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第一章 五人目の少女と野良犬の少年・3

※一部ゾンビがソンビになっていたので訂正しました

 3


 まどかたちは突如として姿を現した不動あざみに戸惑いつつも近付いてみたが、彼女は両目を瞑って俯いているのでまどかたちの存在には気がついていないようだった。そして精神統一をしているのか何やら考え事をしているのかわからないが、緩やかなウェーブのかかった髪をいじる指が相変わらずもじもじと動いているだけで一向に顔を上げる気配がない。しかし彼女の体には触れることも出来ず、どれだけ大声で喚いてみても声が届かないのだからどうすることもできない。


 そんな訳でまどかたちがお手上げ状態で不動あざみが目を開けてくれるのをただじっと待っていると、彼女はまるでかくれんぼの鬼が十を数え終えたみたいにぱっと顔を上げて目を開くと、まどかたちを見て驚いた顔を浮かべて、さらに周囲を見回してもう一度驚いたかと思うと、今度は両目をへの字にさせて嬉しそうに両手を上げてぴょんぴょんと飛び跳ねて喜び出した。


――やった! 今日は直接ここへ来れたよ!


 と、彼女は脇に挟んでいた大学ノートにそう書いて広げて見せる。


「どういうこと?」


 まどかがその疑問を黒板に書くと、不動あざみは人差し指を立てて「ちょっと待って」とジェスチャーで答えると、ペンを持つ右手を忙しく走らせた。


――始めて行く場所には歩いて行かないと行けない。でも一度行った場所なら直接行ける。意味わかる?


「なるほど。たぶん彼女の妹の(いものちから)はテレポートの類いなんだと思います。ただ肉体ではなく精神のみを実体化させて移動できるみたいですが……」


 と、椿。


「そういうことか。つまり彼女は第一さくら寮に来たことがないから昨日はここまで歩いてきたけれど、今日は直接ここへテレポートしてこれたことを喜んでいるのね?」


「たぶんそういうことだと思います」


「じゃあまどか先輩どこから来たのか聞いてみてよ。あとはどれくらいの時間その状態を維持できるのかも!」


 そうやって少し興奮している姫とは正反対に乙葉はまだどこか疑心暗鬼のようで、姫の背中に隠れるようにして怯えの浮かぶ目で不動あざみを見ていた。そんな乙葉を気にかけつつも、まどかは姫の言うように二つの疑問を黒板に書いた。

 すると不動あざみは即座に「サバーバンワールド 約三分」と書いて見せる。


「サバーバンワールドって去年できたどデカいショッピングセンターじゃない。ちょうど街の反対側よ。ゾンビが闊歩する街中を通ってそこから来たなんてすごいわ。彼女はある意味無敵じゃないの!」


 と、姫は興奮したように唸ったが、椿は冷静に「三分だとあまり時間が残っていない」と、次の質問を自ら黒板に書いた。


 『その力が使える一日の回数は? あと助けてとはどういうこと?』


――体調にもよるけれど一日三~五回くらい? ショッピングセンターから出られない。悪い男の子たちがいっぱいで逃げられない。


 その回答を見て、まどかたちの顔色が変わった。今度はまどかがもどかしそうに黒板に文字を書きなぐる。


 『悪い男の子たちにつかまってるの!?』


――かんきん? なんきん? そういう状態! ほかにも何人か女の子がいる。いた。


 『いた? どうなったの?』


――男の子たちに捕まった


 『捕まると殺されるってこと?』


――彼らのゲーム。さらって来た女の子たちをショッピングセンター内に逃がして捕まえるゲーム。捕まった女の子はその人の賞品。どうするかはその人の自由


 「な、なんてこと……!」


 不動あざみの返答にまどかたちは思わず言葉を失っていた。世界の終末に文明とモラルが崩壊し、訳もなく理不尽な暴力の嵐の中に放り込まれることになった無力な女の子はここにもいた。自分たちだけではなかった。しかも同じ学び舎に通い、もしかしたらいつかどこかで友情を築く可能性もあった学友だ。

