女子旅
コーネリアは、ちょうどお弁当が出来上がった頃に現れた。
「おはよう~。今日はよろしくねぇ~」
コーネリアはリュックに登山靴という格好で、いつもおろしている髪を後ろで束ねていた。
「コーネリア、歩く気満々ね」
ロジーナも同じような出で立ちだ。
「うふふ。滝にも連れてってくれるんでしょ~」
コーネリアは小首をかしげながらにっこりと笑う。
「お師匠様ぁ。やっぱりたくさん歩くんですかぁ」
アリアが眉間にしわを寄せながら言う。
「本日、六時間の登山」
ロジーナは腰に手をあてて言い放つ。
アリアの顔が引きつった。
「と言いたいところだけど、ショートカットするわよ」
アリアはホッと息を吐く。
「でも、三時間は歩くわよ。朝練の成果を見せてもらわないとね」
アリアの表情が固まる。
たまらず、コーネリアがクスクスと笑い出した。
三人はロジーナの術で、山の中腹まで一気に飛んだ。
ザバザバゴゴゴゴゴ
大きな水音がする。
「いい音ぉ~。癒される~」
コーネリアはうっとりとした表情で言った。
「滝、早く見たいですぅ」
アリアも目を輝かせてる。
ロジーナはそんな二人に「おいでおいで」をすると歩き出した。
少し急な斜面を登ったきったところで、突然前方に滝が現れた。
「うわぁぁぁ」
少しばて気味だったアリアが走り出す。
「ちょ、滑るから気をつけなさい」
ロジーナの注意は間に合わなかった。
アリアの身体が傾く。
「あぶな……」
アリアはとっさに近くの岩に掴まって態勢を整えた。
「ふぅ」
「ふぅ、じゃないわよ。ほんと危なっかしいんだから」
追いついたロジーナは、アリアの頭をかるく小突く。
「すみません」
アリアはしゅんと下を向く。
コーネリアはそんな師弟の様子をクスクスと笑いながら眺めていた。
「お師匠様。虹が、虹がぁぁ」
アリアは滝つぼにかかる小さな虹を指さす。
水しぶきが朝日に照らされキラキラ輝いている。
「きれいねぇ~」
コーネリアもうっとりとする。
「でしょ~。朝は虹率高いのよ」
ロジーナは誇らしげに言った。
アリアは慎重に滝つぼの近くに降りて行く。
ロジーナとコーネリアはアリアの様子を見守りながら滝を眺めていた。
「きれいねぇ」
コーネリアは滝の上を眺めながら、ため息をつく。
朝日が少し黄色く色づいた葉を透かして輝く。
黄緑のような、黄色のような葉と、青空のコントラストに吸い込まれそうだった。
アリアは滝つぼすぐ近くに降り立つと、滝に向かって大きく手を広げた。
豪快な水しぶきが、アリアの髪や顔を湿らせる。
アリアは口を大きく開けた。
冷たい水しぶきが、口の中に飛び込んでくる。
「気持ちいい」
ロジーナは二人の様子をニコニコしながら眺めていた。




