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その8

私達を乗せた飛空艇は海上を飛ぶ。

私はキャリバーに乗り飛空艇の巨大な、蒸機鎧が6機ぐらい立っていても問題ない程の大きさの全体から見れば不恰好に見える甲板に足を広げ座り込み、胴体や首を動かし、不審な機影がないか両手に二挺の70mm砲を持ちながら、警戒を続ける。


通常の蒸機鎧は胴体が動かせない、そのためこうして胴体も稼働可能なキャリバーは、監視範囲を広げることが出来、それも強みの一つだと私は思う。


前方を見ると4席の飛空艇、またその甲板には、それぞれ4機づつの蒸機鎧……<ウェスト・オブ・ピースメーカー>が乗っていた。

彼らは左側に居る飛空艇は前方に2機、左側に2機で警戒し、右側の機体は前方2機、右側2機で警戒を行う。


私達は最後尾に居て、突入となれば支援砲撃を行うのは彼ら、120mm砲に持ち替えてどんどんと島内に打ち込み、敵の対空陣地を崩壊させる予定だ。


状況は悪く天気は雲一つ無い快晴、高度は上空2㎞程度、流石にここからパラシュートなしで降りたらキャリバーでも落ちるわね……

ただ、この高度なら120mm砲は上空に居ても届くけど、装甲の分厚い船体下部に当たるから、かなり安全かしら。


そう私は考えながら、警戒を続けた。



夕陽が沈み、既に夜になりかかる頃、私は目的地に到達した。


「これより我々は攻撃を仕掛けるために砲撃体形に移る、いいか、まず砲撃開始の合図と共に、120mm砲をありったけ島の陣地に叩き込め、リロード用の弾薬は船隊に積んだ、合図があったらとにかく敵の対空砲や蒸機鎧相手に撃ちこめ、以上!」

ジェシカ大尉が威勢よく拡声機を使い言う、私もあんな感じに気合いの入った女隊長になれるかしら?


すぐに大尉達の飛空艇は島を前に横一列に陣形を組み、側面を向ける形になる……飛空艇の側面には大砲が積んであり、それで砲撃をするからだ。


蒸機鎧も1列に並び、弾幕を放つため、砲を構える。


「……みんな聞いた?私達は砲撃終了後高度を下げ、島内に上陸し海岸を制圧するわ、その後スパイが入手した情報通り、山岳部の基地に目がけ中隊と一緒に跳躍し移動、彼らの目を奪ったらまた海岸に戻り、一斉砲撃を浴びせる予定よ」

私もまた、拡声機を使い仲間達に支持を与えた。


「了解しました……うう、うちの飛燕丸、装甲はクレイジークイーン級と違って薄いんですよ?」

来夏がちょっと愚痴りながら任務に従う形になる、飛燕丸というのは私達の飛空艇の名前で、機動性を重視して装甲は陸軍正式採用のクレイジークイーン級よりも薄い。

まぁ装甲を落として、前進用のプロペラを倍に増やしたから、最高速なら多分陸軍トップなんでしょうけど……これでもジパングの船では最高速では劣るのよねぇ……あいつら背部から推進して飛んでたけど、一体何を噴出してたのかしら?


「うむ、きちんと突入時にアレは使うんじゃぞ」

ビルだ、アレと言うのは棺桶型のウェポンラックに入れた、やっと作り上げたキャリバー専用の秘密兵器、つい今日届いてテストはしてない、正直動くかどうか不安だけど……この任務に使うとすれば、これほど相応しい兵器はないはずよ。

準備は万端、さて、どう敵は出るかしら……?


「さて、射程内に入ったか……各自砲撃準備済ませたな!スコープつき120mm砲のスコープは頭部カメラに繋げて、表示されるようにしたな!なら撃て!撃ちまくれ!」

そうジェシカ大尉の指示が来たあと、飛空艇大量の連続した砲声が鳴り響く。

けど敵だってやられっぱなしじゃない、対空砲火がドンドンと飛んでくる!

