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【第三部】第一話 二つの提案

結婚式を終えて、ビアンカ村に日常が戻る。

訓練を終えたファビアたちが、今日も酒場シベリアに集う。


「いらっしゃい!」

ユイノの弾けるような声に迎えられ、皆でテーブルを囲む。


「おまちどうさま!」

ユイノがテーブルに酒と料理を運んでくる。半分くらいは、頼んでないモノだったりするが……誰も気にしない!


今日は、エレニア軍の方針などについて話し合う日。何を目的に?それを目指して何をすべきか?サイラスは、皆との会話を怠らない。全員で話し合い、同じ目的に向かう。それもまたエレニア軍、強さの秘訣。


サイラスがまず切り出す。

「この半年、基礎訓練と模擬戦を繰り返してきた。皆の体力、技量ともにレベルアップしてるぞ!」

ファビアも同調する。

「クレア姫、マッチョ兄弟たちも凄い戦力だ!」

ちらりとテーブルの奥に座るリオネル、ライネルに視線を向ける。


……!

リオネルとライネル、大量の生卵をテーブルに並べて、大きなグラスにぽとぽとと放り込む!

……そして、一気に飲み干す!


(……これは……触れない方が良さそうだ)

そっと、視線をそらす。


気を取り直して議論を続ける。

ここで、ファビアは漠然と抱いていた不安を明かす。

「……しかし、エレニア軍の総勢、わずか30人に過ぎない。これで、シャフタル帝国や東の大国から村を守れるのだろうか。」


シリウスも議論に加わる。

「そうだな…険しいユピテル山脈を越えて、侵攻を受ける事なんてありうるのか……ただ、ファビアの悪い予感は、大抵当たるんだよなあ。」


サイラスが答える。

「最悪の事態を想定しておくのは、国防の基本だ。ファビアの不安はよく理解できる。それに関して、二つ提案がある。」

ファビアが身を乗り出す。

「ぜひ聞かせて欲しい!」


サイラスが落ち着いた口調で話す。

「まず一つは、情報だ。ユピテル山脈の向こうで、何が起きているか知りたい。それから、ビアンカ村周辺の地理。険しい自然は、侵攻を受けた時の砦となる。地図を作って、防衛計画を立てるのだ。」


シリウス、深くうなずいて、応える。

「その通りだ!調査隊を組もう。アルテリアにはカルロスがいる。それから……村周辺の地理については、シモンズに相談しよう。彼らはある程度、この地に詳しいはずだ。」


ファビアの表情が明るくなる。

「さすがシリウス!あともう一つは?」

サイラスが答える。

「もう一つは、圧倒的な、個々の武の力を鍛える事だ。」

「武の力?」

「そうだ。この人数で、数千、数万の敵と対峙しないといけないのだ。それを切り開くのは、戦術でも戦略でもない。ただ、圧倒的な個人の力だ。」

「……」


一同、息を呑んでサイラスの言葉を待つ。

「エレニアでは、武の力、これを「武力(ブリキ)」と呼ぶ。次の収穫祭で、一対一のトーナメント形式で模擬戦を行い、ブリキのナンバーワンを決めるのだ!」

思いがけない提案に、一同ざわめく。


「優勝者には豪華景品を出すぞ!それに向けた鍛錬が、個々のブリキを大きく引き上げるのだ!」


「おおおっ!」

「それは熱い!」


一同、大いに盛り上がる。


北の果てで、エレニア軍、着実に進化する!



――――――



激動のアゼニア大陸、想像を絶する困難を乗り越えてきたファビアたち。その経験が、さらなる困難に備えて進化する力を与えます。


そして、その判断は、エレニアに新しい道を切り開く事になるのです。ビアンカ村での鍛錬の日々、もうしばらくお付き合いください。



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