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3.エド君の疑問

 僅かな沈黙の後にベレスフォードは尋ねた。


「……これのどこに疑問を感じると?」


「疑問だらけですよ!第一に貴方の腕を持っていた隊員さん。何だって腕なんか持ってきてるんですか?邪魔なだけでしょう?」


「腕だって立派な証拠だ。気の利いた奴なら確保しておくだろう?」


「いざ戦闘中の現場に飛び込まんとする場面で、斬り落とされた腕の確保なんて明らかに優先順位が低いことです。ここに書かれていない重大な理由でもあれば別ですが」


「む……」


「それだけじゃありません。なんで部屋に鍵が掛かっていたんですか?別の頁では『万一9番隊から逃れた犯人の仲間に部屋に突入されたら、重傷を負った自分ではもう戦えないため、鍵を掛けて籠城した』と貴方が証言した記録が載っています。しかし、戦闘が終結した時点では警備隊員達が大勢部屋近くまで来て呼びかけています。鍵など掛けずに隊員達に助けを求めるのが自然では?」


「……」


「それと、貴方は何故警備隊員から腕を奪ったんです?」


「何故って……腕を繋げてもらおうかと思ってな。切り落とされて間もなくなら縫合してくっつく可能性はあった。まあ、結局くっつかなかった訳だが」


「じゃあなんで医師団の待機する東宮じゃなく反対側の西宮に向かったんです?」


「なぜ俺が西宮に向かっていったと?」


「7番隊長が隊員に命令しています。1班には本部への報告と医者の呼び出し、2班には片腕の男の連行を。これは貴方が警備隊本部や医師団本部のある東宮とは逆方向に向かったからでしょう?もし東宮に向かったのなら『1、2班には本部への報告、医者の呼び出し、片腕の男の連行を命ずる』とまとめて命令して、行った先で状況に応じて1、2班の班長に判断させればいい。貴方が逆方向に向かったから最初から班別に命令したんです。」


「西宮にも医者はいた。当日はセシリア様が体調不良で休んでおられたのだからな。俺は9番隊で西宮の警備をしていたから咄嗟に西宮に詰めている医者のことを思い出してそちらに向かったんだ。」


「セシリア殿下の体調不良ということで当時の薬学の権威と言われた医者がついていますね。しかし普通薬学医は大掛かりな外科手術なんかできません。この医者も外科はまるっきりダメだったそうじゃないですか。それを知る9番隊員だからこそ怪我の治療のため西宮に向かうのはおかしいんです」


「……」


「他にもおかしなところはいくつもあります。例えば、」


「待て。まずは最初の話に戻ろう。お前はこれが王女誘拐未遂事件じゃないと言っていたな。ではこの事件は何だったんだ?」


「僕の推測ではこの事件は――」

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