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ロジーナ弟子をとる  作者: 岸野果絵
中級魔術師編
84/100

アリア、食堂で夕食を食べる

 夕食メニューはポーテーキだ。

「いただきます」

 アリアとサーナとカトリーナはそう言うと、それぞれ食べはじめた。

 アリアとカトリーナはナイフとフォークを持ち、慣れた手つきでステーキを切っていく。

 サーナは少しの間、ステーキをジッと見つめると、おもむろにフォークをその中心にボフっとつきたてた。

 アリアとカトリーナが顔を上げ、サーナをみる。

 二人の見守るなか、サーナはステーキにかぶりついた。


「ちょっ、ちょっとサーナちゃん……」

 カトリーナは目を丸くする。

 アリアも口をポカンと開け、サーナを凝視した。


 上手く噛み切れないのか、サーナは肉にかぶりついたまましばらく悪戦苦闘していたが、なんとか噛み切れたらしく、歯形のついた残りの肉を皿にもどした。

 サーナの手も口もソースでドロドロだ。

 隣に座っていたカトリーナが、サッとふきんを出し、サーナはに渡す。

「ありがとうございます」

 サーナは口をもぐもぐさせながら、ふきんで手を拭う。

 

「サーナちゃん。こうやってナイフで切るのよ」

 カトリーナはそう言うと、手本を見せるようにゆっくりと肉を切りはじめた。

 サーナはナイフをとり、カトリーナの見よう見まねで肉を切ろうとする。

 が、力加減が上手くいかず、ナイフは肉の上をつるりとすべり、付け合わせのポテトにぶつかる。

「あっ」

 正面に座っていたアリアに向かってポテトが飛んでくる。


「仕方ない子ね」

 カトリーナはサーナの皿を奪い取ると、肉を一口大の大きさに切り分けはじめた。

「ありがとうございます」」

 サーナは目をキラキラさせながら、カトリーナの手元を見つめている。


 アリアはそんな二人の様子をしばらくみていたが、ふと思いつくと立ち上がった。

「アリアちゃん?」

 カトリーナが不思議そうに顔を上げた。

「ちょっと待ってて」

 アリアはそう言うと、カウンターの方へ向かった。


 アリアが席に戻ってくると、カトリーナがサーナの前にお皿を戻しているところだった。

 サーナはきれいに切り分けられたステーキを嬉しそうに見つめ、「ありがとうございます」とカトリーナに再度お礼をいう。

 アリアはサーナに、先ほどもらってきたお箸を「はいっ」と、差し出した。

 サーナの目が輝く。

「ありがとうございます」

 サーナはニッコリすると、箸を受け取ると、さっそく慣れた手つきでステーキを食べ出した。


「サーナちゃん、お箸は上手に使えるのね」

 カトリーナはサーナをジッと見ながら呟くように言うと、アリアに視線を移した。

「アリアちゃん、よく気がついたわね」

「前に、近所のおばあちゃんがレストランで困ってたことがあったの。お箸がないと食べられないって」

「まあ」

 カトリーナは「クスクス」と笑いだした。

「私、おばあちゃんじゃないです」

 サーナは食事をする手を止めて、頬をふくらませた。

 アリアもたまらず笑い出す。

「サーナちゃん。今度ゆっくり、ナイフとフォークの練習をいたしましょうね」

 カトリーナは優しい声でサーナに言った。

 サーナは少し考えるように目をキョロキョロさせていたが、カトリーナの方を向いて、

「よろしくお願いします」

と、ぺこりと頭を下げた。

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