45mm砲ではない、120mm砲が飛空艇のスレスレを何個も通過する。


「敵はスコープによる狙撃は出来ないようだ!このまま砲撃!つづけ──」


その時であった、一撃の砲弾が、先頭の飛空艇を貫通し、真っ二つに割ったのだ。


破砕された飛空艇から何機かの蒸機鎧は飛び降り、蒸機鎧用のパラシュートを使い降下する。

だが衝撃は彼らや前方の戦艦にも伝わり、巻き込まれない様に飛空艇が荒く動く。

蒸機鎧は体制を崩すも、落ちはしない、だが、射撃のペースは落ち、敵の弾幕は激しくなる。


「っ!240mmかいありゃ!?落ち着け!破損した船は上陸後回収する!撃墜された船の奴らはとっととパラシュート使って逃げろ!砲撃班、今の砲撃機を狙え!」

ジェシカ大尉が大分うろたえながら叫び支持する、240mm砲って……まさか、ね……


「……飛空艇1隻撃墜されました、私達が降下し、キャリバーで対空砲火を沈黙させます……ジェシカ大尉、対空砲火を引きつける事はできますか?」

敵の砲撃がまぐれでないとしたら、この高度を保って砲撃を続けても第二射、第三射で撃墜される可能性は高い、なら……私達の機動力を活かし、高空からと低空から両面攻撃に移るのが得策よね……


「ああ、可能さ……やるのかい?」


「ええ、予定は狂ったけどキャリバーの秘密兵器、ここで使うわ」


「出し惜しみしない主義かい、いいね、気に入ったよ!……ってな事で各機このまま砲撃続けながら回避移動を行え、相手は多分240mm砲装備だ、120mmじゃない当たれば死ぬぞ!」

そう大尉は怒鳴るように指示をすると、横一列となった飛空艇はどんどんと上昇下降を繰り返し蛇のような動きを行い、弾を回避し続ける。

私達の船も急降下のため、がくんと降板が坂になる、けどこの程度の坂ならすべって落ちる事は私もビルもなく、高速で降下し迎撃用の砲弾が飛んでくる中、私は背中の棺桶型ウェポンラックが上に開かれる、開かれたウェポンラックの中に積んだ外部蒸気エンジンから大量の蒸気が噴き出す音がしその後秘密兵器を掴んだアームが私の右側面にまで動く。

そして私はその秘密兵器を手に持ち構える。


秘密兵器の名は120mm重機関砲、機関砲というのは連続で弾を撃つ兵器だけど、どこもまだ砲弾の蒸気消費の多さの為実用化されなかったもの、博士によるとそれは通常の砲弾は撃鉄に弾丸がぶつかった瞬間に銃につけられた蒸気エンジンが炸薬による加速にあわせ、精製されたアキシオンの力を用いて弾体を加速させる。

だけどそれでファニングみたいに連続で撃ったとしても、そんなのを5秒ぐらい続ければすぐにエンジンがエネルギー切れを起こす、そうしたら火薬の加速だけで飛び、とてもじゃないけど蒸機鎧の装甲は打ち砕けない。

だから外部に大型の蒸気エンジンを積む事で連続して砲弾を乱れ撃てる、それがキャリバーの切り札とも言える兵器であった。


私の乗る船は急降下し水面すれすれまで行く直前に角度を戻し、強引に直進する。


「うう!敵が居たら撃たれる前に撃ってくださいよ!」言われなくとも!そう私は機関砲を砲弾が飛び交う海上に向け構え、引き金を引く!

連続した轟音爆音が耳元を刺激し、そして視界の先を黄金の砲弾が飛び、そして着弾した場所で盛大に爆発する!

一気に対空砲火は収まる、けど、1機の機体が私の方を向いた。


私が咄嗟に拡大した視界で見たその機体は黄色く、曲面的な装甲を持っていた、黒が基調の逆卍党の兵器とは違い、サムライのようなデザインでもなく、むしろアメリカ製のデザインラインの代物。

だけど背部には空中を飛ぶための装置があり、また、肩にはアメリカの星条旗が書かれていた……


そしてその機体は私の120mm機関砲と同じぐらいの大きさの大砲を持っていて……そして今、1発の巨大な砲弾を装填した所であった。

まさか……あれってM1894?


