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白の覚醒  作者: 馬神カル
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第一話「前兆」

いつもと同じ夏の朝の匂い。昨日は夜に雨が振ったらしく余計に夏の木々の匂いが際立っている気がする。俺的には最高の朝だ。すごい気分がいい。こんな時は学校についたらまず自販機でお気に入りのコーヒーを買って、誰もいない屋上(実はとある事情からカギを持っている)で一服といきたいところだ。


 俺が通う私立立命学園は。。。。まあ取り立てて特徴もない普通に学校だが、家から近いし田舎の割には繁華街にも近い。まあ普通に学園生活を楽しみたいやつにとっては理想的な学校といえるだろう。ちなみに俺はいつもチャリ通だ。




「ハル」


学校について自転車を駐輪場に停め予定通り自販機でコーヒーを買おうとしてた時に隆道に声をかけられた。隆道は中学から同じクラスになり続けている腐れ縁的な友人だ。


「よ~タカ。ておまっ。。。何その頭??」


その声に振りかえったとたん爆笑してしまった。昔やってたコント番組を思わせるように、髪の毛のてっぺんがチリチリになっているのである。


「それがよ~。朝家でる時はなにもなかったのに学校についてこんなことになってるのに気付いたんだよね」


タカは自分の髪を触り涙目になりながら話している。どうやら来る途中周りからの熱い視線に今更ながら気づいたらしく、恥ずかしくてたまらんらしい。


「なんだそりゃ。一体ここに来るまでに何が。。。」


「しらん。とりあえずテンションが下がった。。。帰る。担任にはなんか適当に理由つけて言っといてくれ」


とそれだけ告げるとさっさと行ってしまった。


「へいへい~。気の毒に。明日は坊主になってるお前を期待しているよ」


手をひらひらと振り、同情のセリフを言ってあげるとタカは軽く舌を出しば~か、っと言いながら歩いていった。


まああいつは中学のころは坊主だったし、別に髪の毛くらい気にはしないだろう。もう生えて来ないとかなら別だけどな。



「。。。。。。ん?」


不意に違和感が襲う。


今日はウチの通学路でゲリラ戦でもあったのか?


タカほどではないが、あいつ以外にも制服が煤けていたり、軽く汚れている生徒がちらほらいやがる。そいつら事態はなにもなかったような雰囲気で普通にしている。


「。。気にしすぎか」


気にはなったが何せ俺には朝の一服をしたいという欲求から違和感を無視することに決め屋上に向かった。


「ふぅ~。やっぱ落ち付くな~。」


俺は1人屋上でタバコとコーヒーという愛称抜群のセットで朝の素晴らしいひと時を満喫している。まあ未成年なのに喫煙というツッコミはこの際スルーしてもらいたい。兄貴のタバコを試しに吸って以来、ハマってしまっただけで決して不良と言うわけではない。一度やり出すと止まらない性格なのである。


「。。。ん?。。やべ!!」


ある殺気を感じ俺は急いでタバコをもみ消し飲みかけの缶コーヒーに入れる。もみ消したタバコを入れると同時に屋上の扉が勢いよく開く。


「こら!ハル!あんたまた。。。。。」


1人の少女がぷりぷりと怒りながらこちらの方へ歩いてくる。こいつはアキ。朱色の美しい髪に切れ長の大きめの目。タカが言うにはこいつを狙ってる連中がちらほらいるらしいというくらいまあ美人の部類に入ると思う。アキとは小学生からの付き合いで家も近いことから何かと世話を焼いてくる。まあ幼馴染というやつだ。


「な、なんのことかな。。?」


俺は遠い目をして右斜め上空を見つめ全力でとぼけてみる。


「うそつけコラ!!」


「ぐはっ!!?」


アキの見事なフックが俺のわき腹を襲ってきた。


「てめっ!いきなり殴る奴があるかこらぁぁ!!」


「あんた言ったよね~。この前あたしに見つかった時にもうタバコなんて吸いませ~んと。。。泣きそうな目で!」


「いや、だから吸ってないっての!!」


「ほほ~う。。んじゃあこの缶コーヒーの中身はなんじゃこらぁぁぁ!」


なんとアキは俺の吸い殻が入っている缶コーヒーを逆さにしてじょぼじょぼと垂れ流しているではないか。。。そんなことしたら昇降口付近にいる生徒たちに掛ってしまうではないか。。


「うぐ。。。。」


「何か言いたいことは??」


「ご、ごめんなさい」


もうこいつがこうなったら謝るしかない。。。以前同じような状況で罰として携帯を折られそうになったことがあるくらいだ。そう、恐ろしい子なのです。


「分かればいいんだよ分かれば!もうしないって約束してよね!次見つかったら退学になっちゃうんだよ?。。。。一緒に卒業できないじゃん」


アキは最後の方にぼそっといいながら赤面していた。


そう、こいつはいわゆるツンデレ一直線な女なのである。幼馴染で世話焼きでツンデレ。仕方ないから全国民が思っていることを言おうではないか。せめてもの償いだ。


俺は顔を真っ赤にしているアキの肩に手を置きこう言った。


「ナイスベタ!」


「ばかぁああああああ」


そういった瞬間さらに赤面したアキからさっきよりも強力な蹴りが飛んできた。


「ぐほぉ!!」


俺にけりを入れた後何かを叫びながら行ってしまった。分かりやすいというかなんというか。。憎めない奴である。


「ふぅ~。今日も世界は平和だな」


いつもの屋上も、いつもの幼馴染のやりとりも、世界にありふれている「いつも通りな結果」ってやつに俺は満足している。世の中には普通が嫌だとか、刺激的な毎日がいいなんて言う奴もいるけど、そんなものは贅沢だ。普通に幸せな毎日を遅れている今日がこの先もずっと続けばいいと思う。ベタだけどな。


そんなどうでもいいことを考えながらアキがこぼしていったコーヒー(タバコ入り)の処理をしていると、空気が張り詰める、もしくわざわついた感覚に襲われた気がした。その瞬間。。


ーーーーピリッ!!------


俺の目が正常であれば、遠くの空中で鳥が”出てきた”ように見えた。表現が難しいが空気を切り裂いて突然現れたといった感じだ。その鳥はというと何事もなかったように優雅に空の散歩を満喫しているようだった。。


「。。。。はぁ~疲れてんのかな~~。この年で目の錯覚とは」









初めて書いた小説ですので、読みにくい箇所も多々あると思います。連載形式でいこうと思いますので、段々うまくなっていけるよう努力していきます。

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