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第十二話 プリンセス参戦!

グラティア湖の南、徐々に冷たくなる風に、迫る冬の予感。エレニア軍の面々が今日も草原に集まる。


「おはよう、兄貴!」

「おう!ライネル!」

マッチョ兄弟は、会うなり肩や腕の筋肉もりもりのポージングで、挨拶を交わす。

「今日も引き締まってるぞ!」

「二の腕、昨日より太くなったな!」


なんか、お互いの筋肉に語りかけてる……

ファビアが、恐る恐るたずねる。

「えーと、お、おはよう……何、やってんの?」

リオネルが勢いよく答える。

「筋肉に語りかけてるのだ!筋肉は、愛情によって造られる!だから、毎日のケアが欠かせないのだ!」

そして、兄弟で声を重ねる。

「筋肉は、友達だからな!」

……

「お……おおう、そうだな……」

ファビア、話しかけた事をちょびっと後悔…


その時、遊歩道から草原に近づいてくる男女の姿。その手には、鮮やかなオレンジ色の大槍。


一同、ざわめいた後、二人に駆け寄る。

「シリウス!」

「おおっ!クレア姫!」

「姫様!よくぞ来られた!」


たちまち、二人の周りに人の輪ができる。

「あ……はは、ありがと…」

クレア姫、恥ずかしそうにうつむく。


サイラスが二人の前に歩み出て、ファビアの肩をがっちり掴む。

「よくやった!上出来だぞ!」

そして、クレア姫にも声をかける。

「ようこそ!エレニア軍へ!……おお……これは!懐かしい!ビアンカ女王の槍!とても、お似合いだ!」

クレア姫、一礼して照れ笑いを浮かべる。


そして、向き直って、一同の前で高らかに宣言する。

「これで全員揃ったな!訓練始めるぞ!」

「おおっ!」


「全員、整列!」

クレア姫も、二列縦隊の最後尾、キャシーの後ろにちょこんと加わる。心配したシリウス、隣の列の最後尾につける。

(エレニア軍の、走り込みは尋常じゃない。大丈夫だろうか……)


「全員、進め!」

ザッ、ザッ、ザッ!

整然とした足音が草原に響く。

徐々に速度が上がり、やがて全力疾走に近い速度に達する。それを、何十分と繰り返すのだ!


ハア、ハア、ハア

シリウスも、必死でくらいつく。

ちらりと横の列、クレア姫の様子を伺う。


「…………?」

タッ、タッ、タッ

隣のクレア姫、軽やかな足取りで駆けていく。

遅れるどころか、涼しげな表情。


「え……えっ、ええ?」

息も絶え絶えのシリウス、呆然と後を追う。


「隊列止まれ!休憩だ!」

サイラスの号令で、皆草原にへたり込む。


ハア、ハア、ハア

「今日もきつかった……」

シリウスも荒い息を整える。

クレア姫がやってきて、シリウスの顔を覗き込む。

「朝から走るのって、気持ちいいね!」

「ゼェ、ゼェ、お……おう、そうだな……」

(えええ!何か平気そうなんですけど……)

シリウスの隣で座り込んでいたキャシーが、体を寄せて耳打ちする。

「知ってる?クレア姫、村に来てから毎日、早朝にずっとグラティア湖の湖畔を、走ってたのよ。」

「……!!」

「サイラスの軍隊、特訓の話を聞いてから、ずっと……」

「そ……そうだったのか……」

「ていうか……アンタより速いんじゃない?」

「う……うぐ……そうかも……」



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