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第11話 ダンス部始動

 週が明けて月曜日、教室に入った俺は自分の席で眠い目を擦っていた。


 昨日は何もする事がなく、昼まで寝ていたのだが、起きてから配信サービスで気になっていたアニメを見始めた所、続きが気になって一気に見てしまった。割と話数の多いアニメで、見終わったら夜中の二時だった。


「おーい、ひしっち! おーい!」


 ぼーっとしていると急に肩を叩かれた。


「うえっ?」


 予想外の事に思わず身体がビクっと反応して変な声が出た。


 肩を叩かれた方を見ると笹本が「うえって面白すぎ」と言ってお腹を抱えて笑っている。


「何か用?」


 なんかイラっとしたので少し苛立ちの篭った声だったかもしれない。


「あー、ごめんごめん。ところで今日の放課後って暇だよね?」


「なぜ暇だと決めつけてるのかな? ……まぁ暇だけど」


「だよね! ひしっちはいつも一人だから暇だろうなぁと思って!」


「ひしっち……」


 確かにどこのグループにも属してないぼっちだし、暇だけど、それは陰キャを演じる為にあえてそうしてるだけで……。でも面と向かって言われると少し傷つく。それよりもひしっちってなんだ?


「そう、ひしっち。可愛いっしょ? ひしっちかひっしーかで悩んだんだけど、ひしっちのほうが可愛いかなって思って。もしかしてひっしーのほうがよかった?」


 可愛いってなんだよ。可愛さを求めてる男子なんていないと思うが。


「はぁ……。まぁ好きに呼んでくれ」


「じゃあひしっちで」


「はぁ……。それで? 放課後何かあるの?」


「溜息ばっかりついてたら幸せが逃げてくぞ! それでね……あのね……放課後なんだけど……屋上に来てくれない……かな?」


 手を後ろに組んで下を向き、急にモジモジとする笹本。


 あれ?


 中学のとき女子と何度かこういうやりとりがあった。屋上だったり体育館裏だったり、空き教室だったり……。


 まさかこれって。そういう事だよな。


「屋上に行けばいいのか?」


「うん……だめかな?」


 うん、やっぱりこの反応はそれしかない。


「これってもしかして噂の罰ゲーム告白!?」


 それを聞いて笹本は目を大きく見開いた後急に声を上げて笑い出した。


「いや、違うけど! ひしっちに罰ゲーム告白するのはそれはそれで面白そうだけど! 放課後ダンス部のメンバーで一度屋上に集まる事になったからよろしく」


 ダンス部のメンバーで集まるという事は入部希望者が八人揃ったのだろうか。咲茉は今日からバスケ部に入部するらしいから放課後一緒に帰る事もないし、名前を貸すだけとは言え、ダンス部に所属すると約束したのだからこういう集まりには行ったほうがいいだろう。


「わかった。放課後屋上に行くよ」


「待ってるねー」


 放課後に行く事を伝えると笹本は仲のいい女子グループの所に戻っていった。



 その日の授業が終わり、放課後になった。


 生徒達が教室を出て行く中、佐伯と話をしながら一緒に教室を出る咲茉が見えた。同じバスケ部だから仕方ないのだろうが、今になってバスケ部に入っておいたほうがよかったかもという気持ちになるのを無理矢理心の奥に押し込める。


 陰キャになるきる為にバスケ部には入らないと決めただろと自分に言い聞かせて屋上に向かう事にする。笹本はもう教室にいなかったのですでに屋上に向かったのだろう。


 この学校には新校舎と旧校舎の二つの校舎があるが、俺達の教室があるのは新校舎側だ。新校舎の屋上は危なくないように整備されているので誰でも自由に入れるらしい。


 屋上に続く扉を開くと緑があり、ベンチやテーブル、ちょっとした広場のようなものもあり、公園のような光景が広がっていた。学校案内のパンフレットでは見た事があるが、実際に屋上に来るのは初めてだ。昼休み時には弁当を食べる人達で賑わうとの事だがぼっちの俺には来る用事がない。


 放課後という事もあり、人気はまばらだが、カップルだと思われる男女の二人組もちらほらいたりと、生徒の姿が見えた。


 笹本を探して辺りを見渡すと、奥のほうにある割と大きめの広場に目立つ金髪を見つけた。周りに何人か集まっている。他に集団はないのでおそらくあの集団がダンス部だろう。


 そちらに向かって歩いていくと、笹本はこちらに気付いたようで手を振っている。


「おーい!! ひしっちー!! こっちこっちー!!!」


 笹本の周りに集まっていた全員がこちらを見ていた。


 見つけたときに分かっていたが、この集団、女子ばっかりだよな。


「ちゃんと屋上来れたんだね、迷ってないか心配だったよ」


「流石に迷いはしないって……」


「だってひしっちって教室からあまり出ないし学校で迷子になりそう」


 笹本の周りの女子達がクスクスと笑う。


 笹本といつも一緒にいる同じクラスの女子以外にも知らない女子が何人かいた。


 一人、二人……。あれ? 俺を入れても全部で七人しかいない。


「これで全員?」


「うん、今のところダンス部のメンバーはこれで全員だよ」


「そうなの? 一人足りないよね」


「お、ひしっち、いい所に気が付いたね」


 なぜか胸を反らして人差し指をこちらに向けて上から目線の笹本。


 胸を反らすとただでさえ大きいものが一層際立つな。


 見るのもまずいと思い、目を逸らす。女性は男性からのこういう目線には敏感だと聞いた事がある。


「まぁとりあえずその辺も含めて話をしていこうか。では、『第一回ダンス部運営会議』を始めますー! パチパチパチパチー」


「いぇーい!」


「部長! がんばって!」


「ひゅーひゅー!」


 笹本がパチパチと口で言いながら手を叩くと周りの女子も手を叩きながら囃したてる。


 中学のときの内輪のノリを思い出したが、陰キャを演じてる今の俺はやっぱりダンス部なんかに入るんじゃなかったと後悔し始めていた。

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