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ささやかな情交

ティーフォーツー

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

紅茶ブランドを

『フランツ・カフカ』にするか『ヨゼフ・ラダ』にするかで考え中です。


何となく静かな書店街を出歩きたくなった。何をするでもなく、ただ街並みを眺めたくなった。隣にお前が居てくれたら、もう何も言う事は無いだろう。という訳で。

「書店に行きたい」

「うん」

「来るか?」

「勿論。嫌じゃなければずっとくっ付くよ。書店ならあの街に行きたい」

指先で頬を押さえながら、嬉しそうに花を飛ばしたのは言うまでもない。


街に繰り出して、コンクリの地面を歩く。暑くて堪らない。けれどもその日差しが本を焼き、独特の甘い匂いを放っていた。それを胸いっぱいに抱え込みながら、巷で有名な大型書店を訪れた。隣には暑さにも負けず、ぴったりと寄り添って隣を歩く女の姿。それでも暑いのか、額には玉のような汗が浮かんでいる。

一階の特設コーナーを軽く見る。やはり今の話題はホラー小説のようで、真っ黒な背景に、白地のおどろおどろしい文字が描かれていた。

そういえば、彼奴はホラーは……。そう思って隣を見ると、忽然と姿を消していた。見渡して姿を探すと、レジ横の小さな棚を熱心に眺めていた。俺に気が付くと、顔を上げる。

「欲しい本は見つかった?」

「いや。ピンと来たのはなかった」

俺も女が見ていた棚に目を移す、あどけなくて、柔らかい、まるで絵本のようなタッチで描かれたイラスト。薄い正方形が陳列されているのを見て、これは紅茶の棚なのだと直感した。

どうやら此方は惹かれる物があったようで、幾つか手に取ってはパッケージを眺めている。しかし最終的に決めたようで、絵本の王様の様なものを手に取ってレジへと向かっていく。

「いいお買い物。フランツ・カフカの紅茶好き」

「なら良いよ」

頬が桃色に染まっているのは何も暑さだけでは無いだろう。

「まだ街並み見ていいか?」

そう言うと先程以上に頬を染めて頷いた。


店を出て、年代物の書跡が硝子身体映し出された古本屋を眺め見て、昔ながらの玩具を取り扱う骨董品を抜ける。世話になったもう一つの大型書店は今は更地。再建を望む。そうして曲がり角を曲がった所に、煉瓦造りの外観を発見した。

周りの世界が模型の様な、凹凸のないつるりとした世界の中で、此処だけはしっとりと時代を継承し続けている。いいな、とても。願わくばこれからも続いてくれることを祈る。

寄り添う女を横目で見ると、子供のようなキラキラした目でこの外観を眺めていた。

「入っても?」

「入っていい?」

中に入ると温暖な光が降り注ぐ雑貨屋だった。雑貨は主に猫をあしらった物。猫のトートバッグ、猫の小銭入れ、猫の箸置き等々……。猫好きが見たら思わず手が伸びそうな光景だった。眺めれば眺める程に、ついつい隣人を思い浮かべてしまう。……猫に似ているから。

女は今度は自由に歩き回る真似はせず、ただ俺の手首を掴んだまま、熱心に前を見つめていた。視線の先にはポットとカップが一体になった白猫の茶器。胴体部分に『ティーフォーツー』と文字が走っている。人間はよく考えるもんだな……。

「買って来てもいい?」

「あぁ」

「出してやろうか?」

「自分で買う」

そう言うとにこにこの笑顔で現品を持っていく。在庫と交換する為に。


「この間ね、ネットでこのティーフォーツーを見たんだ。これで紅茶飲みたいなって。一つのセット品だからお揃いだし。今日も紅茶買えたから、帰ったら一緒に飲もう」

女は今日の戦利品を胸に抱えて隣を歩く。何時になく、ずっと、ずっと、楽しそうだった。

女特有の考えであろうか? 親しい物とお揃いにしたいというのは。何かしらの共感覚を持っていたいというのは。揃ってなくても、愛は変わらないのに。

「お揃いだからか?」

「そう、お揃い。一緒の物を使ってくれてるのを見ると、嬉しくなる」

まぁ喜んでくれるなら。

買い物しなかった事を除き、昨日の私の行動そのものです。

何の気なしに本屋に行きたくなって、街を彷徨うの。

茶葉と茶器セットを見つけたら、あの子はきっと買うだろうと。

この場所に覚えがある方は、ルート、買ったもの共々想像着くと思います。

本当に全てが本の為にある、本の街です。


紅茶ブランドは元ネタがあります。

由来について調べて、変わらず命名を迷ってます。

ちなみに『フランツ・カフカ』命名理由は、

チェコ出身の作家だから。

柔らかいタッチのイラストが、子供が見る夢のようだから。

※彼は夢の世界をよく描くので。


『ヨゼフ・ラダ』と迷っているのは、

チェコ出身の絵本作家だから。

彼の描く絵の雰囲気が紅茶のパッケージと似ていたから。




ここから先、もしかしたら気に触るかも知れません。

私の勝手な考えです。


お揃いにして、共感覚を得ようとするの、女性特有の感性だと思うんですよ。

あんまり男性はお揃いとか望まないと言いますか。

違うもの使っていても、別に何も思わないと言いますか。

勝手な偏見なんですけど。


少女って同じ物持って、○○の証とかってよくやるんです。

それが友情だったり、恋愛だったり。

そうやって幼い頃から共感性と共に生きているから、よく同意や同調、共感を求めるのでは無いかと。

勝手な偏見なんですけど。

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