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イレギュラーのつとめ  作者: 末期代
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異世界デルマス

「いってて、なんだここ?白い部屋?俺って死んだんじゃなかったっけ?どうしてこんなところに?」


意識が回復した途端、俺は見覚えのない場所にいた。


「うふふ、ようこそいらっしゃいました。ここは絶対空間。私とあなた以外は決して入ることのできない領域です。」


透き通るような女の声に思わず振り向いた。そこには、少なくとも現実離れした神々しさをもった女性がいた。


「いや、あんた誰だよ?」


「そうですね、女神といったほうが聞こえはいいでしょうか。伊瀬貝増人さん。」


名前を知られている。名乗った覚えはないのに。


「あっ、えっと、これってあれですか?異世界転生的な?」


「正確には異世界召喚となります。あちらに行くときに少々こちらの方で説明を加えさせていただきますね。」


「あ、もうすぐそっちに行っちゃう感じなんですね。分かりました。」


流れはつかめた。おそらく、これからどこかに行ってモンスターを倒すらしい。特に武道の覚えはないけど、スキルとかあると思うし、話をきちんと聞いておこうと思う。


「それでは。今からあなたに行ってもらう世界はデルモスという世界です。特徴を言えば、魔王退治に奮闘するものの、大体横やりが入ってそこで勇者が死亡いたします。」


そう、話をよくk、


「へー、そうなんすかー。って、俺勇者じゃないですかっ!」


「そうですが、何か?」


「えっとですね。その世界に行った勇者は魔王を倒す傍ら、なぜか横やりが入って死ぬんですよね?」


「...そ、そんなわけないじゃないですか。ほんの2、3人くらいですよ。」


(横やりで死ぬ人数がそれって。笑えないって。墓穴掘ってるって俺が言うのも、神様!)


「...へぇ、そうっすか。でも、そこだけじゃないっすよね。異世界召喚?なんていうから基本調子に乗った奴がどっかで死ぬみたいな。」


「!?あ、そうなんですよ☆正直最近調子乗ってる人が多くて、いやー私もう疲れちゃう―、神様なのに紙給料なんつって☆」


(女神がとてもポンコツに見えてきた。ダジャレを言う女神とか付き合ってられん...)


「...そうですかー。じゃあ自分はー、きっちりーレベル上げをするんで―、もうそろその世界にってもいいですかー。」


「はいー。できれば死なないで世界をクリアしてきてくださいー。私の給料のためにー。」


(なんだろう。やる気なくなってきたな。死なない程度で生きていようかな)


「はい。それでは行ってきます。」


「はい、気を付けてー。」


足元に転移門のような、エネルギーと光の奔流が広がる。


こうして、伊勢貝増人は異世界デルモスに転移されていった。




一方デルモスでは、


「ああ、今回の勇者様は一体どんなお方でしょうか。」


「姫様、気になるのはお分かりになりますが、城にお戻りになられては?姫様はあまり体が丈夫な方ではありませんですから、無理はなさらずに。」


「そのようなことはわかっております。しかし、この世界が平和になるには、魔王を倒すことにあります。そして、それは私の先祖代々の務めであり悲願でもあります。時に勇者様が挑んではその力を弱めるもいまだ倒すには至っていません。私たちにできることは勇者様にどうか魔王を倒してもらうことなのです。


「おお、姫様はそこまで国のことを。さぞかし先代の国王陛下たちも姫様のように思っておりますぞ。」


「はい。」


「そうですな。では、城に戻りましょうか。」


「いいえ、まだです。私はここに残ります。」


「そういわれましても...。姫様、ここに来たのは、授業をさぼりためではないのですかな?」


「それはそうなのですが、さっきの気持ちは本当ですし、何やら勇者様らしき気配がしたのです。そんなことに比べたら授業などもってのほかです。」


(むむ、姫様、逞しくなられて。まるであなたのお父様のように有無を言わせない性格に育っておりますぞ)


「仕方ありませんか。それではもう少し待ってみましょうか。」


それから一時間後


「もう待てませんな。戻りますぞ。」


「いーやーでーすー。私はここを動きません。勉強なら後ですればよいのです。」


「いやいや、もうかれこれ一時間ですぞ、さすがに来るとは思えません。」


「なら、爺だけ帰ればよいのです。」


「姫様が倒れられた場合どうするのですか?私が責任を問われますぞ?」


「あー爺めんどくさいです。


「姫様こそ、両親のまねしなくていいところだけ切り取ったような性格になっているのですぞ。」


「「ううぅ!」」「うわっ!?」


12,3歳ほどのかわいらしい縦ロールのお姫様とその付き人らしきふくよかな身体を持つ男性が互いに頬を膨らませて気持ちを怒らせていると、そこに驚きを含んだ声とともにそこに現れた少年が姿を現した。


そして、少年は、自分の格好とそこに鉢合わせた二人を見合わせた後、自分の顔を触り、頭を触ると、「子供になってる。」とつぶやいた後、前方に見える城の方向に歩き始めた。


もちろん、二人は置いていかれていた。

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