七
大幅に遅れまして大変申し訳ありませんでした!
土曜更新分です。
本日更新分はなるべく急いで更新します、が、今日中は厳しいかもしれません。
すみませんがよろしくお願いします。
あっという間に日が沈む。夢中で咲の看病をしていると、時間が経つのが本当に速く感じる。咲に元気になってもらえるように、ずっと側で、自分にできることは何でもした。そこに全力を注ぐことで、その間だけでも自分の気持ちから目を逸らす。今のぐちゃぐちゃな気持ちのままでは、向き合っても答えなんて出ない。分かりきったことだった。
「ただいま!あ、やっぱり今日も来てくれてた。ありがとね、沙枝。響夜さんも」
「お帰り、幸。咲、幸帰ってきたよ」
「……幸。おか、えり」
「咲!起きてたんだ。体、どう?」
「だい、じょうぶ。ごめんね、しんぱい、かけて」
「ううん、いいの。それより、早く良くなってね」
「……うん」
「ほら、無理しないで寝てな。体調戻すには、寝るのが一番だよ」
「わかった。ありが、とう」
やがて寝息が聞こえてくるまで、幸と沙枝の二人はずっと咲の手を握っていた。
「ねえ、幸」
「なあに?」
「聞いてなかったけど、咲のお母さんは?」
「あ、何かね、遠い所まで泊まり込みで働きに行ってるらしくて、めったに帰ってこないんだって。咲の今の状況を知らせることもできないし、すごく困ってたところに沙枝が来てくれたって感じ」
「そっか。咲の様子に驚いてて忘れてたけど、お母さんも大変だよね。大丈夫なのかな」
「便りのないのは元気な印、って信じてはいるけどね。連絡取れない以上分からないな」
「そうだよね……」
「きっと大丈夫だよ。それより、沙枝は帰らなくて大丈夫?もう暗いよ?」
「うん。幸が帰ってくるまではいようと思ってね。というか、気付いたら幸が帰ってきてたって感じだけど」
「そっか。ありがと」
「また来るね」
「うん。本当に助かるよ」
「じゃあね。響夜、帰ろうか」
「ああ」
「幸、前も言ったけど、幸も身体には気を付けてね」
「うん。早く寝るようにする」
「それがいいよ。またね」
幸に手を振って別れる。咲の調子が好転しない今、不安が大きく感じられた。
燥耶の家まで戻るには、必然的に響夜と二人きりになる。咲の看病にかかりきりになることで頭から追いやっていた、響夜との向き合い方という大きな問題に、立ち向かわざるを得ない。
「……ねえ、響夜」
「うん?」
「えっと、その……、いい天気、だね。……ははは」
「……沙枝、ごめんな。無理しなくていいのに」
「いやっ、そんな、無理してるとかそんなんじゃ……」
「いいよ。大丈夫。二人で黙って歩いてるだけでも、今の僕は十分嬉しいから。朝言ったことは忘れて」
「……ごめんね、響夜」
響夜は口を開こうとしたが、結局何も言わずにただ微笑んだ。何を言っても、沙枝が申し訳なく思うだけ。そう学んだようだった。
結局二人無言のまま、燥耶の家まで到着する。闇に包まれた門の前にまた、燥耶はいた。あの時とは違い、寄りかかって立っている。纏う雰囲気が、以前のものに戻っている気がした。沙枝にとって居心地の良かった、ついこの間まで当たり前だったそれに。
燥耶とちゃんと話そう。心からそう思った。




