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ロジーナ弟子をとる  作者: 岸野果絵
初級魔術師編
38/101

アリア、居眠りをする

 こくり、こくり。

アリアが舟をこぐ。

ロジーナは説明を中断し、アリアの顔をじっと見つめる。


こくり、こくり。

ロジーナは頬杖をつき、右手の人差し指でこつこつ机をたたく。


こくり、こくり。

こつこつ、こつこつ。


がくっ。

アリアがハッと目を開く。

ロジーナとバッチリ目があう。

「おはよう」

ロジーナが抑揚のない低い声で言う。

アリアは動けなかった。

「私の目の前で居眠りするとは、いい根性してるわね」

ロジーナは口元に皮肉な笑みを浮かべる。

「す、すみません」

アリアは瞬きすらできない。

「まぁ、いいわ。今日はここまでにしましょう」

ロジーナは立ち上がった。


「来週、ルーカス君が来るから、空き部屋の掃除しといて」

「へ?」

アリアはぽかんとする。

「あら?言ってなかったかしら」

「ルーカスさん、旦那様のお弟子さんになるんですか?」

アリアは目をキラキラさせて尋ねる。

「そうよ」

アリアは満面の笑みを浮かべる。

ロジーナはアリアを薄目でキッと睨む。

「とりあえず、あんたも一応レディなんだから、涎たらしてる姿をさらすんじゃないわよ」

アリアはハッとして口元を拭う。


「ぶっ」

ロジーナは思わず噴き出す。


アリアは涎をたらしていなかった。


「お師匠様ぁ。ひどいですぅ」

アリアは頬を膨らませた。


*****

 朝食の片付けが終わると、アリアは玄関の前をそわそわと行ったり来たりしていた。

「アリア。ルーカス君が来るのは午後でしょ」

ロジーナがため息まじりに言う。

「わかってますぅ」

アリアはそう言うと、居間の方へ行った。


昨日から、アリアはそわそわして、いつも以上に落ち着きがなかった。

そんな状態で訓練しても身に付かないどころか、事故をおこすと判断したロジーナは、昨日の午後からアリアの訓練をお休みにしたのだった。


「まったく。座学だけでもやらせればよかったかしら……」

ロジーナは大きなため息をついた。



 ルーカスは予定の時刻より少し早めにやってきた。

玄関に陣取っていたアリアが満面の笑みで出迎えた。


「いらっしゃいませぇ」

「アリアさん、こんにちは」


ロジーナは玄関へと向かった。


玄関には栗毛の若者が立っていた。

年のころはロジーナよりも少し若い。


「はじめまして。先日はアリアが大変お世話になりまして」

ロジーナはお辞儀をする。

「いえ、こちらこそ、本当にいろいろと……。よろしくお願いいたします」

ルーカスは深々とお辞儀をする。

ロジーナはニッコリと微笑んだ。


なかなか誠実そうな好青年だ。


「師匠は奥でお待ちです。アリア、ご案内なさい」

アリアは「はーい」と機嫌よく返事をすると、ルーカスを先導し、居間へと向かった。


「あれじゃ、アリアが懐くわけね」

ロジーナは二人の後姿を見送りながらつぶやき、クスッと笑った。


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