「ハハハハハハハハ!鋼の鬼め!その程度の弾などこの機体の前では痒くもないわぁ!貴様はこのM1894が叩き落とし、仲間どもの無念を晴らしてくれよう!」

微妙にジパング訛りの言葉……どうにも裏取引でなく、鹵獲されたみたいね。


スパイの裏取引で無いだけマシと思いながら、私は機関砲をその機体に向け構える。


同時にM1894もまた、私に向け構え、早撃ち勝負となろうとした瞬間──


私の後ろから飛んできた砲弾が、M1894に直撃し、機体を文字通り吹き飛ばす。

ビルの援護砲撃よね……でも無茶苦茶な装甲……奴は死んでいない、私は機関砲を構え、ありったけの弾をよろけるM1894に叩き込む!


爆風が彼を包み爆風が収まった時、そこには何もなかった。


「ったく……ウィンチェスターを汚すんじゃない、あのクソが」

ビルの声が後ろから聞こえた。

もし、ビルの援護が無かったら私が破砕されたM1894のような目に遭っていたのだろうか。

そう考えるとぞっとするけど、その考えをすぐに振り払い、私は正面を見る。

敵の砲撃は止み、防衛陣地はすべて私達の手で崩壊したのだ。

そして私達は上陸する、上陸した先には敵は布陣しておらず、残骸と屍の山しかなかった。


ジェシカ大尉の撃墜された飛空艇は2隻、一撃目でやられた飛空艇は降下した蒸機鎧は兎も角、、第2射で撃墜された飛空艇は徐々に降下し海面に不時着したため生存者の回収を優先するため、私は彼女の回収作業を見守った。


生存者の収容が終わり、飛空艇2隻のうち1隻は負傷者を基地に戻す為撤退し、残ったのは大尉の飛空艇と、私達の飛空艇のみだ。

蒸機鎧の合計数は13機、撃墜された飛空艇のうち何機かは無事だったため、負傷したパイロットを交換し作戦は続行する。


万が一敗走し、撤退する際載せきれない機体は乗り捨てて逃げると言う事になった……私とビルの機体は乗せて帰らないとまずいみたいだから、例外として扱われるけど。


「し、死ぬかと思った……隊長、無茶しすぎですよ」

来夏の通信が来る、敵陣のため、拡声機は使わない。

「海軍が機体を鹵獲なんてされるからよ」

通信機を使いチャンネルを合わせ、私はそう言いかえす。

不気味なぐらい静かな海岸だった、山の方を見上げると、夜だと言うのに光って見える。


「陽動だと感づかれたかねぇ」ジェシカ大尉だ。

「気づいてない、或いはその通りかもね、海軍の機体が使われてて、名前まで知ってるって所を察するに」

「全く、クソ海軍は何がしたいのやら」

そんな事、私が知りたいぐらいよ……そう、私は心の中で思う。


「……とりあえずこのまま待機してもアレよね、来夏、モールス通信で報告してる?」

「ええ、正面攻撃班はあと15分後に攻撃するとの予定です」

「早いわね、なら今すぐ山岳地帯を飛びぬけ、陽動の為の奇襲を仕掛けれる?」

「おう、俺達なら問題ないぜ?なぁ姐さん!」

ジェシカ大尉の部下の蒸機鎧乗りが威勢よく言う。

「ああ、先頭になったらキャロル中尉の言う事ちゃんと聞くんだよ?」

それに対し、威勢よく大尉が返し、こうして私達の本格的な遊撃行動が始まった、4機のピースメーカーを防衛に置き、山岳部を跳躍してどんどんと山を登る。


ピースメーカーは10m、ガバメントは15m跳べ、私のキャリバーは30m跳べるため、私が先行し敵機が来ないか状況を確認し、先導する形となる。

どんどんと登り詰め、山頂の到達直前と言う場所にたどり着く。


「ここからは恐らく敵の基地よ、彼らは待ち伏せしているわ、だから私のキャリバーで弾丸を乱れ撃ちにしたら、その後多分敵が湧いて出るでしょうからそれを撃ち落として」

「了解!」

私の指示に皆は理解を示す、問題ない、これならいける、そう考えた私は、足に力を籠め、全力で跳躍した。


どんどんと高度が上がり、そして山頂の先を見渡せるようになる、山頂の先は山を刳り貫いたような巨大な軍港つきの軍事基地、飛空艇の発着場にはまだ出撃しようとする飛空艇が何機もおり、港には海軍の戦艦が拿捕されているのがわかる、また山頂付近には120mm砲を構えた蒸機鎧が何機も伏せてあった。

