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蒸気ロボット仮想戦史 ゴールドラッシュ&ゴールデンエイジ  作者: 白金桜花
最終章:大決戦!大団円を手に入れろ!
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その1

薄暗い橙色のライトが照らす艦内を私は背後に仲間を連れ、歩き進む。

曲がり角に出たら立ち止まり、確認し、待ち伏せが居ないか確認し、堅実に進む。


「こちらデルタのキャロル、フジオカ隊長、そっちはどう?」

「現在敵との交戦による被害はなし。しかし薄暗いな……まるで別世界だ、一体どのぐらいの規模なんだ?」

すぐに返信が来る、私達と同じような感じね……彼の方が先行してるって事は、大分長く続くのかしら。

「さてね……遺跡、って言われるぐらいだし、相当のものじゃないかしら……OK、また通信するわ」

無機質な金属製の壁を見て、また曲がり角になったので待ち伏せを確認しつつ私は言う。

角の先は一直線の下り通路になっていて、それで機械製の扉……自動扉って言うのかしら?近づいたら開く扉があるわね。


「うーん……」

私は考える、自動扉の先に敵は待機してそうよね……

でも、ジパング製なら、接近戦でしかキャリバーを倒せない訳だし……なら、機関砲を正面に構えれば問題ないわね。

問題は南軍残党が待ち伏せしてる場合だけども……

「……何か問題でも?」

後ろからリチェットが声をかける。

「ああうん、大丈夫大丈夫、先は自動扉……まぁ、近づいたら自動的に開く扉よ。だから待ち伏せがあるかもしれないから、装甲の厚い私が先行するわ、ついて来て」

そう私は言って曲がり角から曲がり、通路の足を進める。

「しかし本当にこんな所があるとはなぁ……」

「蒸機鎧が入れるって事は、ここって蒸機鎧を使って移動するのが普通だったのか?」

傭兵達は他愛のない事を話しながら私について行く。

ま蒸機鎧の原型になった機体を運ぶための通路としたら、納得だけど……この船って何の船だったかしら……文字にしてもある程度解ったけど、やっぱり曖昧な部分も多いわね……

そう考えていると私は自動扉の前まで来て、立ち止まる。

ドアはまだ動かない位置、物体を感知するセンサーの直前で足を踏み留める。

「行くわよ、こっからが本当の戦場よ」

私はそう言って機関砲を構え、足を踏み出した。


自動扉が上にスライドし、扉の先が明るかったのか私は一瞬視界が眩む。

「っ!」

反射的に正面に構えていた機関砲の弾を一発放つ。

その直ぐに視界が慣れ、視界の先が何だったのか解る。

扉のすぐ先は飛空艇の発着場みたいになっていて、そしてそのさらに先には……広大な都市があった。

アメリカの都市ではない、今まで見た事無いような無機質で直覚的な高層ビルが立ち並ぶ。

それは無人の都市、天井には太陽の代わりに何個もの発光物体があり、私達が来た発着場は木々が植えてある高台のような場所にあり、街の中央には巨大な、どの高層ビルよりも巨大な塔が立っていた。

私はまず首を出し左右を見る。敵は待ち伏せしていない事に、私は安心する。

「大丈夫、先に進むわ」

そう私は言って、足を進める。

発着場と思わしき場所から中央へは(さか)になっていて、中央が最下層という逆ピラミッド型の構造になっていると、私は認識する。

「何だこれ……何だこれ」

「俺の友達のホラー作家に愛造って奴が居るんだけど、そいつが見たら発狂しそうだな……」

「非常に考古学的な価値の高い白尾のですわね……隊長は何か知ってるのですか?」

リチェットは私に聞く。

「どうせ見ての通り古代の都市でしょ。進みましょう、敵が待ち伏せしている可能性が十分に高いわ」ここで議論を交わす意味は無い。

私は腰からカタナを抜き、何時跳びかかる機体が来るかを警戒しつつ、一歩、二歩と足を進め、ビル群の中に入って行く。


「……こちらデルタのキャロル。フジオカ隊長、今戦艦内の居住区画に入ったわ」

私は隊長に通信をとる……彼から連絡が来ないって事は……道に迷っているのかしら?

