後編
奥様
ルーナ視点より
………ひどい人………
命の助かった番の姿を見て、
あの人 エンリケは静かに笑った。
一筋 涙を こぼし
そして、静かに虹の橋へと旅立った。
本当ならば、嫉妬で狂う番の存在。
でも、こんなことがあるのだろうか。
彼、エンリケはもう齢80をこえていた。
エンリケのみつけた番は十を過ぎたあたりだろう。
しかもボロボロで傷だらけ
食事も足りていないのか体も小さそうだ。
70を過ぎた私が、みっともなく嫉妬するわけもない。
こんなことがおこるなんて………
❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁
エンリケの葬儀を行い
もうとっくに公爵領は息子夫婦に譲っていたため
私とティナは領地の別邸へと移った。
この、番騒動には息子達も苦笑い。
隣国ではまだ命の危険があるので
結局私の侍女として過ごすことになった。
番制度に思うところはあるけれど、
ティナの命を救えたことは
本当に感謝している。
最期まで、私を一人にしてくれなかった貴方。
もう少しだけ
ティナと過ごして
ティナのことを私に任せてしまった貴方に
逢いに行きますね。
❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁
私は、ティナ。
ルーナ大奥様の侍女として公爵領の別邸で働いている。
記憶にはないが、隣国で死にかけていたところを助けて頂いたらしい。
大奥様は穏やかで優しい方だ。
別邸の他の使用人の方も優しく
ここではゆっくりとした時間が流れている。
何故、大奥様方が私を助けて下さったのかは分からない。
でも、この別邸に来ることができて本当に良かったと思う。
私は侍女とはいえ、たいした仕事はしていない。
これから、大奥様と一緒に手紙を読んで
私が返事を代筆するのだ。
そのために
字を覚えて、美しい文字が書けるように
たくさん練習したのだ。
初めて手紙を書いたのは
もう何年も前
大奥様に感謝の言葉を書いたのだ。
大奥様は泣きながら喜んでくださった。
そして
いつか
私を救う手筈を整えてくださったという
亡くなった
大旦那へもお礼の手紙を書いてみたい
私は
今
幸せです、と。
お読みくださりありがとうございました。
エピローグに続きます。




