第十八話 またもや作戦会議
ひとしきり盛り上がった後、ユイノがまとめる。
「じゃあ、さっそく今日ね!奥の部屋、空けとくから!」
マリー、緊張した表情でうなずく。
「それじゃ、ニコラスの晩ご飯用意した後、戻るわ。」
そう言い残して、一旦家へ帰る。
セリーナ姫とユイノ、カウンター越しに向かいあって、作戦を立てる。
セリーナ姫がまず口を開く。
「シリウスの時の作戦、完璧だったからね!今回も綿密な計画立てるわよ!」
そうだったっけ……
ユイノが軽口をたたく。
「また、カール呼んでくる?」
「いやいや、さすがにおかしいでしょ!」
「きゃはははっ!」
明らかに楽しんでるようだ……
しかし、恋の名プランナー、ユイノ、ここで真剣な表情に!
「いい?ユイノ。今回は、酒の力をうまく借りるわよ。」
「……?」
人差し指を立てて、突き出す。
「ポイントは量よ!一杯。一杯だけ、サイラスに飲ませるのよ。」
「……どうして一杯?」
「サイラスって、ああ見えて、あんまり強くないのよ。最初に強めの酒を一杯あおると、すぐに上機嫌になるわ!」
さすが客をよく観察してる!セリーナ姫、うなずいて聞き入る。
「ふん、ふん」
「ただ、問題はその後よ。二杯目から、酔ってわけわかんなくなっちゃうの。だから、絶対に、一杯目を飲み切ったすぐ後に、切り出すの。」
「ユイノ〜おぬし、策士じゃのう!!」
興奮したセリーナ姫、なんか変な口調で答える。ユイノ、さらに説明を続ける。
「……あとは、マリーさん、言いたいコト言うのが苦手なタイプだから、その時は私たちが全力でサポートするわよ!」
「責任重大ね……」
セリーナ姫の表情が引き締まる。
「今日はとっておきのお酒を用意するわ!」
そう言って、テーブルのグラスに透明なお酒を注ぐ。
「ウオッカっていうお酒。白樺の炭を使って作るらしいの。おいしいわよ。」
セリーナ姫、ちびりと口に含む。
「おおおおっ……なかなかくるわね。」
準備は完璧!……たぶん。
そうこうしてるうちに、すっかり日が暮れ、ユイノ、慌ただしく開店の準備。セリーナ姫もお手伝い。
酒場シベリア、今日も元気に営業開始!




