ソシャゲ世界に潜む混沌
定番な現代ファンタジー世界への転生をベースにしたネタ。
世界設定の解説ばかりなので、苦手な方は回避をお願い致します。
ある日、とある国の極一部にて大きな空間の歪みが観測された。
調査に向かった特殊な部隊により、調査開始の報告からわずか数分で解決の連絡が送られた珍事があった。
〜〜〜〜〜〜
「おはよう。 それでは朝会をはじめる……前に転入生の紹介だ」
『おおーーー!!』
思いがけないイベントの発生で沸く教室。
だが、その教室にいる俺は、決して喜べなかった。
俺は生まれながらのモブだ。
なぜ分かるかと言えば、俺の今の家族全員の顔が……特に目が見えないからだ。
あ、あーー。 誤解しないで欲しい。
目が見えない、の意味は視覚障害ではなく前髪が作る影が濃くて、目が付いているのかが分からないのだ。
俺もそう。 今の俺は家族みたいに影が濃いのとは違うが、完全にメカクレっ娘なのだ。
この学校はいわゆる特殊な才能だか能力だか体質だか遺伝子だかを持つ女子だけが集められた国立の小中高一貫教育の学校である。
何とも言えないナニカは主に思春期の女子からしか確認できないナニカで、世界の裏に居る人類の天敵と言われているモノと武器を手にして戦う為に必須のナニカらしい。 なんかゲームの設定臭い。
その特殊なナニカは数値化されており、俺で計測された数値は学校によくいる学生並の数値。
この数値は段階管理されていて、数値が高ければ☆の数が増える。 最高は☆4らしいが、俺はあと少しで☆2になりそうな☆1。 なんか前世のよくあるソシャゲ臭い。
学業も平凡域で、特に突出したものは無い。
体も同年代のほぼ平均値で、いかにもザ・モブ。
今や娘や女子を強調しているから察してくれていると思うが、俺は転生者だ。
前世では会社員をしていたが、なんか死んで気づいたらこの現代ファンタジーでソシャゲ風で並行世界みたいな異世界に転生した。
前世の事はまあ、十ン年も新しい生を送っていれば折り合いはつく。
それでいて今更女の子になりきるには前世の年齢が年齢だったので、言動は男寄りってのが唯一の個性になるだろうか。
そんな俺の学生生活に、変化が起きた。
クラス担任が転入生と言っていたからには、誰か新メンバーが来たのだろう。
これはあまりにも怪しい話なのだ。
普通は中学生の間までに国に根こそぎ発見されて、この学校へ放り込まれる。
なのに高校生になっての転入生は、かなり異例なのだ。
これが他国からの転入生だったら、スパイを疑うレベルの不審事と言えば伝わるだろうか?
どこの国も、自国の貴重な防衛戦力をなんの理由もなく手放したい等と思わないだろう。 つまりそういう事だ。
なので俺は、警戒心MAXで転入生が入ってくるであろう教室の扉を睨む。
がらり。
来た。
開いた扉から入ってきたのは、前世の感覚では何ともアバンギャルドな髪色である鮮やかな水色なロングヘアで、どう着てるのかが分からないヒラヒラした服、股下数センチから先はシースルー素材とか言う誰もが恥ずかしくて穿きたがらないであろうスカート姿の美プロポーション長身女性。
「ふたりなんだ……」
だけじゃなかった。 他の子が言葉を漏らした様に、水色の髪の子の後にもう1人入ってきた。
目に付くのは、手にしたいかにも魔法使いな長杖と下手な刺繍で顔みたいなモノがあるがいかにも魔法使いでございと言った黒い三角帽子に、黒をメインにして体を覆える様な大きいマント。
その大きなマントの隙間からチラチラ見える、子供がすこし背伸びしてますって印象のワンピース。
このふたりはアニメ化したラノベの【この碌でもない世界に破滅の呪いを】略して、【このロク】のメインキャラのふたりだーーーーーー!?
これ、コラボキャラの参入イベントだーーーーーーーっ!!!
これだけで分かった。 確定した。
この世界は、ソシャゲの世界だと。
…………このソシャゲは他にもコラボしたのかな? 有名な作品のキャラがまた来てくれるのかな?
ソシャゲは前世でひとつしかやってなかったから、このソシャゲはやってなくて詳しく知らないからなぁ。
でもこんな大きめのタイトルとコラボ出来る資金があるソシャゲなら、まだ来るよな? ワクワク。
モブな主人公、これからの人生に小さな楽しみが芽生える。