十
ごめんなさい!
曜日を間違えていました。
今日は更新日でしたね。
申し訳ないです。
二回目の稲芽の家にやってきた。そこには稲芽の妻登代と、草太の姿が。
「お久しぶりです、沙枝さん。雪がお世話になってます。」
「お久しぶりです。登代さんもお変わりなくて安心です。」
「沙枝さん。こんにちは。また会えて嬉しいです。」
「久しぶりだね草太くん。…今どうなってるかも聞かせてもらわないとね。」
「いや何もないですよ。というか久しぶりに会ってそうそうそれはやめて下さいよ。」
「あはは。草太くんは面白いなー。」
「ところで、知らない男の人が二人いますけど…、どちらが燥耶さんなんですか?」
「あ、あの剣持ってる方が燥耶だよ。」
「はあ。…格好いいですね。」
「でしょ?ねえ燥耶、草太くんが…」
「や、やめてください。恥ずかしいですよ。」
「いいじゃん。…ねえ、草太くんは、燥耶が怖いとか思ったりする?」
「いや、別に思いませんよ?格好いいなあとは思いますけど。」
「…そっか。あ、草太くん、安心していいよ。雪は燥耶は好きじゃないって。」
「そ、そうなんですか…。良かった…なんて、思ってないですよ?」
「そうだねー。」
「なんでそんな棒読みなんですか!にやにやしないで下さい!」
沙枝は笑いが止まらなかった。
家の中に入れてもらい、歓談となる。七人と多人数になったためか、話は尽きなかった。
「そうだ沙枝お姉ちゃん。建物、できたよ。」
雪がそう言ったのはしばらく経ってからだった。
「あ、あー…。」
そうだった。前回ここに来たとき、力をつかって川を復活させた記念に建物を建てると言われていたのを忘れかけていた。
「いいねえ。沙枝御殿だ。」
「やめてよ、恥ずかしいじゃん…。」
響夜のからかいに恥ずかしさが増す。
「私も手伝ったんだ。」
「う、うん。ありがとね、雪。」
「沙枝さん。恥ずかしく思う必要も、重荷に感じる必要もない。あれは私たちの感謝の気持ちだ。後で見ていってくれ。」
「それでも恥ずかしいですよ…。私にはおそれ多いというか。」
「いいんだ。私たちは沙枝さんに、文字通り命を救われた。私たちの自己満足かもしれないが、何か感謝の気持ちを表さないと気がすまないんだ。」
「いいだろう、沙枝。これは、受け取っておくべき気持ちだ。」
そう口を挟んだのは、意外にも燥耶だった。
「俺にも、その気持ちは分かる。沙枝に今、どんな方法でも感謝を伝えたいのは俺も同じだ。」
「え?私、燥耶に何かしたっけ?」
「俺を見つけにきてくれただろう?…嬉しかったんだよ、俺は。」
「そんな…。」
その時燥耶がわずかに浮かべた照れるような笑みに、沙枝も笑顔になった。
「沙枝さん。俺も沙枝さんのことからかってもいいですか。」
草太が仕返しかのようににやにやしてそう言う。沙枝は笑顔のまま言葉を返した。
「いいけどー?でも私、まだ誰かさんのその後の話聞いてないんだよねー。いいのかなー?」
「ちょ、卑怯ですよ!」
「草太くん、汗いっぱいだよ?大丈夫?」
「大丈夫だから!な?うん。」
「なるほどな。僕には分かってしまったよ。後で僕にもじっくり聞かせてね、草太くん。」
「きょ、響夜さんまで…。」
汗をかきまくる草太。きょとんとした顔の燥耶と雪。
またもや笑いが止まらない沙枝だった。




