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その4

工場の建設もかなり捗り、1週間のうちにどんどんと完成に近づいていった。

すでにガワの方は完成して、私とビルは蒸機鎧を使っての警備を行う。

射撃が得意なビルは空から飛空艇が襲ってこないか、私は近隣の道路を見て、不審な蒸機鎧が無いかを警戒する。


「しかしまぁ、こう何日も見張っておるが……まぁ、平和じゃの」

「油断は禁物よ、逆卍党はジパング製の蒸機鎧を保有しているわ」

「ま、そうじゃがな……むむ!?」

ビルの様子が変わる。

何かに気づいたのかしら?

「どうしたの?」


「ああうむ、空に3隻、編隊を組んで飛んでおる飛空艇がおる……それもこちらに向かっておるな、デザインからしていかにも独逸帝国風じゃが……隊長も確認を頼む、ガバメントの視覚拡大じゃ少し見づらいからの」


「飛空艇ね……」

そう私は呟いた後空を見上げる、確かに3つの点のようなものが編隊を組み飛んでいるのは確認できた、私はそれを拡大して見たいと考えると、視界が望遠鏡のように拡大される。


屋根瓦というものを屋根に貼った、いかにも独逸帝国風の木造飛空艇……大きさは大体長さ40m級、銃座はあるけど爆撃用の爆弾投下口は無いわね……ただ、ビルが気づいたことに私は感謝をしたわ。



その飛空艇、ご丁寧に逆卍のマークを付けてあるもの。



忘れやしない、あの日の事を……でも、ここで撃墜したら町に被害が出るわね……


「ビンゴよビル、来夏はまず基地に連絡して逆卍党の飛空艇が来た事を知らせて」

発砲許可無しに市街地の飛空艇を落としたら流石に賠償もの、私は近くの輸送車両で待機している来夏にまず連絡を行わせる。


「は、はい!」


「2機で3隻の飛空艇兵団を相手か……ああ、避難指示もきちんと頼むぞ」

「よし、と……私は近辺地域の皆さん落ち着いて聞いてください!米軍からの通達です!逆卍党と言われるテロリストがただ今市街地上空に現れました……ここは危険ですので、直ちに退避してください!」

私は大声を出したいと感じ拡声器のボリュームを上げ声を出す、するとすぐに様々な人が出てきて、交通量は一気に増えた。

工事をしていた人も、慌てて車に乗り出す。


「ビル!交通整理をお願い!」

「うむ、隊長は対応を頼む」

頼りのある返事をビルはする、これで市民については大丈夫ね。

私は飛空艇を観察する、距離は恐らく200m先、高度1000mと言った所かしら……


「えーと……隊長!飛空艇部隊こちらも1個中隊出すとの事です!」

「何分後に到着予定?」

「30分後です!交戦許可は出ました、ただし工業地帯への被害は最小限にしろとの事です!」

遅すぎる、後3分ぐらいすれば相手は蒸機鎧を降ろし、市街地への攻撃を始めるわよ!!


「ありがとう、全く……こうなるなら飛空艇で来れば良かったわね」

「私の船じゃ対空装備なんてないですしジパング製相手じゃすぐ落ちますよ」

「最悪の状況ね……」

私はそうつぶやきながら、腕を交差させ肩の武装ラックに搭載した二挺の70mmオートマチック砲を取り出す。


威力もあり、対空能力も悪くない、銃の上部にはスコープが取り付けられてあり、これが対飛空艇を想定したものだと物語っている。

120mmリボルバー砲が対地戦の王者だとすれば、これは対空戦の王者とも言える武器ね。


ただ、この兵器は蒸機鎧のコックピットを狙わなければ一撃で落とせず、飛空艇相手なら兎も角陸上の蒸機鎧では火力不足、というのが問題だけど。


私は視界の拡大を切り片方のオートマチック砲のスコープを除く。


スコープから見るサイトに、飛空艇の一つを合わせる。


その時、飛空艇からいきなり15機もの機体が射出される。


ジパング製の蒸機鎧だ。


悩んでいる隙に敵は出てきた、敵の45mm砲は反動を軽減するために火薬量は減らされていて、市街地を破壊するほどの威力には欠けている。

せいぜいビルの外壁を削り抉る程度で倒壊させる事はできない筈。


彼らの主武装はあくまでカタナだ。

カタナで構造物を破壊し、そして空中を飛び逃げる、それが逆卍党の手段、爆薬を使わないのは恐らく、調達と扱いが蒸機鎧を使ってでは困難だからと言う理由なんでしょうけど……


私はそのうちの1機に狙いをつけ、訓練の通り引き金を引く、するとすぐに蒸機鎧に着弾し、体制を整えられなくなった機体は吹き飛びぐらぐらと揺れ、墜落しそうになるところを仲間に掴まれる。


対した仲間意識ね、だけど良い的よ。


そう内心思いながら、支えてる2機も撃つ。

放たれた弾丸は両方とも直撃し、背部の飛行機関が壊れたのか墜落を始めた。


初めての撃墜、だけど感動も感傷も無い、単純に敵を撃墜したという事実しか私には感じられなかった。


残った敵機は、私の方に顔を向けた。


ようやく砲撃を放った私に気付いたのである。


「ええ、来なさい……全員撃ち殺してあげるわ」

私は呟く、彼らが私に注意を向けるのなら、市街地への被害は最低限に終わる、キャリバーの内蔵兵器と装甲があれば、45mm砲なら対抗は可能、また、カタナ相手にも大分持つだろう。