やっぱり待ち伏せ戦法だったらしく、私を見るや否や驚いたのか明後日の方向に弾を撃つ。

まずは彼らから攻撃するべし、そう考えた私は機関砲でなく、片手に持った120mm砲を構え撃鉄を引き、彼らに向け何回か撃つ、2発の砲弾が2機を撃墜し、他の機体は銃を捨て、落下を始めた私に全速力で飛び込んでくる。

早い、けど、対応する時間があった。


私は迷わず機関砲を彼らに向け乱射する、MAOSが表示する残弾数がどんどんと減っていくのがわかるけど、私は気にしない。

体の重心を操る事で空中で身を捻り全方位から突撃する鋼のサムライを迎撃していく、だけど残り1機が私の目前に迫っていて、今まさにカタナを振り下ろさんとしていた──


正面であったが機関砲や、120mm砲では対応しきれない距離だった。

私は咄嗟に左足の膝をその機体に向け、スチームパイルを発動する。

射出された槍に敵機体は見事に飛び込む形となり、その胸は貫かれ、すぐに槍は敵の蒸気鎧から引き抜かれた。


「お……の……れ……」

そんな怨嗟の声が聞こえたけど、私は特に罪悪感も何も感じない、その後どんどんと高度は下がり、着地する、丁度山頂の位置だ、敵もそれに気付いたのか5機の出撃していた飛空艇は、私の方に向かってくる。


飛空艇から蒸機鎧は多分出撃しようとしてる途中だと判断した私は、彼らに向け何発かの連続した弾丸を機関砲で叩き込む。

咄嗟の射撃だったため、2機しか飛空艇は落とせず、他3機は12機の蒸機鎧を出撃させた。


私は味方が居る山の裏側に、後ろ跳びをして戻る。

「キャロル中尉!どうしました?」

「大体10機程度は殺ったわ、今空から空挺兵器がすぐに飛んでくるはずだから、70mm砲で応戦して」

私も120mm砲を腰のホルダーに収め、肩から70mm砲を取り出す。

全機が上の方に照準を合わせ、逆に迎え撃つ形となり……次の瞬間、山の上から低空飛行の蒸機鎧が跳びかかってきた!


低空飛行で上下前後左右の三次元的な機動を行う敵機を何とか照準に収め、トリガーを引いて迎撃する……でも数が多く2機の蒸機鎧が弾幕を突破し、側面に居た仲間に切りかかろうとする!


「危ない!」私は機関砲を持つ手を放し、近くに居た敵に目がけワイヤーダガーを射出する。

ダガーはその敵の腹部を貫通するけど、致命傷には至らない……私は強引にワイヤーを戻し、敵を引き寄せる!

引き寄せられた敵機の振りかぶりの斬撃は仲間の左腕を切り裂く、けどコックピットには至らないと確信した私は、引き寄せた敵に対し右膝を向け、スチームパイルで貫く!


「がぁっ!?」

じたばたと動いていた敵は今度こそ機能停止する、私は引っかかっていたダガーを引き抜き、周囲を確認する……背後に8機、回り込んだ敵が居た!


「後ろ!」

私は即座にダガーから手を放し、機関砲を叩き込む、その射撃に仲間の誰かが協力し、6機を撃墜する、だがうち3機が、私の仲間と逆卍党の蒸気鎧が白兵戦をしてる状態の所に飛び込む。


「死ねぇ!白人どもがぁぁぁ!」そう叫び、敵の1機は背後から別の敵蒸機鎧と白兵戦を行っていた私の仲間の蒸気鎧の胸部を貫き、切り捨てる……その光景を見た私の仲間は白兵戦を挑むサムライ相手に怯み、距離を保とうと背後に跳躍するが、獲物を求める残った2機は急加速し、私の仲間に接近し切り裂こうとする……けど、そんな事はやらせるわけにはいかないわよ当然!


