僕と銀髪少女
おそらく僕の学校は現在、入学式の真っ最中であろう。
ピカピカな制服を身に纏い心機一転、新たな志で学校生活を送っていくのだろう。
‥‥僕?僕はいま学校をサボって近所のゲームセンターで格ゲーをプレイしている。
まぁ入学式というのは新一年生が主役のようなもので二、三年生は裏で装飾の飾りつけや廊下や教室の掃除で明け暮れる一日であろう。
そんな無駄な一日を過ごすのであれば全財産の2300円でなにか楽しいことをしようじゃあないか。
という理由でゲームセンターに来たのだが、どうやらそうでもない。
2300円もあれば1プレイ100円の格ゲーで連勝しまくれば閉店まで遊べるであろうと慢心していたのがつい1時間半前の僕だ。
時計の針は昼の12時を過ぎたあたり僕の全財産あと400円‥。
強すぎんだろ相手選手さんよ。
一体何処の格ゲーチャンピオンだよ。
「おじさん、ちょっと弱すぎじゃない?何年生きてきてんの?」
そう言っていきなりひょいと顔をだしたのは銀髪で長髪の幼い顔をした少女であった。
「‥あのな、僕はおじさんて年じゃないんだけど、悪いけどこれでもちゃんと学校通ってるピチピチの17歳なんですけど僕。」
内心すっげえイライラしながらも顔立ちが可愛い少女相手に僕は怒鳴ったりなんかしない。
「えっわたしとだいたい同い年なの!?このド平日にやりに来る人なんてニートかおっさんくらいしかいないからてっきり‥。」
「俺ってそんな見た目だらしないか!?てか俺とだいたいの年だったらなんでこんなところにいるんだよ。学校はどうした糞餓鬼。」
俺は嫌味ったらしくその少女に言ってやった。
「糞餓鬼とは失礼ね。私はこう見えて16よ!今日は入学式だから面倒だしサボったの。なんか文句ある?」
「入学式ってお前‥まさか天鳳第一に入学したのか!?」
「そうよ‥ってあなたまさか‥‥。」
少女は僕に聞こえるくらい大きくため息を吐いた。
「こんな弱いおっさんみたいなやつと毎日学校で会わなきゃいけないわけ??ちょっとありえないんですけど。」
「‥あのな学年違うんだから直接な関わりがない限り合う訳無いだろうが‥それとそのおっさんっていうのやめろや‥‥。」
ため息を吐きたいのはこちらのほうだ。
なんで初対面の糞餓鬼なんぞにおっさん呼ばわりせにゃならんのだ。
「‥あのさ。ちょっと聞きたい事があるんだけど、いい?」
急に銀髪の少女は真面目な顔を見せ俺に問いただしてきた。
「‥いきなりなんだよ。さっきまでおっさんおっさん言ってたクセに。」
「‥‥ここじゃちょっとあれだから、近くのお店に行きましょ。わたしが奢るわ。どーせそんなにお金もってないんでしょ?」
このガキ、俺の話聞いてねえな。と思いつつも『奢る』という言葉に弱い俺はトコトコと銀髪少女についていった。
僕ってホント情けない。