#3 第十話 初戦、ファビア対ルビオ!
「二本目、始めっ!」
サイラスの号令と同時に、再び対峙する両者。
ファビア、再び剣を構える。
「すっかり騙されたぞ!このやろうっ!」
ルビオは短刀に戻して応戦。
ニヤリと、不敵な笑みを浮かべる。
「カルロス直伝、道化師の戦い、みせてやるよ!」
「とおおおっ!」
後がないファビア、一気に仕掛ける。
カアン!カンッ!カンッ!
流れるように剣を打ち込む。
再びルビオは低い姿勢から、ファビアの連続技をさばいてカウンターを狙う。相手の仕掛けを知りながらも、ファビアは戦い方を変えない。
ザッ!
再び、ファビアは半歩だけ体を引き、間合いを取る。そして、短刀のリーチ外から大きく振りかぶり、勝負を決めにかかる。
ルビオ、再びカウンターのチャンス。
「……いける!」
カチャッ!
ギミックを動かして剣を伸ばし、小さなモーションで斬りつける!
ヒュンッ!
(……?)
ルビオの仕掛け剣が空を切る。
ファビアは、カウンターを見越して、踏み込む寸前で動きを一瞬止めていた!
スパアアッ!
今度は、ファビアが無防備になった横腹に剣を打ち込む!一瞬の間、カウンター返しで逆襲!
「ファビア、一本!」
サイラスの声が響く。
初戦から行き詰まる攻防!
「わああああっ!」
観衆からも歓声が湧き上がる。
「あわわ……すごい事なってるわね……」
審査員席のユイノ、メアリーもその迫力に圧倒される。
…………
再びサイラスの号令。
「三本目、始め!」
「おおおっ!」
「それいっ!」
最後の一本は、小細工なし!
ファビアは流れるような連続技でルビオを追い立てる。 もはや、仕掛け剣は通用しない!ルビオも長剣を振りかざして必死に応戦するが、正面からの攻防では、実力差は明らかだ。
カアン!キイン!
ファビア、流れるような連続技。
「うああっ!」
カアアン!
カラ……カラ……
ファビアが真横から切りつける。ルビオは応戦するが、受けきれない!仕掛け剣が跳ね飛ばされて宙を舞い、乾いた音を立てなが地面に転がる。
「勝負あり!一回戦、ファビア勝利!」
「オオオオ!」
大歓声が会場を包み込む。
試合後のファビア、ルビオの肩を軽く叩いて声をかける。
「いやいや、負けるかとおもった!」
「ちくしょ〜いけると思ったのにっ!」
「何度もひっかかる訳ないっしょ!ていうか、二本目はひっかかったふり、だからね!」
「やられた〜!次また違うネタ用意するぜ!」
「おうっ!」
試合が終わればノーサイド、特にかっこいい決めゼリフとかもなし!いつも通り、仲間と軽口を叩きあいながら、控室の小屋に戻る。
観衆からは、二人に惜しみない拍手が贈られる。