 まどかは鳩尾の奥の辺りからこみ上げてくる激しい感情を堪えながらチョークを走らせた。


 『今のあなたはどういう状態!? 大丈夫なの!?』


――私はまだなんとか逃げ回ってる。でも捕まるのも時間の問題かも


 そう書き終えると、不動あざみは周囲をきょろきょろと見出して、昨夜と同じ泣き笑いの顔でまどかたちを見た。どうやら能力の時間切れか、差し迫った状況にあるらしい。


「不動さんこれを見て!」


 と、まどかは相手に届くはずもないのに大声で喚いて黒板をバンバンと激しく叩いた。

 そこに書いてあるのは「お昼にまたここで」という文字だ。

 それを見て不動あざみは泣き笑いの顔で何度も頷くと、すっと消えた。


「な、なんなんだよ今の女……!」


 レオが喉に張り付いた声でそう呟くと、彼の存在をすっかり忘れていた一同がぎょっとした顔で振り向いた。


「あんたまだ居たの!?」


 と、姫。


「いやいやいや、おれのことはいいんだけれどなんでお前らそんなに普通でいられるの!? どう見たって今の状況はおかしいっしょ!? それになに妹の(いものちから)とかテレポートって!? なんでそれで納得しちゃってユーレイと当たり前のように筆談してんの!? おかしいっしょ!?」


「ああ、うるさいわねえ! こっちもまだ頭が混乱してるんだから一度に話しかけないで! 乙女にはいろいろと事情があるのよ事情が!」


 と、姫は一喝すると、乙葉と肩を組んで「いっしょに砂糖たっぷりのコーヒーでも煎れよ。いま必要なのは糖分よ糖分」と調理場へと歩いて行く。そして振り向きもせずに、


「あんたにもコーヒーと乾パンくらい用意してあげるから黙って適当に座ってなさい」


 と声をかける。


 その光景をまどかが苦笑を浮かべて見ているとふとレオと視線が合う。すると彼は「じゃ遠慮なくご馳走になるっス!」と会釈をしたので、まどかの顔にさらに苦笑が浮かんだ。





 食堂でみんなでコーヒーを飲みながら不動あざみとの会話を整理していると、レオが興味深い情報をもたらしてくれた。


「さっきのユーレイ女が言ってたサバーバンワールドなんだけど、実は霧に包まれた当初におれも物資調達が目的で行ってみたことがあるんだよ。でも迷彩服を着こんで武装した連中が占拠していてヤバげな雰囲気がぷんぷんで、とても近付けるようなもんじゃねえよあれは……」


「ヤバいっていったいどんなふうに?」


 と、まどか。


「とにかくすべての出入り口にはトラックが横付けされてバリケードが作られているし、建物に近付けば二階や屋上から火炎瓶や投石、放水の雨嵐だ。しかもその騒ぎを聞きつけてゾンビがそこら中から集まってくるというおまけつき。まさに前門の虎後門の狼状態。あそこへ潜入するのも脱け出すのも無理ゲーがいいとこだよ」


「ていうか、その迷彩服を着た連中は何者なの!? まさかトチ狂った自衛隊員のわけ!?」


 その姫の質問に、レオが苦笑を浮かべて「そんな大層な連中じゃねえよ」と答えると、即座に椿が、


「恐らくこの事態を想定していた終末マニア……。 そいつらや私のような人間にとってショッピングモールはある意味聖地であり理想郷のようなものだから」


 と、ぽつりと呟いた。


「終末マニアとか聖地って君ぃ……!」


 そう姫が呆れた顔を浮かべた横で、まどかは一冊のノートの存在を思い出していた。椿と自殺した彼女の兄の二人で製作したという終末サバイバルノート。様々な終末パターンを想定し、そのパターンごとのサバイバル生活が記された自家製マニュアル。歪で純粋すぎた兄妹の無垢な絆の結晶。

 そのノートを片手に、この第一さくら寮に自分だけの王国を作り自由気ままにサバイバル生活を送ることを提唱した、不器用で人間嫌いの後輩が初めて見せた生き生きとした表情を思い出す。

