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蒸気ロボット仮想戦史 ゴールドラッシュ&ゴールデンエイジ  作者: 白金桜花
第六章:大逆境!それでも私はくじけない!
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その5

会議は終了し、私は次の作戦で使う機体の説明をしてもらいに、基地の格納庫に向かう。

一応博士に聞くと、キャリバーの改修機でまた色々詰め込んだと言ってるけど……一体どんなのかしらね……


とくに何事もないまま私達は格納庫にたどり着くと、様々な機体が待機し、また作業を行っていた。

その中にはジントやフジオカ隊長達の機体であるムラマサもあり、ムラマサの外見はジパング甲冑的な和式デザインと、飛蝗や蜻蛉等の、昆虫類をモチーフにしたと思われる頭部、首元にマフラーのように色づけされた蒸気パイプがあるのが特徴的に見えた。

「これですよ隊長」

私が様々な蒸機鎧を興味ありげに見ていると、来夏が1機の蒸機鎧の前に足を止める。

私は来夏の視線の先と同じ方向に体を向け立ち止まる。


そこにあった機体は……確かに大きさはキャリバーだった。

けど外装はアメリカ製というにはあまりにジパング甲冑的なデザインであり、頭部はジパングの伝承の、オニを思わせる2本の角、律儀に左側の腰部にはカタナまで装備している。

破壊された左腕のフォルムも外装でごまかしてはいるけど骨格が隙間からむき出しになっていて掌はなく、その代りに120mm機関砲が長細い弾倉と一緒にそのまま腕と一体化していて銃身には槍のように長い銃剣がとりつけられていた。

そしてその背部には、棺桶の代わりに巨大な十字架のような装置が取り付けられているのが正面からでも見える……


改修されたキャリバーは、ヒロイックになるどころか、余計悪役らしいデザインだった……

どう見ても悪の大物が乗る機体よね……色も気づいたら黒くなってるし。

「……えーと、ジパングの最新鋭機かしら?」

つい、現実逃避の言葉を発する……私は女の子だというのに……なんでこんな地獄から這い上がってきた悪魔」みたいなデザインの機体に乗るハメになるのよ……

「……これ、キャリバーですよ……現実を見てください、隊長」

来夏が私をかわいそうなものを見る目で見ながら言う、最悪な現実よ……

「……前も言ったけど……もうちょっと女の子が乗る事を考えて欲しいデザインよ……」

「はぁ……一般的には隊長にぴったりなデザインってこういうのなんですよ、諦めて下さい」

来夏の言葉が深く突き刺さる……世間的には私は恐怖のロボット女なのね……今更すぎるけど

「はぁ……リチェット中尉、貴方の意見、お願い……」

「……デザイン面は強さと凶悪さを兼ね備えてて申し分無いと思いますわ……まぁ、少女が乗る機体にしては物々しいとは思いますが、時間もありませんので妥協するしかないと思いますわ」

「……ありがと。それで機能についてはどうなっているの?」

結局、私はこんないかにも悪役っぽいデザインの機体に縁があるともう諦める。

それに見てくれよりスペックがどうなっているかが問題よね……

「ジパング軍やそこら編にあるパーツを用いて破損個所を修復したキャリバーだ。補充物資も使ったがそれでも修復不能な個所が多く、外装関連は大部分を交渉によって得たジパング軍の予備パーツを使用。また120mm機関砲は修復不可能となった左腕部に武器腕にする事で背部のウェポンラックを使わないでも稼働が可能になり、また背部にはこれもジパング系列の予備パーツを使うことでようやく形となったクロススラスターを搭載し、飛行を可能にした」

「飛べるの?」

飛行を可能、と言う言葉に心惹かれる……自由自在に空中を飛ぶなんて……諦めかけていたけど、軍隊に入ってよかったと思えてくるわ。

「ああ、ついでに言えば120mm機関砲を撃ってもスラスターの推力で強引に反動は抑えられる」

「それだけ聞くと画期的な機体ね……」

美味しい話には裏がある、きっと何か欠陥があるはずよね……

「問題点があるとしたら最高馬力が30万馬力に低下、120mm砲も秒間5発、毎分300発が限界という連射力の低下。また左腕に銃剣はあるもののワイヤーダガーは使用不可能、修復パーツに他規格を強引にねじ込み、更に背部のクロススラスターはまともな稼働テストをしていないため、何時欠陥が出るか解らないと言った所か」

「……見事なまでに、現場改修のその場凌ぎね」

「一応は動作テストはした、起動した途端に爆発は起きない筈だ」

「……なるほど、操作は大体前と同じ?」

「ああ、飛行についても直観的に動かせるはずだ、中心スラスター以外の、上下左右のスラスターは稼動が可能なことを覚えていれば、君なら大体いけるはずだ」

「それは助かるわね……少し稼働テストをしてもいいかしら?」

だけど、いきなり爆発したら大変よね……やっぱりどれぐらい動けるかのチェックはするべきよ。

「ああ、問題は無い」

そう言って博士はポケットから蒸機鎧のキーを取り出し、私に投げ渡す。


私は受け取るとコックピットのハッチを開け中に入る、内装は前と特に変わった様子はないわね……

ベルトで体を締め付け、私はコネクタにプラグを挿し、追加されているスイッチオンにした後、キーを入れて機動する。

<背部飛行補正機、クロススラスターを発見しました>

<左腕部武器腕を発見しました>

<データ収集……完了、グラフィカルイメージを更新します>

視界が私でなく、この機体のものに変わり、MAOSから機能が有効になったと言う表示が出る。

人体を模した損傷度確認図形の隣に十字架を模した図形が表示されている……危なくなったら分かるのはいいわね。

私はそれを確認した後手の関節を回したりして動作を確認する……この機体、正式名称は何かしら?

「博士、この機体の正式名称は?」

「<ミスマッシュ・オブ・キャリバーH103>だ」

ミスマッシュ……要するに寄せ集めのキャリバーって事ね。

でもH103はちょっと味気ない略称かしら。

「なるほどね……でもH103ってちょっと呼びづらいわね……ジパング製のパーツが多くて空も飛べるなら……ゼロって空って意味だったわよね……なら、キャリバーゼロ……もといゼロって呼んでもいいかしら?」

「ゼロか……ああ、そっちの方が解りやすいだろう」


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