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ロジーナ弟子をとる  作者: 岸野果絵
中級魔術師編
78/100

アリア、サーナと同室になる

アリアとサーナは同室になった。

二人は大喜びで連れ立って、指定された部屋に入る。


部屋には二段ベッドと、それぞれの机が並んでいた。

これからの数日間、二人はここに滞在することになるのだ。


「アリアちゃん。私、下のベッドでもいいですか?」

「うん。じゃ、私は上ね」

アリアは早速、二段ベッドの上に登ってみた。


初めての二段ベッドにアリアは興奮していた。

天井がすぐ近くにある。

確認するかのように手を伸ばして天井を触ってみる。

そして、今度はベッドの柵に手をついて、逆さになって下の段を覗いた。


「サーナちゃ~ん」

アリアは赤い髪を揺らしながら、声をかける。

何もかも新鮮だった。


サーナはアリアに軽く手を振ると、荷ほどきを続行する。

大きな袋からピンクの枕がでてきた。


「サーナちゃん。マクラ持ってきたの?」

アリアは逆さになったまま尋ねる。

「うん。私、マクラが違うと眠れないのです」

サーナはそう言いながら枕を置くと、今度はもう一つの袋を開けた。

中からゲージが出てくる。


「ミャー」

サーナがゲージの扉を開けると、中から茶色いぶち猫が出てきた。


「ネコちゃん」

アリアはバッと身を起こすと、すぐにベッドから降りた。

「この子はミーアです」

サーナは降りてきたアリアに猫を渡した。


「かわいいっ」

アリアが猫をなでなですると、猫は目を細めて喉をゴロゴロならした。


「でも、ペットを連れてきてもいいの?」

「ミーアはペットじゃないです。お友達です」

サーナはニコニコして、アリアの抱いているミーアを撫でた。

「どこにもネコさんを連れてきちゃダメって書いてなかったです」

そう言って、ふんわりと微笑む。

「そうだけど……」

アリアは視線を落とした。


確かに、事前に配られた注意事項にはそう言った記載はなかったが、本当に大丈夫なのだろうか。


「ホントは、プラムかシンを連れてきたかったんです。だけど、お師さんが、プラムは大きすぎるし、シンはみんなが怖がっちゃうからダメ、って言うんです。だからミーアにしたんです」

サーナはそう言って、さっと手を広げた。

ミーアはそれに応えるかのようにアリアの腕からサーナへ飛び移った。


「でも……」

アリアは眉間に皺をよせる。

「もしかして、アリアちゃんはネコさん苦手です? 」

「ううん。大好き」

「良かったです」

サーナはほっとしたように微笑む。


「ミーアはこう見えて、とっても狩りが上手なのです」

誇らしげに言った。


「ミャー」

ミーアは一声鳴くと床に飛び降り、ポンと窓に飛び乗った。

そのまま少し空いた窓の隙間から外へ出て行ってしまった。


カーンカーンカーン

廊下からベルの音が聞こえてきた。


「あ、集合の合図です。アリアちゃん。行きましょう」

サーナはベッドから出ると筆記用具を持ち、扉に手をかけた。

アリアはチラリと窓をみたが、「うん」と返事をすると、いそいで用意をして、後を追った。

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