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炎花流水  作者: くまくま33233
玖 蜂起
103/159

すみません。

寝落ちしてしまってました。

日付をこえてしまいましたね。

申し訳ないです。


次回は通常更新となりますので、よろしくお願いします。

 更に東に歩く三人。道すがらには家や店、宿が時折あり、旅には困らなかった。行きが森の中を進み野宿の繰り返しだったことを思えば、快適な旅路だ。


「ねえ、燥耶。」

「うん?」


 歩くにも慣れてきた沙枝は燥耶に話しかけていた。ある言葉を、聞きたかったのだ。


「燥耶は、さ。なんで《炎花》を置いていってくれたの?」

「沙枝は一人になっちゃう訳でさ。身を守るものが必要かなと思ってね。…それに。」

「…?」

「沙枝のこと、信じてたから。…俺に、《炎花》を、届けにきてくれるって。」


 嬉しかった。沙枝が求めていた言葉とは違ったけれど、心が温まる。


「実際、届けにきてくれたろ。沙枝に、もう一度会えた。それだけで俺は十分だ。」

「…ありがと。でも、《炎花》が手元になくても私は燥耶を探しただろうけどね。」

「どうやって?あてもないだろう?」

「それでも探すの。燥耶ともう一度会うためだったら私、何でもできたよ。」

「…沙枝。改めてありがとう。今俺がここにいられるのは、沙枝のおかげだ。」

「…うん。とにかく、もう一度会えてほんとに嬉しいよ。」


 そのまま、二人とも黙る。周囲の音が、やけに耳障りに聞こえた。


「そのおかげで、僕にも会えた訳だしね。」


 その妙な沈黙に、割り込んでくる響夜。


「そうだね。響夜がいなかったら、また燥耶に会うこともなかったと思うし。ありがと、響夜。」


 その響夜にも、沙枝はそう笑顔で応える。響夜もその言葉を聞き笑顔になるが。


「…?」


 どこかその笑顔に、陰があるように見えたのは、気のせいだったのだろうか。


「沙枝。もうすぐ右に曲がれってよ。」

「う、うん。分かった。」


 沙枝は取り敢えずその場では追及しないことにした。





 スリナのムラは道からはずれてそうたたないうちに見つかった。やっぱり行きも道を通れば良かったと少し思うものの、いやしかしそれでは雪に会えていなかっただろうし、このムラに寄ることもなかったなと思い直す。

 ムラの入り口に立った三人。どうしようと思っていると、


「あら、沙枝さんじゃないかね。」


と知らない主婦に話しかけられた。


「ええ、そうです。」

「いやー、また来てくれるなんて嬉しいねえ。私もあの宴会にいたんだけど。覚えてないよねえ。」

「…えーと。」

「ははは、いいさ。沢山人もいたしね。それより、沙枝さんのおかげでほんとに助かってるよ。川があるって素晴らしいね。」

「こちらこそ。助けになれて嬉しいです。」

「いい娘だねえ、沙枝さんは。うちの娘にも見習ってほしいくらいだよ。…ところで、今日は若い男を二人も連れてるね。沙枝さんのオトコかい?」

「いやいや、そんなんじゃないですよ!」

「へえ?そうかい?二人とも格好いい男じゃないか。」

「やめてくださいって。そりゃまあ確かに、二人とも格好いいですけど…。それより、稲芽さんを呼んで頂けませんか?」

「あ、逃げたね…。分かった、呼んでくるよ。少し待ってな。」


 女はにやにやしながら稲芽の家に向かっていった。後ろの二人の方に、振り返ることのできない沙枝だった。

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