第三話 涙のプリンセス
「うわああああん!」
「クレア姫!お待ちください!」
朝食の準備に慌ただしいビアンカ村の大通りを、涙ながらに駆け抜けるプリンセスと、追いかける剣士。なかなかレアな光景に、村人たちも目を見開く。
……
「ふんふんふん〜ドは泥だんごのド〜、レはレンコンのレ〜」
セリーナ姫は、変な鼻歌を歌いながら道端をほうきでお掃除中。その姿を見つけたクレア姫、一目散に駆け寄る!
「うわああん!セリーナっ!」
「きゃあああっ!」
クレア姫、思いっきりセリーナ姫に抱きつく。
「お姉さま!いったい、何事で……」
「うああん!シリウスが、シリウスが……グズ……びどいい、ぶああっ!」
涙声で、いまいち聞き取れない……
しかし、超鈍感男のシリウスが何かやらかした事だけはよくわかった。
そして、キャシーから詳しく事の顛末を聞く。
「そ……それはやばいわね…」
セリーナ姫もさすがにあきれる。
「シリウスも、ファビアも、みんな大っ嫌い!」
なぜかファビアまで…
しかし、幾度となくクレア姫の困難を支えてきたセリーナ姫、決してあきらめない!(…何を?)
毅然とクレア姫に助言する。
「お姉様!シリウスは、絶望的に女心がわからない男。これは、神様が与えた恋の試練なのです!一緒に、乗り越えましょう!」
…………
ようやく落ち着いてきたクレア姫、ぼそっとつぶやく。
(いや、いや、マジで、無理なんですけど……)




