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ロジーナ弟子をとる  作者: 岸野果絵
入門編
8/100

ロジーナ、本部へ行く

登場人物紹介(追加)


コーネリア・・・師範魔術師。魔術師協会事務局勤務。ロジーナの友達。

 ロジーナは久しぶりに魔術師協会本部に来ていた。

 入門したアリアを、正式に見習い魔術師として登録するためだ。

 登録を行うのには弟子を連れてくる必要はない。

 アリアには「ちょっと出かけてくる」とだけ言って、アリアに課題を出してきた。アリアには内緒なのだ。


 ロジーナは手続きを済ませ、登録証書と見習い用ピンバッジを受け取ると、出口へと向かった。

「あれぇ~。もしかしてロジーナちゃん?」

 ロジーナは聞き覚えのある声に振り向いた。

 金の巻き毛の女性が立っていた。コーネリアだ。


「あ、やっぱりそうだぁ~。おひさぁ~」

 コーネリアはロジーナに手を振り、両腕をあげながら駆けよってきた。

 ロジーナも反射的に両腕をあげる。

 二人の両手が合わさり、パンッと軽い音を響かせる。

「なつかしぃ~」

 二人は目を合わせクスクスと笑いだす。


 コーネリアに会うのはかなり久しぶりだ。

 ちょっと大人っぽくなったが、人懐っこい笑顔は昔のままだった。


「今日はどうしたのぉ?」

「うん。ちょっとね」

 ロジーナはアリアの登録証をコーネリアにみせる。

「もしかしてぇ~」

「うん。お弟子とることになったの」

「ほんとにぃ!!」

 コーネリアは満面の笑みを浮かべる。

「なんか似合わないでしょ」

「そんなことないよぉ~。遅いくらいだよぉ~」

 コーネリアの言葉にロジーナは「うーん」と首をかしげた。

「ロジーナちゃんの実力なら、お弟子さんの10人や20人いてもおかしくないよぉ~」

「え、無理無理。一人でも手一杯」

 ロジーナは手をナイナイしながら言った。

「そうかなぁ~」

 コーネリアはニヤニヤと小首をかしげる。


 二人はしばらくそこで立ち話をしていた。

 積もる話が山ほどあった。


「ロジーナちゃん。用事がなかったらこの後お茶しない~?」

「そうねぇ」

 ロジーナは視線を落とし考えた。


 ロジーナにはこの後に用事はなかった。別に早く帰る必要もなっかた。このままコーネリアとおしゃべりしていたい気もした。

 ふと、アリアの顔が浮かんだ。アリアに今日の外出の目的を伝えてはいない。だからアリアは登録証を待っているわけでない。別に早く帰る必要はない。必要はないが、登録証を見せればアリアが喜ぶのは判っていた。アリアはきっと大きな目をキラキラさせながら大喜びするだろう。


「ごめん。今日はやめとくね」

「そっかぁ~。お弟子さんが待ってるもんねぇ~」

 コーネリアはニヤリとする。

「うん」

 ロジーナはこくりと頷く。


「今度絶対お茶しようねぇ~」

 コーネリアはニッコリと小首を傾げながら言った。

「うん。次は絶対ね」

「私ここの事務局で働いてるからさぁ~。今度来るときは連絡してねぇ~。絶対よぉ~」

 ロジーナはコーネリアと約束すると、本部を後にした。



 ロジーナが帰宅すると、アリアは一生懸命に課題に取り組んでいるところだった。

「どう?イメージつかめた?」

 ロジーナが覗き込む。

「あ、お師匠様。お帰りなさいませ」

 アリアは慌てて立ち上がった。

「はい。お土産」

 ロジーナは登録証を差し出した。

 アリアは登録証を受け取ると、不思議そうに眺める。


「えっ。これって、これって、これって、もしかして」

「そうよ。見習い魔術師登録証書」

 アリアの顔がみるみる輝きだす。登録証を胸に抱きしめると、ぴょんぴょんとジャンプをはじめた。

 ピンバッチをつけてやろうとしていたロジーナは、思わずのけぞる。

「ちょっとぉ。じっとしなさい。危ないでしょ」

 アリアはピタッと動きを止めた。

 ロジーナはアリアの襟に見習いピンバッチをつけてやる。

「はい。動いてもいいわよ」

 アリアは襟を引っ張ってピンバッチを確認すると、にっこりと笑った。

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