第六話 作戦会議ふたたび
「いらっしゃいっ!」
ユイノの掛け声と共に、酒場シベリアに人が集う。
カウンターには、シリウスを挟んで、今日も左右にセリーナ姫とファビア。
カウンター越しのユイノを交えて、ファビアが事の顛末を説明する。
ユイノがつぶやく。
「そ…それは…なかなか難しいミッションね。」
ファビアがセリーナ姫にたずねる。
「それはそうと……いまクレア姫はどんな感じなの?あまり見かけないけど。」
……
セリーナ姫、少しためらいがちに答える。
「時々お店には出るけど、あとは引きこもってるわよ……シリウスも、ファビアも、だっいっきらい!って言ってる……」
ファビア、思わず愚痴る。
「えええっ、なんでオレまで…」
ユイノが腕を組んで、考える。
「そうね……とにかく、話すきっかけを作らないと。……えーと、そうね、"Wデート"とかどう!?」
「……!!?」
一同、きょとんとしてユイノの顔を見る。
「グラティア湖のほとりに、大きな白樺の木があるじゃん?ファビアとシリウス、クレア姫とセリーナ姫、それぞれ、散歩にでかけて、木の下でばったり出会うの!」
セリーナ姫、思わず声を上げる。
「えええっ!……ちょっとロマンチックかも…」
ユイノが続ける。
「で、しばらく4人ですごした後、シリウスとクレア姫、ファビアとセリーナ姫の二組に分かれるって事!」
ファビアもうなずいて、ユイノに尋ねる。
「いいかも!……で、その後は?」
「その先は知らないわよ!後はシリウスが頑張るだけ!」
シリウスの目に緊張が走る。
クレア姫も身を乗り出す。
「やってみましょう!さっそく、明日!クレア姫を連れ出す方法は何とか考えるから!」
大まかな時間だけ決めて、皆解散する。
この時、ファビアは別の意味でちょびっと緊張していた。
(Wデートってことは……セリーナ姫と??)
なぜか胸が高鳴る。
ファビアもまた、セリーナ姫の事、ちょびっと気にかけてるのかも……