 あれからもう一ヶ月。いや、まだ一ヶ月と言うべきか。


「その終末マニアの年齢や人数はわかるの?」


 まどかが気を取り直してレオにそう質問する。


「いや、さすがにそこまでは俺も知らねえよ。ただ氷川の下っ端と鉢合わせしたことがあるって言っただろ? その時に聞いた話だと、あいつらも一度ショッピングモール襲撃を企ててものの見事に撃退されてるらしいんだよ。で、その時に見知った連中がいたらしくて『あいつら上手くやりやがって』と先を越されたことをひどく悔しがっていたから、恐らく俺たちと同じ年頃の連中だと思う……」


 そのレオの返答に姫が「またDQNですか」とあきれた顔で肩を竦めて息を吐いた。


「――ところで相川くん、君はそのショッピングモールにも行って駅前の寮にも行ってみたと言っていたよね。そして今はここに居る。つまり世界がこんな状況にも関わらずこの街をほぼ縦断出来ているのはとても凄いことだと思うの。なにか秘訣でもあるのかな? あったら参考までに教えてほしいんだけれど」


「な、なんだよ急に改まって……。あと俺のことはレオと呼び捨てにするかレオ君かレオ様って呼んでくれ。相川くんなんてなんかむず痒くてたまんねえ」


 まどかの質問にレオはぶっきらぼうに答えてみせたが、顔はまんざらでもなさそうだった。眉間に皺を寄せて不機嫌を装っているものの口許はニヤけている。

 そしてまどかの質問の真意に気付いたのか、椿も「私も興味がある。あと街の中心地の高レベルゾンビの発生状況も」と付け加えた。


「まあそんな難しいことでもないんだよ。要はゾンビと鉢合わせするのを気をつければいいだけだから。俺は密集した住宅街じゃハシゴを使って屋根から屋根へと移動していたし、それ以外の場所では極力用水路を歩くようにしてたから」


「あんたなかなかやるわね! 私と乙葉ちゃんもスクールバスから逃げ出した時はそうしていたのよ。ね、乙葉ちゃん!」


「ええ、あまり思い出したくない記憶ですけれど……」


「だろ!? 用水路は左右が壁だから基本的に歩く時に音を出さず前後だけ気をつけていればいいんだよ。しかもゾンビはアホだからバシャバシャと音が聞こえてきたらその逆へ回避すりゃいいだけだ。そして用水路も屋根ルートも行けない時は下水道。匂いさえ我慢すればこれ最強。あとは乗り捨てられた車でガソリンが残っているやつを見つければもうこっちのもん。実はこれこそ最強。ゾンビの集団跳ね飛ばしながらゴーイングマイウェイ! もしかしたら生きた人間も轢いちゃってる可能性もあるけど、こんな霧だし不可抗力だよ。まあ捕まえにくるポリ公も居ないんだけど!」


 と、レオは悪びれた素振りもなく豪快に笑い飛ばす。そしてテーブルに立てかけてあった木刀を掴むと、赤黒く染まった切っ先をまどか達に向けた。


「しかし一番頼りになったのはやっぱりこれだ。先手必勝あるのみ。いつだったか姉貴が修学旅行の土産に買ってきてくれたものだけど、刃渡りの先半分に10キロのステンレス鋼を仕込んで破壊力が増した改造木刀。これを脳天に叩き込んでやればどんなゾンビも一撃さ!」


「しかしそれでは高レベルのゾンビに対応できるとは……」


 椿が素直な疑問を口にした。まどかたちの中でも高レベルのゾンビと直接的な肉弾戦を繰り広げたのは彼女しかいない。高レベルゾンビの生態を間近で体験した者の言葉には一言で言い表せない重みがあった。

 それはレオも感じたのか、彼の表情がすっと真顔になる。


「高レベルゾンビってあの人間離れした動きをする化け物だろ? あいつらに遭遇したら――ただひたすら逃げるのみ!」


 それを聞いて姫が乾パンを投げつけようとしたが乙葉が苦笑を浮かべつつ制止した。しかし椿はレオの返答に納得したようで「高レベルゾンビの割合は?」と質問を続ける。


「だから言ったろ? さっき俺が挙げたルートを組み合わせて移動すればまずゾンビに囲まれて危機的状況になることはなかったんだよ。単に俺の運が良かっただけかもしれないけど、俺が高レベルゾンビと遭遇したのは雑居ビルの中での一回のみしかないから。でもその時はもう死に物狂いでビルの中を逃げ回ったぜ。運良く相手が勢い余って四階の窓を突き破って落ちてくれなかったらヤバかった。あとは気配を感じて霧の中で身を潜めている時に、物凄い勢いで走っていったのを何度か見かけたことがあるだけで、割合までは正直わかんねえなあ」


