、壊れる前。」


夫のアドリエンは不動産会社で働き、出張が多かった。契約、土地調査、投資家との会議。生活は安定しており、波風はほとんどなかった。

彼女自身は大学で教え、家では長年共に暮らす年配の女性が、小さな娘ルナの世話をしてくれていた。ルナはその頃四歳だった。


毎日は穏やかだった。

朝は「ママ早く、朝ごはん冷めちゃうよ!」と笑うルナ。

夜は絵本と虫の声、温かいお茶の香り。

何もおかしなことなどなかった。

前触れなど、どこにも。


その夕方、知らせは突然届いた。


路地の突き当たりの古い家がついに売れた。


その噂は風のように広がった。長く放置され、竹の垣根と古いスターフルーツの木の影に隠れてきたその家。若い夫婦が買ったらしいという。


村は小さくざわついた。

買い手ではなく、家そのもののせいで。


長い間、あの家には“何かいる”と信じられてきた。夜中の足音、勝手に開く窓、カーテンの裏に立つ白い影。その手の噂は山ほどあった。


だがナナ医師にとって、それはただの話に過ぎなかった。朝、車で通り過ぎるとき見えるのは、みすぼらしい竹垣と道路に垂れるスターフルーツの枝だけ。窓の向こうはただの埃と静けさ。


その家がついに人の住む場所になる。

周囲には資材が運ばれ、職人たちが出入りし始めた。


誰も警戒しなかった。

その日こそが、彼女の人生を変える始まりだとは知らずに。


一か月後、家は完全に住み始められていた。


通りかかる度に、男が必ずと言っていいほど縁側で新聞を読み、コーヒーを飲んでいた。薄い影を纏いながらも奇妙に魅力的な雰囲気。説明できない秘密を抱えているような。

彼女はふと夫アドリエンと比べ、その瞬間に首を振って雑念を振り払う。


だがそんな印象を脇に置けば、夫婦はとても親切だった。挨拶を欠かさず、子供に優しく、収穫した野菜や手作りのお菓子を周囲に分けて回る。

妻のララスは特に柔らかい雰囲気で、泣く子供をあやし、転んだ子を抱き上げて慰め、庭には鮮やかな花が咲き乱れていた。


村人たちは自然と二人を受け入れ、感心すらしていた。


しかし、その優しさの裏で、目に見えない何かが静かに息を潜めていた。それはやがて、彼女自身の母としての本能を試すものになる。


最初の“贈り物”が来たのは、彼女が家にいなかった日だった。

面倒を見ていた年配の女性が言う。

夫婦は礼儀正しく、金のリボンがついた菓子を手土産に訪ねてきたと。ルナを気に入り、髪を撫でたり少し話をしたらしい。


彼らは善良そうだった。

それでも、彼女の中で何かが囁いた。

「距離を置け」と。


包みは高級で、甘い香りがした。けれど、直感が拒んだ。


その夜、彼女はルナに食べさせないよう強く言った。理由などなかった。ただの不気味な予兆。


翌日、彼女はその菓子を大学に持っていき、同僚に渡した。理由は分からない。ただ、家から遠ざけたかった。


その小さな判断が、後に彼女とルナの命を救うことになるとは知らずに。


しかし、夫婦の存在は少しずつ生活に影を落とし始めた。


数週間後、年配の女性が突然、実家に帰りたいと言った。

準備はすでに整えており、代わりの若い女性まで雇っていた。

その名はネナ。

素朴で優しげな女性だった。


最初は何も問題なかった。

しかしそこに、見えない穴が開いた。


ネナの経験不足と、彼女自身の油断。

それが悲劇の入口だった。


ついに、ルナは口にしてしまった。

本来なら決して食べるはずのないものを。

誰かが与えた“何か”を。


菓子は普通の贈り物に見えた。清潔で上品で、何の疑いも持てない外見。しかし直感は最初から警鐘を鳴らしていた。


時が経つにつれ、違和感はひとつの仮説に変わる。

それは“セラサ”かもしれない。

体内に入った時点で、子供の魂に印を刻み、闇の向こうから何かを呼ぶための目印となるもの。


それはただの推測から、日に日に確信へと変わっていった。



---



「セラサ」は古いジャワ語で、供物を意味する言葉である。この語は「セサラ・ブミ」という表現にも用いられ、そこでは大地への供え物という意味になる。

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