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ロジーナ弟子をとる  作者: 岸野果絵
初級魔術師編
40/101

ロジーナ、頼みに行く

 ロジーナはアリアのことを頼みに、カルロスの元を訪れた。


「かわいい妹弟子の頼みだ。喜んで引き受けようじゃないか」

カルロスは胸をドンと叩いた。

「ありがとうございます」

ロジーナは深々と頭を下げた。


「アリアってぇのは、目ん玉のでっかい娘だよな。ハンスんとこのとやりあった」

「そ、そうです。きちんと言い聞かせますから……」

カルロスの言葉にロジーナは慌てた。

「元気があっていいじゃないか」

カルロスは大きな口を開けて「ガハハ」と笑った。

ロジーナはほっと息をついた。


やはりカルロスに頼んで正解だった。

カルロスはさばさばした性格で面倒見も良い。

その上、かなり前向き思考だ。


「俺んとこはむさっ苦しい野郎ばかりだからな。あんまりおしとやかでも困る」

カルロスは腕を組みながら顎に手をやりニヤリとする。

「女の子かぁ。野郎ども、大喜びするぞ」

ロジーナの動きが止まる。

「おう。心配すんな。俺様が指一本触れさしゃぁしねぇよ」

カルロスはソファーに反り返り、「ガハハハハ」と大声でわらった。

「はぁ……」

ロジーナはひきつった笑みを浮かべた。


そういう心配はしていない。

それよりも、アリアがカルロスのようにガサツになってしまうのではないか。

ロジーナはそのことが心配だった。


**************

 遡ること、数週間前。

クレメンスはカルロスの元を訪れていた。


カルロスが応接室に入ると、クレメンスは窓際に立ち、外を眺めていた。

「師匠。ご無沙汰しております」

カルロスは神妙な面持ちでお辞儀をする。

「元気そうだな」

クレメンスはゆっくりと振り向く。

「はい」

返事をしたカルロスにクレメンスは目でうなずく。


「そのうちに、ロジーナが弟子を連れてお前の元を訪れるだろう」

「ロジーナの弟子ですか?」

カルロスの問いに、クレメンスはうなずく。

「ロジーナの弟子、アリアには火の才がある」

カルロスが瞳の奥がキラリと光る。

「師匠がそうおっしゃるということは、かなり見込みがあるということですね」

クレメンスが「うむ」とうなずく。

カルロスの口元にニヤリと笑みが浮かんだ。

「それは楽しみですね。わかりました。喜んでお引き受けいたします」

「頼んだぞ」

「はい」

クレメンスは満足そうにうなずいた。


「それにしても師匠。相変わらずロジーナには甘いですね」

クレメンスはニヤニヤするカルロスに冷たい視線を送る。

「私にそのような軽口を叩くとは、ずいぶんと出世したものだな、カルロス」

カルロスの顔に緊張が走る。

クレメンスはふっと表情を緩めると「フフフ」と嗤った。

カルロスもいたずらっぽっくニヤリ笑う。


「さて。私は帰る。カルロス、くれぐれも頼んだぞ」

「お任せください」

目礼するカルロスに満足そうな笑みを残し、クレメンスは姿を消した。


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