「そうですか……」


 椿は思い切り落胆の色を浮かべるとまどかを見た。その黒目勝ちの瞳にはある決意が読み取れる。


「どちらにしろ、こうなったらあとの判断はまどか先輩に一任します」


 その椿の言葉にレオと乙葉が首を傾げ、姫が「私も椿と同じ!」と手を上げた。


「ん? なんの話だよ?」


「今のどういう意味ですかぁ?」


 一同の視線が集まる中、まどかはしばらくの深慮のあとで口を開いた。


「最終的な判断はもう一度彼女から話を聞いてみないとわからないけれど、私たち四人で不動あざみの救出に行こうと思う。そして――」


 それを聞いて乙葉とレオの二人が同時に驚きの声を上げた。乙葉は「そんな、そんな……」と世界の終わりがまたやって来たように強張った顔でうわ言のように繰り返し、レオは「いやぁ、いくらなんでもそれは無謀だよ」と感心しているのか呆れているのかわからない複雑な顔を浮かべて呟いている。


「――そして私たち四人がサバーバンワールドへ向かっている間は、さくら寮の留守番はレオ君にお願いします」


 と、まどかが告げると今度は姫と乙葉とレオが素っ頓狂な驚きの声を上げて、その横で椿が呆然とした顔でまどかを見ていた。


「ちょ、まどか先輩、不動あざみの救出には納得だけど、ヤマコ先生の弟だからってこんな今日始めて会ったどこの馬の骨かわかんないちんちくりんな男に、私たちの大事な桜の園を任せるなんて無謀すぎますよ! もしかしたらこいつ変質者かも知れないんですよ!?」


 と、姫が猛然と抗議の声を上げて、その横で椿と乙葉が何度も頷いている。そしてレオは面食らった顔をしつつもまどかに抗議すべきか、姫に抗議すべきかおろおろと迷ったあとでまどかに抗議した。


「い、いやいや、ちょっと待ってくれよ、なんで俺が留守番しなきゃならねえんだよ!? 俺はあんたらとは無関係だし、そんなことまでしてやる義理もねえよ……!」


「だってヤマコ先生の弟でしょ!? ヤマコ先生は最後の最後までさくら寮や私たちのことを気遣ってくれてた! なのに弟の君が私たちに協力できないなんて道理はないでしょ!それでも男なの!?」


 と、まどかが立ち上がって一喝すると、その剣幕に押されたレオは「でもよ……」と口篭る。そしてまどかは一転して穏やかな顔に戻ると、


「――レオ君、これはお願いであると同時にビジネスの話でもあるの。私たちが帰ってくるあいだ君には寝床と食料が保証される。そして私たちは不動あざみを救出するとともに、これから先の食料も調達してこなければならい。ここの留守を守るだけで持ち帰った食料の一割が自動的に手に入る。どう?悪くない話でしょ?」


「うーん、確かに……」


 と、レオは腕を組んで考え込む。そして、


「いいぜ。その話に乗った!」


 と、答えると姫と乙葉と椿から激しいブーイングが沸き起きた。

 しかし、まどかはその反応を想定していたようでレオの方にもう一度向き直るとやや芝居がかった口調で話し始めた。


「というわけで交渉は成立したけれど、ご覧のように第一さくら寮は男子禁制の花園で寮生からの反発もとても大きいので、留守番中の寝食はすべて外のスクールバスでお願いします。男なんだから一度決めたことは撤回しないですよね……?」


「あれ……? もしかして俺、ハメられた……?」


「そんな人聞きの悪い……、これはビジネスと桜の園の秩序の問題よ。そしてヤマコ先生は第一さくら寮の担当で、その弟であるあなたがこのタイミングでここに現れたのは偶然でもなんでもなく必然よ。そうは思わない……?」


