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メモ:流出した殺人事件の取り調べの音声の記録。被疑者死亡のまま書類送検との事【夏のホラー2026】

作者: 高山路麒
掲載日:2026/07/02

(メモ:とある殺人事件の取り調べの音声。出所は不明。容疑者は被害者の高校時代の友人であり、電気コードで首を絞めて殺害。うめき声の様なノイズ有。要鑑定)




(容疑者のすすり泣く声)



『ずっと私の我が儘に付き合っていただき本当に申し訳ありませんでした。どうして私が彼女を殺したのか、刑事さんに全てをお話します』



『学生時代、彼女とは正直そこまで仲良くは無かったんです。ただ共通の友達がいたので、仕方なく付き合っていました』

『ぅうぅ』



『全ての発端となったのは林間学校に行った時でした』



『消灯時間になった後、私達は話の流れで宿泊施設の近くにあった神社に肝試しをする事になったんです』



『怖いのは嫌でしたけど、彼女がどうしても行きたいと言ったので仕方なく私も参加する羽目になりました』

『うぅぅ』



『肝試しは順番に古ぼけた神社に行って、賽銭箱に赤いマジックで目印を描くというものでした』



『びくびくしながら待っている間、彼女はお菓子でも食べなよと緑色のグミをくれたんです』



『変な味の見た事もないグミでしたが、彼女は海外の珍しいグミだと言っていました』

『ううう』



『そして私の番になって、恐怖を我慢しながら祠に向かい、ゴール地点の賽銭箱に目印を描いた直後に異変が起こりました』



『ぶよぶよとしたナメクジの様な何かは賽銭箱の隙間から私を覗き込んでいて、身体の表面の泡を破裂させながらケラケラと笑い、灰色の眼球で私を睨みつけました』



『私は怖くなってその場から逃げ出し、それっきり彼女とも疎遠になりました』

『うぅぅ』



『そして当時の事を忘れかけていたある日、私は彼女と偶然街で再会しました』

『うああ』



『私は彼女と学生時代の肝試しについて話し、あの時こんな怖い事があったんだよと不気味なナメクジに遭遇した出来事を話したんです』



『ですが彼女は笑ってこう言いました』



『あの時食べたお菓子って実は大麻入りのグミだったんだよね』



『だからあんたはきっと幻覚を見たんだよ』



『それはそれとして、あの時の事覚えてたんだね』



『もうすぐ結婚するから、昔やんちゃだったのがバレたら困るよね、と』

『ううぅぅう』



『あんたってさ、会社で経理を担当してるんだよね。私今月ピンチなんだ。わかるよね、と彼女は言いました』

「ううあああぁあ」



『それからというもの私はずっと彼女にお金を無心されていました。横領は私の意思ではありませんでした』

『ううあああぁあああ』



『もしもこの事がバレたら私は全てを失って、彼の人生も滅茶苦茶にしてしまう。私はただただ怖かった』

『ううぅあぁああぁああああ』



『そんな事を何度か繰り返し、このままではいけないと私は勇気を出して断りました。ですが彼女は逆上して襲い掛かり私の首に手をかけました』

『うぅううあああああああああああ』



『そして揉み合いになっているうちに、私はいつの間にか彼女の首を絞めて殺していたんです』

『ぅぅうぅぅうああああああああああああ』



『何もかも全部私が悪いんです。本当にごめんなさい』

『うそだうそだうそだぁああぜんぶうそだぁあぁあああああああああああああああああああああああああああ』



(音声はここで途切れている)




(追加メモ:なお容疑者に婚約の事実は無かった事が後に判明。容疑者が婚約者と証言していた男性は実際には殺された被害者と交際しており、男性と容疑者との面識は一切無かった)


(追加メモ:容疑者は拘留中に折った歯ブラシで両耳の鼓膜を突き破り心肺停止の状態で発見。自殺と見られるも動機、死因は不明。被疑者死亡のまま書類送検し事件は終結)

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