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ロジーナ弟子をとる  作者: 岸野果絵
初級魔術師編
39/101

アリアの才能

 ロジーナとアリアは館の中庭に設置された修練場にいた。


 アリアは目を瞑り火の球をイメージする。


ボッ


アリアの目の前に火の球が現れる。

アリアはさらに意識を集中する。


ボボッ


立て続けに、先ほどよりも小ぶりな火の球が二つ現れる。


ロジーナはその様子をじっと眺めていた。


ボボッ


さらに小さい火の球が二つ現れた。

火の球は合計で五つになった。


ロジーナは内心驚いていた。

アリアは、昨日は二つの火の球しか作り出すことができなかった。

それなのに今日は一気に五つ。

成長スピードが驚くほどはやい。


ロジーナは確信した。

アリアには火の魔術の才能がある。

火の魔術に限って言えば、今の段階で、中級レベルは優に超え、上級レベルに匹敵する。

そう遠くない将来、火の術に関してはロジーナよりも優秀な使い手になるだろう。


アリアはゆっくりと目を開けた。

アリアの周りで、五つの火の球がゆらゆらと揺れている。

「お師匠様……」

「うん。数は上出来よ。ただし、大きさがバラバラね」

アリアは火の球を見回しながら頷く。

「もう少し、力の配分に気を配りなさい」

「はい」

「こればっかりは、自分で感覚を掴むしかないわ」

アリアはこくりと頷く。

「今日はここまでにしましょう」

「はい。ありがとうございました」

アリアは火の球を消すと、深々とお辞儀をした。


 ロジーナはアリアを残し、修練場の結界の外にでた。

アリアはしばらく自主訓練するようだ。


 ロジーナは中庭の庭石に腰掛けるとため息をついた。

訓練を続けるアリアを眺めながら物思いにふけっていた。


このままでいいのだろうか。

もちろんロジーナも火の術が使えないわけではない。

その辺の魔術師など相手にならないくらいの使い手であるという自負もある。

だが、アリアの魔力の質は、ロジーナとは違う。

ロジーナにはアリアのような火の才能はない。

このまま自分が教え続けていてもいいのだろうか。

火の才能がない自分が、アリアの火の能力をきちんと伸ばしてやることができるのだろうか。


「ほう。やはりアリアの火の才はずば抜けているな」

振り向くとクレメンスが立っていた。

「そうなの。あの様子じゃ、すぐに私を追い抜いてしまうわ」

「だな。で、誰に頼むつもりなんだ?」

ロジーナはきょとんとした。

クレメンスの言葉の意味が理解できなかった。


「ん?他所よそに訓練に行かせるのではないのか?」

ロジーナはハッと目を見開いた。


すっかり忘れていた。

なにも自分一人で抱え込むことはないいんだ。

自分では不十分な分野は他の師範の元に通わせればいいんだ。

そういえば、ロジーナ自身も昔、いろいろな師範の元に教わりに行っていた。

その先でトラブルを巻き起こしたことも多かったが……。

アリアならばきっと大丈夫だろう。


「お前は誰が適任だと思う?」


ロジーナはいろいろな師範の顔を思い浮かべる。

火の術に長け、アリアの魔力の性質に似ている人物。

そして面倒見の良い人物……。


「カルロス」

ロジーナはつぶやいた。

「いい選択だ」

クレメンスは満足そうに頷いた。

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