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炎花流水  作者: くまくま33233
拾壱 覚悟
147/159

大幅に遅れまして大変申し訳ありませんでした!

土曜更新分です。


本日更新分はなるべく急いで更新します、が、今日中は厳しいかもしれません。

すみませんがよろしくお願いします。

 あっという間に日が沈む。夢中で咲の看病をしていると、時間が経つのが本当に速く感じる。咲に元気になってもらえるように、ずっと側で、自分にできることは何でもした。そこに全力を注ぐことで、その間だけでも自分の気持ちから目を逸らす。今のぐちゃぐちゃな気持ちのままでは、向き合っても答えなんて出ない。分かりきったことだった。


「ただいま!あ、やっぱり今日も来てくれてた。ありがとね、沙枝。響夜さんも」

「お帰り、幸。咲、幸帰ってきたよ」

「……幸。おか、えり」

「咲!起きてたんだ。体、どう?」

「だい、じょうぶ。ごめんね、しんぱい、かけて」

「ううん、いいの。それより、早く良くなってね」

「……うん」

「ほら、無理しないで寝てな。体調戻すには、寝るのが一番だよ」

「わかった。ありが、とう」


 やがて寝息が聞こえてくるまで、幸と沙枝の二人はずっと咲の手を握っていた。



「ねえ、幸」

「なあに?」

「聞いてなかったけど、咲のお母さんは?」

「あ、何かね、遠い所まで泊まり込みで働きに行ってるらしくて、めったに帰ってこないんだって。咲の今の状況を知らせることもできないし、すごく困ってたところに沙枝が来てくれたって感じ」

「そっか。咲の様子に驚いてて忘れてたけど、お母さんも大変だよね。大丈夫なのかな」

「便りのないのは元気な印、って信じてはいるけどね。連絡取れない以上分からないな」

「そうだよね……」

「きっと大丈夫だよ。それより、沙枝は帰らなくて大丈夫?もう暗いよ?」

「うん。幸が帰ってくるまではいようと思ってね。というか、気付いたら幸が帰ってきてたって感じだけど」

「そっか。ありがと」

「また来るね」

「うん。本当に助かるよ」

「じゃあね。響夜、帰ろうか」

「ああ」

「幸、前も言ったけど、幸も身体には気を付けてね」

「うん。早く寝るようにする」

「それがいいよ。またね」


 幸に手を振って別れる。咲の調子が好転しない今、不安が大きく感じられた。


 燥耶の家まで戻るには、必然的に響夜と二人きりになる。咲の看病にかかりきりになることで頭から追いやっていた、響夜との向き合い方という大きな問題に、立ち向かわざるを得ない。


「……ねえ、響夜」

「うん?」

「えっと、その……、いい天気、だね。……ははは」

「……沙枝、ごめんな。無理しなくていいのに」

「いやっ、そんな、無理してるとかそんなんじゃ……」

「いいよ。大丈夫。二人で黙って歩いてるだけでも、今の僕は十分嬉しいから。朝言ったことは忘れて」

「……ごめんね、響夜」


 響夜は口を開こうとしたが、結局何も言わずにただ微笑んだ。何を言っても、沙枝が申し訳なく思うだけ。そう学んだようだった。


 結局二人無言のまま、燥耶の家まで到着する。闇に包まれた門の前にまた、燥耶はいた。あの時とは違い、寄りかかって立っている。(まと)う雰囲気が、以前のものに戻っている気がした。沙枝にとって居心地の良かった、ついこの間まで当たり前だったそれに。

 燥耶とちゃんと話そう。心からそう思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ずっと更新分、拝読していて、やはりキャラの揺れ動く心理描写が素晴らしいです。 この先の展開が気になります。 [気になる点] 会話文があまりに続くと不自然でだれてしまいます。 適当なところで…
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