「居住区画だって?困ったな……こちらは行き止まりだ」

「……行き止まりかは近づかなきゃわからないわよ。壁の目の前まで立ってみて、それで解るわ」

私は立ち止まり、周囲を確認しながら言う……フジオカ隊長が来てくれれば助かるわね。

「……お、開いたぞ!こういうからくりだったか……なるほど、こっちも居住区に来たぞ──」

その時だった。


砲声が何発か鳴り響く。


「敵かっ!?」

「どこだ!どこだ!」

傭兵達が警戒しようと体を動かし周囲に敵が居ないかと騒ぎ始める。

「……フジオカ隊長!?状況は!?」

私は冷静に、周囲を見回しながら声を出す。

「……敵の奇襲だ!気をつけろ!空を飛びだしたぞ!」

フジオカ隊長から声がすると、私は空を見上げる。

その頭上にはジパングの蒸機鎧が3機居て、今にも急降下攻撃を行わんとしていた──!

「こっちも来たっ!」

そう叫ぶように声を出し、機関砲を上に向け3発放つ。

2発はそれぞれ2機の敵の蒸機鎧を直撃。

だけど3発目は反動のせいで上手く当たらず回避される……命中精度の低下はきつい……!

「大将首!貰ったぁ!」

そしてその機体はカタナを上段に振り上げ私に飛び込むように接近する……

現在地は高層ビルがいたるところにあり、跳躍での回避は機体をぶつける可能性が高い。

私はそう考え、120mm砲の銃剣をそのまま敵機の目前に殴りつけるように突きつける!

銃剣は装甲を貫き、私は即座に振り下ろすように力を入れ、両断し、その後周囲を見回す……!

私の居る位置から見える左右の道路から低空飛行した機体が3機づつ、恐らくは背後の、傭兵団が居る所より少し後ろからも伏兵は同じように来るはず……!

「傭兵団は背後及び上空を警戒!私は右通路の敵をやるから、リチェットは左通路任せた!」

私は指示を即座に言い放ち、右側を向く。

そしてやってきた接近しようと来る蒸機鎧に対し機関砲を間隔をつけて反動が出過ぎない様に放った。

一発目は命中し、機体が回転しながら吹き飛び、2発目は回避されるけど1激目で吹き飛ばされた機体に激突してしまい、一緒に破片になる。

それを見て狼狽したのか3機目は上昇しようとするけど、彼が向かう位置に弾を置くように左腕を動かし、弾を放ち、破砕する。

私は首だけを背後180度に回す。りチェットの方も同じように狙撃砲で3機を撃墜していた事に安堵する。

「うわぁ!助けてくれ!」

背後から拡声機の音声が聞こえ、私はその方向を見る。

3機のジパング製の蒸機鎧が傭兵隊の中に飛び込んで、1機、2機と接近戦で仲間を殺し回っていた。

「っ……リチェット!一歩後ろに下がって左右の対処を!」

私はそう言うと左足を軸に体を回し、首を元の位置に即座に戻しながら近接戦闘を行う敵に向け跳びかかり、横から敵の蒸機鎧の1機を銃剣で突き刺す。

「何やっているの!数でボコボコにしてやりなさい!」

私はすぐに腕を上に上げ、突き刺した機体をまた両断し、軽く跳躍し頭上を取る。

そして敵の真下にスラスターで位置を合わせ、右腕のワイヤーダガーを射出する。

ダガーは敵に刺さり私は即座に敵機を振り回しても大丈夫な位置にまで引き上げると、ビルに向けた叩きつけて破壊する!

残るは1機!そうワイヤーを戻しながら考えた私は下を見たら、乱戦に入った最後の1機は、傭兵の手で押さえつけられナイフをコックピットに刺されている事を確認する……だとすれば、警戒するのは上!


