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アリア、泣く
ロジーナが帰宅すると、アリアが待ち構えていた。ロジーナはまるでアリアの姿が見えないかのように、アリアの脇をすり抜け、自室に向かおうとする。
「お師匠様。ごめんなさい」
背後からアリアの声が聞こえる。ロジーナは立ち止り、ゆっくりと振り向いた。
「もう絶対に、魔術で人を傷つけたりしません。だから、だから、破門しな……」
アリアの目から涙が溢れ出す。そんなアリアを見て、ロジーナは優しく微笑んだ。
「わかればいいのよ」
「お師匠様ぁ」
アリアは泣きながらロジーナにとびつく。ロジーナはアリアを抱きとめると、頭をよしよしする。
「はいはい。わかればいいのよ、わかれば……」
アリアは何か言っているようだったが、嗚咽でよく聞き取れない。
「大丈夫よ。破門なんかしないから。もう、しょうがない子ねぇ」
ロジーナはクスクスと笑いだす。アリアはしばらく泣きやまなかった。




