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炎花流水  作者: くまくま33233
玖 蜂起
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「それで、さ。同じことが、燥耶にも起こりえる訳じゃない?」

「そうか。そう、だな。俺の家族は、ミヤコに住んでる。押さえようと思ったら、夜継にはすぐだ。」

「そう。だから今ここで、夜継に対して反乱の意志を示したとしても、また同じことが起こって私たちの自由が封じられちゃうと思う。」

「うん。悔しいけど、沙枝の言う通りだ。」

「だからさ、普通にミヤコまで戻ることにしようよ。」

「ん?どういうことだ?」

「普通にミヤコまで歩いてるふりをして、通り道にあるムラに呼び掛けるんだよ。今から何日後に、一斉に反乱を起こして下さいって。私たちはそれまでに、大切な人たちを安全なところに匿っておけば大丈夫なんじゃない?」

「ああ…、確かに良い案みたいだけど…。難しくないか?本当に間に合うかどうかもわからないのに。」

「でも、やらなきゃ。みんなの安全も守って、夜継も倒すんだったら、これしかないよ。」

「分かった。俺も出来る限り頑張るよ。…チャンスは一度きりになるな。」

「きっとどんな方法をとったって一緒だよ。だから、もっと元気に、強く、ならなきゃね。」

「そうだな。…あの日の水準に力が戻ったら、出発することにしよう。」

「うん。」


 そのまま、二人とも何となく黙る。思うところが色々あった。と。


「話は聞かせてもらったよ。」


 またも急に聞こえたのは、響夜の声。


「僕も君たちと一緒に行こうじゃないか。」

「ええっ!響夜も?私が言うのもなんだけど、危ないよ。」

「そうだぞ、響夜。このムラを守り、より一層開発するんじゃなかったのか?」

「そのつもりだったんだけどね。なんだか重大な話を聞いちゃったし、それに、折角里のために再興したムラだもん。どうせなら、里を迎えに行きたいなと思ってさ。」

「そんな軽く…!」

「軽くない。僕にとっては大事な決断だよ。ここまで面倒みたんだ、最後まで付き合わせてくれないか?」

「…このムラはどうするんだ?」

「他のみんなに任せるよ。里を迎えにいくってことなら、みんな納得してくれるでしょ。」

「ね、ねえ、響夜…。本当に大丈夫なの…?」

「大丈夫だって。自分の責任は、自分で取るしね。それより、自分たちの方は大丈夫なの?」

「何で?」

「これから途中のムラで説得しながら戻るんだろう?そんな弱気で、多くの人を動かせるのかい?」

「言われてみれば、確かにな…。」

「ここで、僕の出番。僕、自分で言うのもなんだけど、人を説得したりするの、結構得意なんだ。」

「そうなの?」

「じゃなかったら、このムラの再興なんて出来てないよ。ね、どう?一緒に行こうよ。」

「そこまで言うなら…。いいんじゃないか、沙枝?」

「うん、そうだね…。一緒に行こうか。」

「よし。そうと決まれば明日から準備するよ。協力してくれてるみんなのムラにも、説得しに行かなきゃな。」

「うん。よろしくね。」

「ああ、俺からもよろしく。」


 こうして、クナイへの反乱は、誰も気付かない程ひっそりと、始まった。

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