私はそのままスラスターで機体を上昇させ、高層ビルの上まで移動し、辺りを見回す。

遠くの空から煙が立ち込めるのを目視、恐らくフジオカ隊長の所が交戦しているのだと考える。

他にも空には多数のジパング製蒸気鎧が私達に殺意を向け向かってくる所を確認でき、その数は……ざっと60ぐらい居そうね。

かなりの数、私が見える範囲でも60とすれば、フジオカ隊長の居る地点も同じ数相手にする事になる。

大体倍ぐらいの戦力比、恐らくこれは足止めだというのは解る……だとすれば、施設の最深部に敵の指揮官と精鋭は向かっている?

私は全方位から飛び、私達に近接戦闘を仕掛けようとする敵機を撃墜しようと、120mm砲を撃ち続ける。

強い衝撃が機体にかかるけど、私はそれでも強引に狙いをつけ放つ。

命中精度は恐らく30%程度、三分の1を撃墜する勢いで戦う。

だけど、それでも数の差は圧倒的、このままじゃ弾切れでやられるのは自明の理……!

「ええい!あの機体は何だ!何処の贋作鎧だ!」

「知らぬ!だが帝国特務隊だと言うのなら村正工房の裏切り者、将軍家に付いた者か!?」

「いいや、あれは米国が作りし贋作の筈だ……小癪な!我らの技術を奪うとは!」

敵の叫び声が聞こえる、迎撃はしてるけど連射力とかで問題は多いにある……


なら、この位置で迎撃と言う手段を私は放棄する事にした。

スラスターを上に向け一端上昇、次に右側スラスターを前方噴射、左側を逆に噴射する事で急旋回する。

敵は私の方に意識を向けたのが、何機も私に続いて接近してる事を確認。

即座に右側にスラスター推力を集中させ急加速し敵の突撃する線から逃れ、前方に推力を向け加速。

敵が旋回をする前にすれ違う距離になった時、まるで槍でも撃つように砲弾を放ち、何機も破砕する。

地面に直撃する前にスラスターを制御し上昇角に強引に持ってきて、直線的な動きしかできない敵機に対し、左右の急加速が可能な機体で翻弄する一撃離脱の空戦……クロススラスターの推力はジパング機を凌駕するからこそ可能な、強引な戦法。

本来ならこんな無茶な、何時壊れてもおかしくない機動なんてやるのはまっぴらだけど、背に腹は変えられなかった。


空で集めた敵に一撃離脱の攻撃を仕掛け、撃墜して行った。


ビルの合間を高速で低空飛行する機体に追いつき、カタナで切り抜け、強引に切り捨てた。


私達の仲間を空爆しようとする飛空艇に接近し、ワイヤーダガーで何機も両断した。


だが、数が違った、相手の数は圧倒的、60機なんてものではない……その三倍は居る気がしてきた。


「……リチェット、状況は?」

「こちらは12機友軍が撃墜されましたわ、ですが、練度は私達の方が上、その倍は損害を与えています……」

「こちらフジオカ、キリが無いな……飛空艇隊と共にリチェット中尉の場所まで合流する。

位置はわかってるから問題ない、そちらも問題ないのならそこで戦力を集中させ迎え撃つが……構わないか?」

「問題ないわ、可能ならお願い……」

私はそう言いながら、ビルの屋上を足を使い、スラスターを使わないように飛び移りながら背後から追ってくる機体と戦闘を続ける。

クロススラスターは酷使されたことにより、模式図の色が黄色になっている事にそこで気づいたからだ。

「やっぱりそう上手く暴れられる訳ないわよね……それに……」

私はそう言いながら、ビルに飛び移り加速を止め、右足を軸に左足を蹴り、体を回転させ、即座に振り向く。

「こっちのやり方の方が、私には合ってるもの」

そう言いながら接近してきた2機の敵機に120mm砲を叩き込む。

彼らが重なる瞬間に引き金を引くと、弾は貫通し2機の蒸機鎧は瞬く間にただの破片となった。

「……こちらフジオカ、提案がある、いいか?」

「ええ」

私はそう答えながら、周囲を警戒する、ちょっと跳び過ぎて戦線から離れすぎたのか、敵機が追撃する様子はない……道理で機数が少なかった訳ね……囮になるように早く戻らないと。

「ここは我々とリチェット中尉で抑える、先に中枢と思わしき中央塔に向かってくれ」

「……リチェットの意見は?」

囮のつもりで戦ってた私一人で行けって……確かに逆卍党だけなら何とかなるかもしれないけど、アレンまで居るのよ?

