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炎花流水  作者: くまくま33233
拾 前夜
132/159

十七

遅れてすみません。

なんとか今日中に更新できました…。

「よし。取り敢えず、沙枝は今日はあの二人の所に行くだろ?」

「うん。なるべく早めの方がいいもんね。」

「分かった。まず俺の家に寄ってから行けよ。行き方はもう分かるだろ?」

「大丈夫。私あんまり迷ったりしないから。ってことは燥耶は行かないってことだね?」

「ああ。俺はいつも通りここで鍛練してるよ。最後まで出来ることはしておきたいしな。」

「分かった。じゃあ行ってくるね。」

「よし。…気を付けていけよ。」

「うん。ありがと。」




「本当、頼むぞ色々…。気を付けろよ、沙枝…。」






「よし!ちゃんと着いた!」


 燥耶に自信を持って答えたが、実はちゃんと着けるかどうか不安だった沙枝。一回も迷わずにこれたことに胸を撫で下ろした。


「えーっと…。きっと沙枝ですって言えば伝わるよね…。」


 戸惑いながらも門を叩く。


「こんにちはー。沙枝です。響夜に会いに来ました。」


 耳を澄ます。何か反応がないか待ってみるも、辺りは静けさが支配したままだ。


「あれ…?聞こえてないのかな?」


 さっきよりも強く叩いてみる。


「すみませーん!」


 まだ応対がない。


「す、すみませーん!!」


 叫ぶのも全力、叩くのも全力になった。息が切れそうだ。


「はい…?どなたでしょうか?」

「はあ、はあ、はあ…。」


 やっと門の内から声が聞こえた。春則の声だとすぐに分かったが、体力を使い果たした沙枝にはそれに答える余裕がない。


「今出ますけど…。どなたですかね…?………って、沙枝様!?またいらしたんですか!」

「はあ、はあ、そう、はあ、です、はふ。」

「…随分お疲れのようですが…。どうかなさったのですか?はっ!まさか若様の身に何かが!?」

「いや、違い、ます。」

「…でしたら…。あ、もしかして、私が出てくるのが遅かったですかね…?」


 もう答える気力もなく、沙枝は息を整えながら黙って頷いた。


「すみませんでした…!ここ門の先が遠くて…。かなり大きな音でないと中まで聞こえて来ないんですよ。男なら割と強めに叩くくらいで大丈夫なんですが…。」

「いえ。大丈夫、です。大分、落ち着きました。」

「本当に申し訳ないです…。」

「いえいえ。ほんとに、気にしないで下さい。私の力が弱いのがいけないんですよ。」

「そう言って下さると助かります。…それで、今日は何の御用ですか?」

「響夜に一緒に行ってほしいところがあって。」

「ああ、分かりました。では上がってお待ち下さい。お呼びしてきますね。」

「いやいや、家に上がるほどの用では…。」

「でしたらせめて玄関にて座ってお待ち下さい。お疲れのようですし、そこで立ってお待ち頂くのも私の心が痛みますので。」

「分かりました。なんか気を遣わせてしまったみたいですみません…。」

「こちらこそ、なかなか気付かなくてすみませんでした。では、響夜様をお呼びしてまいります。」


 春則が相変わらず大きな屋敷の奥へ消えていく。沙枝はといえば汗だくだ。ここに来るたびに何かしらが起きる気がする。ついそう考えてしまう沙枝だった。

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