#3 第四話 トーナメントの景品
ビアンカ村の短い夏のとある日、今日も日が暮れ、酒場シベリアに人が集まる。
「いらっしゃい!」
ユイノはいつもの、明るい掛け声で皆をお出迎え。
明日は休日!皆、思い思いの時を過ごして、一日の疲れを癒す。
マッチョ兄弟はいつも通り、生卵をグラスに注いで一気飲み!
「生卵の栄養が、筋肉に行き渡るのだ!」
彼らのパワーに憧れるファビア、今日は意を決して話しかける。
「そ……そうなのか?」
「ファビアも、飲んでみればいいぞ!」
リオネルが、グラスに生卵をぽとぽとと割り入れる。
「は……はい……」
(これで……おれもマッチョに!)
そして一気に飲みほす!
「う……うええええっ……」
ごくり
「き……きもちわるいっ…」
(ごめん、おれには無理だ……)
ファビア、マッチョ化計画、早々に断念!
奥のテーブルでは、道化師ルビオがシラバスに付きっきりで、マジックの特訓。
「むむむむん!」
ポン!
ルビオの手のひらから花が!
「すごいです!」
素直なシラバス、眼を輝かせる。
ルビオは、シラバスにその花を差しだす。
そして次に、色とりどりの旗がするすると出現!
「ふふふ、このマジックは好きな人ができた時にとっておきな!」
「はい!そうします!」
素朴なシラバスに……いったい、何を教えてるんだ……??
カウンターでは、クレア姫、セリーナ姫の姉妹が珍しく並んでちょこんと座り、ユイノとのトークに花を咲かせる。
クレア姫がうっとりした表情で切り出す。
「結婚式のマリー姉さん、キレイだったな〜」
ユイノが返す。
「あら、結婚したくなっちゃった?」
「いやいやいや、考えらんない!」
セリーナ姫もため息まじりにつぶやく。
「なんか、全然そんな感じにならないのよねー」
……
一瞬の沈黙。
そこでユイノが姉妹に語り始める。
「とにかくねっ、男ってみんな、お子ちゃまだから!厳しく育てないと、前に進まないわよ!」
熱心に聞き入るプリンセス姉妹。
「ふんふん、ふんふん。」
声を揃えてうなずく。
「でも、厳しくしすぎるとすねちゃうから、時折優しくするの。そうね〜、厳しさ9、優しさ1くらいの割合がいいわよ!」
「勉強になる〜」
男性陣がなんか可哀想に思えてきた……
なんだかんだで、賑やかなビアンカ村、夏の夜!
カランカラン……
ドアの呼び鈴と共に、サイラスが遅れてやってくる。
「すまん、おそくなった!」
そして、皆の前で声を張り上げる。
「みんな!聞いてくれ!ブリキ・トーナメントの景品が決まったぞ!」
「おおおおっ、待ってました!」
店内の一同、沸き立つ。
「いろいろあるぞ!小麦、酒、肉……」
サイラスが読み上げる。なかなか豪華!
そして、最後にサイラス、姫たちををちらりと見て、付け加える。
「最後はちょっと変わり種だ。」
サイラスが小さな紙切れを取り出して、掲げる。
「教会での結婚式、無料券だ!」
「えええっ!」
クレア姫とセリーナ姫、お互い顔を見合わせる。
サイラスが得意げに語る。
「この券があれば、教会で挙げる結婚式、まるっと無料になるぞ!」
……そもそも、銀貨いるんだっけ……
さらに付け加える。
「ただし、有効期限あるから気をつけろよ!半年以内に式を挙げる事!以上だ!」
「あわわわ……」
ファビア、シリウス、クレア姫、セリーナ姫の視線が交錯する。
(こ…これは……優勝した後の方がプレッシャーでかいんじゃ……)
(万一、優勝したらどうしよ……)
ファビアとシリウス、ヒソヒソとつぶやく。
こうして、ビアンカ村、夏の夜は更けてゆく。