 まどかは笑顔に似せた表情を顔に貼りつかせたままそうレオに詰め寄った。まるで母親が子供に約束を強要するような静かな圧力に圧されてレオは思わずこくりと頷いた。

 するとまどかは今度は本気の笑顔を浮かべて、椿と姫と乙葉を振り返った。


「今日からしばらくの間、第一さくら寮の留守を守ってくれることになった番犬代わりの相川レオ君です。これは設備保全のためには必要な処置であり、寮長権限を行使してすでに決定済みの事項なので批判苦情その他諸々は一切受け付けません! いいですかあ!?」


 しかし三人がどうしていいものかと無言のままでいると、まどかは笑顔のままジッポライターをカチャリ。勢いよくニメートルほどの火柱が立ち上がると、


「はい……!」


 と、椿と姫と乙葉の三人はまどかの勢いに飲み込まれて渋々と返事をするしかなかった。




 6月2日 月曜日   記入者 花城まどか


 何やら書けばいいのやら。

 いろいろと大変なことになりそうだ。

 まず寮に妹のいものちからを使って、精神体だけでテレポートしてきた不動あざみ。

 彼女が囚われの身となっている郊外のサバーバンワールドというショッピングモールは、第一さくら寮から見てちょうど正反対にあたる街の郊外にある。直線距離にして約十キロも離れている。


 しかし私たちは不動あざみの救出へ向かうことを決めた。

 私たちは無力だったが、今は少しだけこの運命に抗える力を手に入れた。単なる自惚れかもしれないが、誰かを助けられるのならば助けたい。差し伸べられた手を出来る限り掴みたい。


 出発は明日。今回は四人揃って出掛ける。前回のような危機的状況は懲り懲りだ。乙葉ちゃんはずっと不安がっていたが、かと言って一人でまた寮へ残って怖い思いをしたくないので一緒について行くと言ってくれている。


 そして不動あざみには今朝を筆頭に正午と夕方に二回とテレポートしてもらい、合計四回の会話で出来る限りの情報を引き出した。

 そのなかでわかったことは、


・不動あざみは一回三分のテレポートでどうやって第一さくら寮まで辿り着いたのか?→入寮している第三さくら寮の管理人室で連絡名簿を手に入れ、そこに記入されていた住所を基にして、近場で一度来たことがある場所へテレポート。あとはそこから歩いて辿り着いたらしい。それでも二日間計十回のテレポートが必要だったとのこと。


・なぜ第一さくら寮へ?→仲の良かった親友が行方不明で探していたらしい。


・サバーバンワールドの男たちの素性と人数は?→高校生を中心とした100人近いグループ。その中心メンバーは同じ高校のクラブ仲間らしい。何のクラブかは不明。全員がボウガンやエアガンなどで武装している。


・一日のなかで正午から二時間と夕方からの二時間が「ゲーム」の時間。開始時間はランダム。館内放送で音楽が鳴っている間がゲームタイム。それ以外の時間は彼らは襲ってこない。施設内も自由に歩き回れて店内の食料も自由に食べられるが、出入り口には常に見張りがいるので脱け出せそうにない。


・女の子の数は最初連れてこられた時は五十人ほどいたが今は十人前後。歳は十代後半から三十代まで。グループを作って共同で逃げ回っている人もいるが、不動あざみは単独で行動しているとのこと。


 と、ざっとこんな感じだ。

 とても胸糞が悪く、一刻も早く彼女やほかの女の人たちを助け出してあげたい。

 しかしこの要塞のようなショッピングモールをどうやって攻略するのか。

 そこはそこ。相手が終末マニアかなにか知らないが、こちらにも筋金入りの終末マニアがいる。しかも妹のいものちからでパワーアップ済みだ。


 その椿ちゃんは寮に置いてあったタウン誌のなかからサバーバンワールド特集号を見つけ出してきて、いま隣で一生懸命に攻略作戦を考え出してくれている。とても頼もしい。


 ―追記―


 あと今日から番犬のレオ君が第一さくら寮に住むことになった。

 さっきみんなで余っている毛布や発電式ランタン、調理済みの非常食とお茶を届けてあげたら非常に喜んでくれていた。

 尻尾があればもう少し可愛げが増してよかったのにね。


次回より第二章突入です。

な、なるべく早く投稿できるように頑張るんだおれ……


誤字・脱字を見かけたらお知らせ頂けると助かります。

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