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仕送り十万円ですのに、なぜ生活が破綻するのですわ?  作者: 櫻木サヱ
お嬢様、働けばよろしいのですわ

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10/14

失敗にも、品格は必要ですわ

その日は、少しだけ忙しい日でしたわ。


夕方。

学校帰りのお客さんが増え、レジ前が賑わっています。


「九条院さん、今日はレジも少しやってみようか」


「承知しましたわ」


エレナは、姿勢を正し、レジの前に立ちました。


「……この席、責任重大ですわね」


「焦らなくていいから」


最初は、順調でした。


ピッ。

ピッ。


「ありがとうございますわ」


丁寧すぎるお辞儀に、客が一瞬戸惑う。


「袋はご利用になりますか?」


「……はい」


「では、こちらへ」


問題は、その後でした。


次のお客さん。


商品は、卵。


「……」


エレナは、慎重にスキャンします。


ピッ。


その瞬間――

手が、少し滑りました。


「……あ」


パックが、傾く。


「……!」


落ちる。


割れる。


黄身と白身が、床に広がりました。


一瞬、時間が止まります。


「……申し訳……」


エレナは、言葉を探しました。


「……ございませんわ……」


店内の空気が、少しだけ凍りました。


「大丈夫、大丈夫」


山田さんが、すぐに駆け寄ります。


「怪我ない?」


「……卵が……」


「卵はいいから」


店長も来ました。


「処理します。九条院さんは、裏で待ってて」


バックヤード。


エレナは、椅子に座り、手を見つめました。


「……失敗、ですわね」


胸が、少しだけ苦しい。


「弁償……ですの?」


山田さんが、首を振ります。


「いいよ。仕事だし」


「ですが」


「誰でもやる」


エレナは、ゆっくり息を吐きました。


「……九条院家では」


声が、小さくなります。


「失敗は、見せないものでしたわ」


山田さんは、少しだけ考えてから言いました。


「ここは、見せても大丈夫」


「……」


「次、気をつければいい」


エレナは、顔を上げました。


「……次が、あるのですわね」


「あるある」


その言葉に、

胸の奥が、少しだけ温かくなりました。


仕事終わり。


「今日は、ここまで」


「……ありがとうございましたわ」


帰り道。


エレナは、空を見上げました。


「失敗しても……終わりではありませんのね」


それは、

九条院家では、学ばなかったこと。

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