ロジーナ、お土産を買ってくる
「ただいま」
「お帰りなさいませ。お師匠様」
アリアがニコニコしながらやってくる。
「うふふ。お土産買ってきたわよ」
ロジーナはケーキボックスを掲げる。講習会の後、コーネリアとお茶会をしてきたのだ。
アリアの顔がみるみる輝きだす。
「お紅茶の用意してきます」
アリアはスキップをしながら台所へと向かった。
アリアは口元で祈るように手を合わせて、ロジーナの手元を見つめていた。ゆっくりとケーキボックスが開く。淡いピンク色の彩り豊かなフルーツケーキの姿があらわれた。
「うわぁ、かわいいぃぃ」
アリアが感嘆の声をあげる。
「でしょ。ここのお店すごくセンスいいのよ。さすがはコーネリア」
「ほぉ。彼女のお勧めなら間違いないな」
クレメンスが目を細める。コーネリアのグルメ好きは、本部ではちょっぴり有名なのだ。
「そうなのよ。味もも~最高。ここのクリームってね……」
「お師匠様ぁ。早く食べたいですぅ」
アリアが待ちきれずにロジーナの袖を引っ張った。
「ごめんごめん」
ロジーナはにこにこしながらケーキナイフで切込みをいれた。
「どれくらい食べる?」
アリアは「うーん」と悩んでいる。
「クレメンスは?」
ロジーナは四分の一のあたりにナイフをあてる。
「私はその半分でかまわない」
ロジーナはクレメンスの分を取り分けると、悩み中のアリアを覗き込んだ。
「残り全部、いっちゃえば?」
ロジーナは囁き声で言った。アリアはフルフルと首を振る。
「お師匠様の分が……」
「私はもうお腹いっぱい。ちょっと食べすぎちゃったのよ」
「旦那様は」
「私はこれで充分だ」
アリアは二人の顔を代わる代わる見て「うーん」と悩んでいる。
「食べきれない?ホールにしない方がよかったかしら。困ったわねぇ~」
「食べれます」
首をかしげながら呟くロジーナにアリアは慌てて言った。
「アリア無理しなくてもいいのよ?」
ロジーナが優しい声色で言う。
「無理してません」
アリアは首を左右に振る。
「ほんとにぃ?」
ロジーナはちょっぴり意地悪な笑みを浮かべ、アリアの顔を覗き込む。
「遠慮してただけだろ?」
アリアはクレメンスのつっこみに思わず「はい」と返事をしてしまう。
「あ……」
慌てて口元をおさえたが、もう遅かった。ロジーナは大笑いしながらアリアのお皿に残りのケーキをおいた。