そう考えながら私は次の獲物に狙いをつける。

相手は砲撃を行わず、段々と回避行動を行うようになり、何機かジグザグ機動をする機体も出てきた。


それらを無視し、私はとろい敵機を見分け狙い、一方的に撃墜する。


敵の数がドンドンと減り、既に半数以上は撃墜する。


そして敵はこちらに攻撃可能な距離にまで近づくと、ようやく45mm砲を構える。

敵にはアイアンサイトなんて無いし、そもそも45mm砲は反動が少ない反面威力は70mm砲以下の代物、いわば対人や、対車両用の豆鉄砲だ。


けど当たり所が悪ければキャリバーでも致命打になる、私は即座にジャンプ、そのすぐ後に45mm砲の弾丸が地面を抉るところが見えた。


全力での跳躍、30m飛ぶと私は上を見て、弾切れになった右腕のオートマチック砲を投げ捨て、チェーンダガーを敵に向け射出した。

「甘い!」

射出されたダガーを回避した男の声が聞こえる、拡声器を使い、テンションが高そうな暑苦しい感じ、だけど甘いのは貴方、そう考えながら、私は腕を動かし、ダガーの刃を思いっきり、その男の蒸機鎧に向けた叩きつける!


ガゴン、という無骨な音と供にキャリバーの剛腕で降られたダガーは風を切り、蒸気鎧を一撃で切り裂く!


「な、何ぃ!?各機陣形を組み急降下する!奴は……化け物だ!」

化け物と指揮官らしき男が叫ぶ、確かにその通りだと私は思う、私はチェーンを引き戻し、ダガーを手に持つ。


そうしていると、2機の蒸気鎧がカタナを持ち、高速で私に向かいカタナの突きを繰り出そうとしていた。

私は即座に左腕のオートマチック砲で1機を撃墜し、右腕のダガーを投げる、だけどそのダガーは回避され、私の目前にまで到達する──



まずい。



そう私が思った次の瞬間、その敵機は横からの攻撃で盛大に吹き飛んだ。


「大丈夫か?」

ビルの音声通信だ、彼の加勢、それにより自分のピンチは何とか免れる。

私は着地する、すると後の2機が側面に着地しカタナを構え、隊長機が私の上方をとる形になる。


私は射出されたワイヤーダガーを振る、すると敵機は回避し、体制を崩す。

そして側面に回り込んだ敵が背部の推進機を使い加速しながら私に切りかかろうとする、そこを私はワイヤーを引き戻しながら、バックステップで少し飛び回避した。


急降下による減速がきかなくなった隊長機が、私の居た場所に向け落ちた。

普通なら受け身を取り難を逃れるだろうけど、上と両側面の3方攻撃が裏目に出て、隊長機は自分の部下に貫かれた。


「あ……が……」

声が聞こえる、恐らく即死は免れた形ね、だけど出血多量で恐らく死ぬ。

私は冷静に、その瞬間にオートマチック砲で1機に何発もの弾丸を連続で叩き込む。

これで敵は残り1機となった。


「ビル、攻撃は控えて、降伏勧告を行うから」

降伏勧告を私は行おうと考えたから、ビルに対し通信を行い起動し伝える。


「了解、ただし隊長の危機と感じれば攻撃を行う」

返事はすぐに来た。


「さてと……そこの機体、これで分かったでしょう?貴方がここで投稿するなら、丁重に扱うわ、それとも名誉の死がお望み?」

私は距離を取りながら、降伏勧告を行う。


敵機は殺した仲間から、自分のカタナを引き抜き、私に向かい構える。


「化け物め……生きて辱めを受けるのなら……私は喜んで、死を迎えるわぁ!総統閣下……大ジパング帝国……万っざぁぁぁぁい!」

そう、男は今度はカタナを自分の体に向け、自害をしようとする。


「っ!」

私はそれを阻止するためオートマチック砲を向け、引き金を引くが……弾切れを起こしていた。MAOSからも、残弾は0と表示されていた。


そして次の瞬間、最後の敵は自分で自分のコックピットを貫き、そして動力部も貫き、機体は機能停止した。


「せ、切腹……?」

来夏が驚いた様子の声を出す、今の自害、切腹と言うの?


「……知ってるの?」

「ええ、私たちが渡った頃は無かったけど、ジパングで責任を取る為の自害法だと聞きました」

「……最悪ね、尋問が聞ける人間が居なくなったなんて」

私はそう言うと空を見上げる。

空の飛空艇は私が行った戦闘行為に戦慄したのかすぐに逃げて行く。


「ああもう、早く来なさいよ……来夏、敵が東側に逃げようとしてるって言っておいて」

「あ、はい、わかりました」

初陣は終わった、私がこの戦いで感じたのは、敵を撃墜することの高揚感だった。

だけどそれに対し、説明し辛い不安感を抱えながら、私は来夏に指示を述べ、早く軍が到着する事を願った。


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