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蒸気ロボット仮想戦史 ゴールドラッシュ&ゴールデンエイジ  作者: 白金桜花
第二章:復活!乙女のハートはフルメタル!?
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その6

今日も私はママと一緒に、食事をとる。

今日はサラダにハンバーグ、それと独逸人の作るトーフ屋からトーフを勝ってのトーフステーキだ。

トーフステーキはきちんとショーユソースをかけ食べる、トーフ自体に味はないけど、こうやって食べたら結構おいしい。


「ねぇキャロル、マッドナーさんは何て言ってたの?」


「んー……ちょっとした体のチェックをしただけよ」

軍隊の話は私は切り出さなかった、切り出したとしても、ママに余計な心配をさせるからだ。

「そう……本当に?」

少し、ママの反応に私はドキッとなる、嘘をついたとバレたと思ったからだ。

「本当よ?」

「ならいいけど……キャロル、ママに嘘ついちゃダメよ?」

「うん、解ってるわよ」

ちょっとその言葉に私は罪悪感を覚えた。


「それでキャロル……そんな体になったのはいいけど、学校、何時行くの?」

そういえば……確かに私は今日は家に居たけど、学校にはいつかは行かなきゃいけなかった。

というか三カ月も休みっぱなしってモロに留年確定コースよね……うう、留年お嬢様って言われるのが目に見えるわ……

それにメカまでつくと……これはメタル留年お嬢様?からかう男子はアイキドーでやっつけるとして……だとすると沈黙のメタル留年スケバンお嬢様って言われるハメになる?

そう考えるとちょっと学校に行くのが怖くなる。


「うーん……こんな体じゃ顔見せどうしよう、それに三か月休んだから、留年よね?」


「そうよね……復学するなら来年から……うーん、パパももう死んじゃったし、転校を考えましょう」


「……でも、パパはダメだって言っていたわよ?」

それについては私は反発する、だってパパは私の為にあの学校を選んだのに、今更転校はやっぱり考えられなかった。


「……でも、もう死んじゃったのよ?なら、死んだ人に縛られるのは良くないと思うわ」

心の底からの言葉じゃない、そうその時私は思った。

そう言ったママの顔は凄く悲しそうだったから、パパの事を忘れようと、必死になっているような顔だったから。


「……それに、進路は私が決めるものよ……お嬢様学校に行くのは嫌、私の気質に合わないわ」

私はきっぱりと言う。だけど、私は少し迷いがあった。

このまま学校に戻っていいのか。

パパの仇を討たなくていいのか。

軍に入らない、そう決めたはずなのに、迷いが生まれる。

パパの仇を討ちたい。でも、ママは心配、それに、死ぬのは怖い。

どちらの欲求も等しかった、だから、どうすればいいのか私は考え込む。


「……そうよね、キャロルの好きにするのが一番よ……」


「……ねぇママ、ならいいかな?」


「……ええ」


「私が、パパの意思を継いで軍人になったら、やっぱり泣く?」

言ってしまった。でも、今ママに言わないと何か取り返しのつかないことになる、そう思った。

「……」ママの表情が真剣な表情になる、やっぱり、私まで居なくなるのは嫌よね……当たり前じゃない、何言ってるんだろう、私。


数秒の沈黙が食卓を支配する。


「うん……本当にそれがやりたい事なら、私は止めないわ」

けど、すぐにママは納得したように微笑を浮かべは言った。


「え……?」

びっくりした、ママの事だから、泣いて止めると思っていた、でも、出た結論は、まったく別だった。


「キャロルまで居なくなるのは確かにママは嫌よ、でも、今のアメリカが大変なことになってるのはママにも解るわ……それに、ママみたいな目に遭って、もっと不幸な人だっていっぱい居るんでしょ?なら、自由の国アメリカらしく、市民の平和と権限を脅かす敵には、銃を持って戦わなきゃいけない……そこは私も、パパも一緒よ……軍に行きたいなら行っても構わないわ、でも、約束して」


「約束……死なないこと?」


「それもあるけど、もうひとつ、それは……後悔をしない、道を進んで」


「……ええ、そのぐらい解ってるわよ、それで何で軍に行きたいかって言うとね……」

そう、私は今日あったことを、きちんと説明した。

軍のテストでいい成績を出し、特殊部隊の結成に関わるという事を。

ママはそれなりの関心を示したけど、結局私はどうするべきか悩んでいた、ママは自分で決めろと言った。


私は部屋の中、青い月を見ながら考える。

青い月の夢の私は、死んでいく命に涙を流していた、不毛な戦いに涙を流していた。

その結果私はそれを止めようと決断した、けど、何をしようとしたかは解らない。

今もアメリカはテロリストに脅かされ、そして罪も無い人たちが苦しめられている。

私もその被害者だ、私は運よく助かった、彼らを倒すための力もある、私よりもひどい境遇の人間は彼らのせいで増えているだろう。

アムやリンも、どうなったのかは解らない、ただ司令と司令室に行く間に少し話した所だと、まだ2人らは行方不明だと言う。

2人はたぶん私よりも悲惨だ、だというのに私は、力があるのに悩んでいた。

理由は簡単、怖いから、あの日、銃口を向けていたというのに、私は先に撃たれて死んだ。

絶対的な差、それを見せられた。

またアレンと出会い、そして私は勝てるのだろうか、複数の兵を連れたとしても、彼の銃の前では全てが撃ち抜かれてしまいそうな、そんな恐怖を覚える。

怖いのなら逃げてもいい、やりたくないならやめていいとママは言った。

私はアレンに復讐をしたい、でも、彼に出会いまた殺されるのは嫌。

相反する考えに私は陥る。



答えは出ない、でも、私には復讐以外にも、やらなきゃいけないという強迫観念があった。

私は力がある、MAOSと、この機械の体が。

これは一度死んだ私が、アレンや逆卍党と戦うために主が巡り合わせたものだと、私は考えてしまう。

戦うための力がある、それが、私が逃げれない、戦うしかない最大の理由。

あの時、ママに止めてほしかったのかもしれない、だけど、ママは自分の意思で行えと言った。

都合よく逃げるなんてできなかった。

「あはは……最初から逃げれないんじゃない……生き返った時点で」

私は苦笑する、力をもちながらのうのうと生きれない私自身の弱さに。

例えその道の先に死が待っていたとしても、戦う道を決断してしまう私に。


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