木の枝
「レビと申します。よろしく。」
レビは僕に近寄ると右手を差し出した。
握手に応じた司の手に、レビの掌からホッとするような暖かさが伝わった。
レビは脚の後ろに隠れる少女に目を落とすと、挨拶するように促した。
「初めまして…。イブです…。」
イブは恥ずかしそうに、小さな声で挨拶した。落ちつかなさそうに大きな目をパチクリと瞬きし、ミディアムぐらいの柔らかそうな髪の毛がさらさらと揺れた。
「あそこで寝てる爺さんは、デン爺だよ」
レビは僕の方を向いたまま、後ろのデン爺を親指で指した。
ロッキングチェアでは、おじいさんが相変わらず気持ち良さそうに居眠りを続けていた。
「私のことは恵って呼んでね。」
恵はニコリと眩しく笑った。
レビは再び僕の方を向いた。
「お名前は?ニックネームでもいいよ。」
「……。司」
「司…。いい名前だね。」
そしてレビは窓の外に視線を向ける。
僕も釣られて窓の外を見ると、木の枝がグルグルと動き文字を模った。
Welcome TSUKASA
「オシャレだろ。」
レビが僕に向かってウィンクする。
僕はあっけにとられて、暫く息をするのを忘れた。
「私達は宝箱を開け、神の力を授かってしまった者たち。」
恵は続けて言った。