私は跳躍し敵機の頭上を取り両手に持った機関砲とオートマチック砲を向け、白兵戦距離に入った4機に向け砲撃し、その攻撃を不発に終わらせた。


「うわぉ……た、助かったぜ!」感謝の声を仲間は上げ、そのまま上昇した状態で周囲を見渡す。

敵の基地の前に本隊は到着しており、敵は飛空艇と大量の蒸機鎧で応戦しに向かうが、味方の弾幕の前に迎撃されていく。


私達に戦力を回したのが仇となり、敵の勢いは大分勢いは萎えてるみたいね。

上を見るとさっきの3隻の飛空艇が上をとろうと上昇している姿が見え、私はすぐに機関砲を撃ち、今度は上手く3機撃墜し、周囲を確認しこちらへの敵機がもう来ていない事に安心すると機関砲を敵陣目がけ砲撃し、味方への支援砲撃を行った後地面に着地した。


そうして、ある程度爆音が静まった周囲を見る、敵はかなり落とした、けど、私たちの被害も尋常ではなかった。


私とビル含め9機居た味方機は、既に5機しかいなかった。


機関砲の弾はもはや殆ど撃ち尽くした状態、でも、敵に与えた被害を考えれば十分よね。

ビルは生きている、私も生きている、でもこの作戦でかなりの人が死んだ。

「……相当死んだな」

ビルが通信機で呟く、私に力があれば、助けれたのかしらと考えると、途端に気が重くなる。


「……そうね」

私は足につけてあったオートマチック砲のカートリッジを装填しながら、ビルに言葉を返す。

「ああ、だが重たい気分になるな、お前は十分活躍した、ワシと隊長だけなら見事に死んでいたし、逆にジェシカ大尉の部隊だけでもこんな真似、無理に決まっておる……」

「ビルさんの言う通りさ、俺達は死ぬのを覚悟して来たんだ、大体南北戦争じゃこんなの日常茶飯事だぜ、デルタのお嬢様?」

仲間の言葉は私を励ます為の言葉だった、そう言われると少し、肩の荷が下りる

「ありがとう、でも、まだ油断しないで……敵の追撃は止んだけど、状況次第では私達が背後からの攻撃を行うよう上から言われる可能性もあるわ」

私はそう言うと、頭の中でモールス通信をしたしたいと考え、モールス通信機を起動する。



<モールス通信プログラム起動>

通信機能を起動させるとMAOSが、また、よくわからない文字を視界に浮かべる。

「来夏、こちらキャロル、現在稼働可能蒸機鎧合計6機、うち1機ピースメーカー小破、上層部の返答を求む」口でしゃべろうとした内容が、モールス信号に変換される、博士が取り付けた音声モールス化プログラムらしいけど……よくこんな便利なものを作れるわよね?


「了解、こちら来夏、師団司令部に連絡し判断を求める」

すぐに通信が返ってくる、信号自体は私は普通に音を聞けば解るよう訓練されているから問題はない。

周囲を警戒しながら次の通信を待つ。



「こちら来夏、師団司令部より入電、そちらの遊撃の成功により敵戦力の大規模な低下を確認、背後からの強襲に怯え、退路を断たれた敵は混乱中、そのまま待機し、撤退する敵を迎撃せよとの事」

