幕間3:とある男の電話録
「無事着いたよ。帝王国ホテルで一泊予定だけど、そっちは大丈夫かい? 堅苦しいけどこの国だと安宿では被弾しそうだから勧められた所に宿泊することにしたよ」
「そうか、じゃあ久々に一緒に仕事出来るな」
「ああ、すまんちょっと銃撃戦中で音が拾いにくいみたいだ」
「大丈夫、建物を挟んだしもうすぐ休戦時間だから。そっちもその音は機械音か?」
「へえ、戦車は面白そうだ。土産話期待してるよ。こちらも日本の美味しそうな土産を買ってあるから楽しみにしてておくれ。やっぱり母国の味は懐かしいだろうしね」
「いらないってそんな遠慮しなくていいんだぞ?」
「今度こそ美味い!と唸る筈だ」
「信用ないな。愛息子がわざわざ買って…」
「分かった分かった開けず触らずで置いとくから大丈夫大丈夫」
「ああ、手続きも無事終わったよ。本人に怪我も無くて元気そうだったから、その点は何よりだった」
「分かってる。でも息子へ謝罪に行かせたらバレるしなぁ。犯人にお灸を据えさせたいが」
「いいな、じゃあその脅しでいこうか。最後はドッキリ扱いして煙に巻くとして、手配はこちらから電話しとくよ。丁度よく仕事の報酬が振り込まれてたからそれを使おうか。息子のために使うなら本望本望」
「私が出したいんだがなぁ。はいはい」
「はは、じゃんけん勝負は今の所私が勝ち越してるしね。写真だけじゃ物足りないならこの仕事が終わったら一緒に帰るとするか? 私もまたそろそろゆっくりしたかったし丁度いい機会かもしれん」
「息子の引っ越し先は一人暮らし用だから一緒には住めないぞ。手続き? もう無事終わってるが」
「そう落ち込まず。そういえば、もう一つ伝えたいことがあってね、実はかねてから気になっていた例の彼女と会えてね。なんとそれがお隣さ―――大丈夫かい? 凄い音したけど」
「何てことない、アナコンダがタイヤに絡まっただけ? アナコンダを捨てる時は周りをよく見ないと。はいはい、話すから落ち着いて」
「どう…ねぇ。はは、何だか地に足着いた、タイプは違えど君みたいな素敵な女性だったよ。流石息子だ、見る目ある。ただ前途は多難そうだったけどなぁ」
「おいおい、私一人で仕事は寂しいよ。今行ってあの関係を壊したら大変だからここは慎重にいかないと」
「興味七割心配三割? はは、私が最上級の誉め言葉使うほど気に入ったんだから君も気に入るさ。私たちの好みは似てるから」
「ふふ、そのお嬢さんに息子と仕草や雰囲気が似てるって言われてねぇ」
「それからあの息子がね、ふ、ふふ、にゃーって言ったんだよ、今思い出してももう…くくく」
「興味が二割上がった? はっは、羨ましいだろう。それに彼女にハグして息子に嫉妬される父親という役得があってね、そりゃもうどちらも可愛くて顔のにやつきが止まらな――――、悪かった、戦車の修理費出すから」
「分かった分かった。じゃあさっさと仕事終わらせようか。こちらも銃弾飛んできたから移動始めるかな。では明日、帝王国ホテル現地時間十時待ち合わせで」
「ん、私も愛してるよ」
あとがき
田中父の最上級の誉め言葉「君みたい」
田中母、バリバリ生きてバリバリ働いてます。(叶恵さん杞憂だったよよかったね!←
なお、この電話の最中に樹上から襲い掛かってきてた人食いアナコンダを仕留めたところ、戦車のタイヤに絡まってしまってました。その後、にゃーの辺りで戦車が溝にハマって、息子の嫉妬顔辺りで間違って空砲撃ってました。破損する戦車。そんなことより田中くんと叶恵さんの話詳しくはよ!という田中母 (ぇ
只今早く会いに行きたくてうずうずしてます。でも、お仕事は大抵長期間系の一大プロジェクトばっかなので、足止めくらう模様。でも、今回はやる気がみなぎってるそうな。
スーツが逆にエロく見える程のバリバリのエキゾチック妖艶美人で、日本人とエジプト人とのハーフです。なお、産まれも育ちも日本で、今は仕事柄世界中を飛び回ってます。
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一話分はあるよ☆←ぇ