「私は構いません、それよりも逆卍党のリーダーが持っているであろう、キーを奪う方が先決ですわ……」

リチェットも同じことを言った……私は……迷っている暇は無かった。


キーを奪って合流して、撤退すれば私の勝ち。


なら、やるしかない。


「……解ったわ、すぐに鍵をみつけたら、そっちに合流する。だからそれまで持ちこたえて、これは命令よ、私が鍵の一つを奪還したら、すぐに撤退して保安官隊と合流しましょう」

そう私は連絡を行った後、ビルから飛び降り、スラスターを使い落下速度を減速させる。

その後地面すれすれの所でホバリングし、前方に推進力を集め、ビルの隙間を通り、中央にある巨大な建造物へと向かう。


どんどんと坂を下り、進んだ先にある巨大な建造物に繋がる道路には、ジパングの蒸気鎧何機かが飛空艇をその場で切り貼りしたようなバリケードを貼り防衛していた。

「敵機!?……突破されたのか!?」

「何だあの機体は!ジパングの機体か──」

拡声機から声が聞こえた時には、私は機関砲の弾を強引に連射していた。

弾幕が飛空艇などでつくられた杜撰なバリケードを吹き飛ばし、私は一端上昇する……本当、無理やりな動きよね……けど、まだ持って頂戴……!

上昇し、天上スレスレまで高度を得た後、180度旋回し急停止。

高度を保ち、敵がやってくるのを私は待つ……そして、彼らは一目散に私の方に向かってきた。

「追撃の数は15……たかが烏合、されど烏合、スラスターは何時壊れるか解らない、状況を決めるのは時の運……!」

私はそう自分に言い聞かせながら、近づこうとする敵に対し、左右のスラスターの急加速で襲い来る太刀筋から逸らし、回り込み、そして接近した敵機を1機、2機と叩き落とす……

アレンが行ったような左右への急加速、負担をかける技だけど、なりふりなど構っていられなかった。

次に5機の編隊が私を囲むように動く……なら高度を下げ、そして敵とすれ違う時に上のスラスターの角度を右に向け、下のスラスターの角度を左に向けての急旋回を行い、機関砲を放ち続け、5機を何とか落とす。

残りは8機……これ以上の空戦は危険、そう私は本能的に感じた私は再度機体を急旋回による反転を行った後、地面に向け減速しながら着地する。

「隙ありぃ!」

私が着地した隙を狙って、2機の蒸機鎧が私の視界の左右から、渾身の突きを繰り出そうとしていた……

だけど私も甘くない。即座に左足を軸に体を右に90度旋回した後一歩引き、左側から飛んできた相手の突きが空を貫いた瞬間、右腕のカタナを抜いて横に薙ぐ。

左側から飛んできた1機が切り裂かれ、そして反対方向から突撃してきたもう1機に、120mm砲の弾を一撃叩き込み、破砕する。

「これで10機……残りは……?」

私はそう考えながら塔の方へと旋回し、塔を見上げる。

塔の方から2機の機体が見える……おかしい、2機での連携は先ほど失敗したはず……だとすれば……!

私は即座に地面を蹴り水平に跳躍し、彼らに接近しながら、2発の機関砲を叩き込む。

2つの機体はあっさりと撃破され、私は着地した瞬間にすぐに右足を軸に180度旋回し、坂の上を見る……1機の蒸機鎧が先頭に立ち、そこから大分後ろに2機の蒸機鎧が編隊を組んどり先頭の機体はたった今上昇しようとしていて、3機とも45mm砲を私に向け何度も放つ。

敵の目的は挟撃、けど、この機体ではビクともしない……本当にいい装甲ねこれ。

私は即座に上昇しようとする機体に機関砲を一発叩きつけ撃破し、そして残った2機も機関砲を一発、二発と撃ち撃破する。

「弾幕が貼るのが苦手になったけど、それでも威力は抜群よね……」

私は防衛部隊が壊滅したことを確認するとすぐにスラスターを起動し、塔へ向けまた加速を開始した。


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