私はその言葉に安心する、無茶な突撃はせず、陽動と遊撃は成功した。

キャリバーはまだ無傷だけど、それでも仲間の疲弊は激しい、突入をしたら間違いなく全滅よ。


「了解、作戦行動を継続する」

私は来夏にそう伝えると、すぐにモールス通信を切った。

<モールス通信プログラム停止>



「……現状維持との司令が来たわ、いけるわよね──」

その時だった。


基地の方角から、なにやら巨大な機械が稼動する音が発せられた。


「……むっ」

ビルもその異変に気付いたのか、首を振って視界を確認する。

「おいおい……敵の秘密兵器か?」

仲間の一人も気を紛らわしに悪態をつくけど、みんな何か、嫌な予感を感じているのがわかる。


「ただの気のせいならいいけど……」

本当にそうならいいと私は思う、けど地面はぐらぐらと揺れ、山の先、基地の方角から何やら黒い、巨大な横に伸ばした円形の、物体が見えてくる……


それは飛空艇のように私は見えた、でも今まで見たどんな戦艦や、飛空艇よりも大きく、そして強大に感じた。


「こちら逆卍党対米支部本部艦、品電武流具ひんでんぶるぐ号である!本艦は戦域を離脱!「遺産」の確保を行うための行動に移る!各機に次ぐ……本艦を死守せよ!命を惜しむな!米首都爆撃計画が続行不能となった今!「遺産」の確保こそが我らの悲願を成就させる行動である!」

その飛空艇からは艦長らしき若い女の子の声がした、でも遺産って……一体どういうこと!?



「司令部より入電!敵艦に対する砲撃が可能なのは今そちらだけみたいで……ああもう!あの飛空艇を落としてって事らしいです!」

来夏はモールス信号何て使わずもうヤケクソ状態で音声通信を行う、嫌な予感が大当たりしたことに私は苦笑したくなる、やっぱりアレも落とさないといけないって言うの?いくらなんでも人使い荒すぎよ!


「……はぁ!?今の冗談よね?」


「だから隊長!あのバカでかいのキャリバーでぎったんばったんのばらっばらにしちゃってくださいって事ですよ!冗談でもなんでも無いです!」

来夏もパニックになっているのか、言動が無茶苦茶……幸いにして、飛空艇は目前に自慢げに佇んでいた。


「あの飛空艇……全員撃つわよ、いい!?」


私は両手の砲を構える、全員、返事などせずとも、同じように砲を構えていた。


合図もいらなかった、次の瞬間私達は敵艦に向けありったけの砲弾を叩き込む

弾幕と爆炎が全てを包み込み、轟音が世界に響き渡る。


一心不乱の一斉射撃、機関砲が撃ち終わればオートマチック砲、そしてそれすら弾が切れれば120mm砲を叩き込み続け、そしてそれが終わった時…



…その黒い巨体は、今にも落ちそうな夕陽を浴び佇んでいた。



ところどころ着弾した場所はあり、そこは穴が開いていたりした、だが、この戦艦が無事


だったのは、堅牢な構造なだけではなかった。


どんどんと蟲のように、逆卍党の蒸機鎧が戦艦を守るように壁になり駆け込んでいた。


彼らは文字通り、人間の壁となった、屍になろうと、戦艦を守ったのである。


「ジパング……万歳っ……!」

ボロボロの蒸機鎧のうちの1機の声が聞こえる、そしてどんどんと壁になったものの、破砕されずに終わった蒸気鎧が墜落していく。


私達も弾切れになり、これ以上の戦闘行動は続行不能であった。


「やべぇ……弾切れだ」

仲間の一人が大砲を捨て、ナイフを取り出し言う。


「……そうね、敵の増援が来るまでに撤退して船で補給を行ってくれない?ビル、撤退指揮と支援はできる?」


「可能だが……まさか……」


「そのまさかよ、キャリバーのワイヤーダガーで敵に張り付き、攻撃を行うわ……相手の命令が本当なら、弾切れした私達は追撃される可能性があり危険、なら一番性能の高い私の機体で暴れて引きつけるわ」

私はそう言う、多分、無謀な行動だとみんなは言うだろう、けど、アレを落とせと言われたのは私だ、それに、誰かが敵を引きつけなければいけなかった、全員で撤退するとしたら、間違いなく追撃がやってくるだろう。


保身無き突撃、それは逆卍党の得意技だ。


「……解った、補給が終わったらすぐに駆けつける……おいガキども!山を下りるぞ!急げ!」

「りょ、了解!」


そんなやり取りが聞こえるのを確認すると、弾切れになった全ての銃を地面に落とし、背部の機関砲を積んだ棺桶もパージする。

デッドウェイトが減った分、これで運動性は上がる計算、私は後ろを見ず、全力で発進しようとしている飛空艇に向け跳躍した。


ちょっと修正、銃の構造だけど、やっぱりファンタジーだこれ。


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