第五十六話 【曲+歌詞あり】自由への道
ザッ、ザッ、ザッ
ファーゴ村から歩き続けること数日。
クレア姫、ファビアたち北へ向かう一行は、細い道を辿ってゆく。やがてその道は東に曲がっていき、やがてエレニアから北に向かう道と合流する。
そう、それはファビアたちが城を追われて落ち延びた、あの道。その先は、水没した初めての拠点へ繋がる。
しかし、あの時のような悲壮感はない。それは希望に満ちた行軍。皆の顔には笑顔が浮かび、旅の疲れはみじんも感じさせない。
陽気なサイラスは、いつも誰かと絡んでる。
「ファビア!お前、エルゲンにやられた時……尻もちついて、"やべえ!"とか言ってたよな!」
「……!」
「将たるもの、そんな事いうんじゃねえぞ!」
「いやいや、言ってない!あれは、心の声が漏れただけだ!」
「めちゃ言ってるじゃん!」
「おれも聞いたぞ!」
ザガットやカリオスたちもはやし立てる。
ファビアもだまってられない!
「サイラスこそ、エルゲン最初の一撃で吹っ飛んだよな!」
「あれは……たまたま、片膝が地面についただけだ!」
サイラスの反論、相変わらず大人気ない……
道中賑やかに、北の大地を歩んでいく。
その一方、列の後方ではクレア姫たちが女子トークに花を咲かせる。
セリーナ姫が、クレア姫に何やらボソボソ話しかける。
「お姉さま!わたくしが思うに……シリウス、ぜーったい、あなたに気があるわよ。」
クレア姫が目を丸くして応える。
「えええええっ!ないない、ぜーったいない!」
従者たちもすかさず会話に加わり、メアリーがたたみかける。
「わたくし、ファーゴ村でファビアたちを出迎えた夜、小屋の窓から、仲むつまじく語り合う二人の姿を、じっと見守っておりました……」
「ちょ、ちょ!語り合ってないし!しかも何こっそり見てるのよ!」
セリーナ姫が真剣な表情で諭す。
「お姉さま!シリウスは、絶望的に女心がわからない男なのです。うまくリードしないと、恋は進みません!」
クレア姫は顔を真っ赤にして反論!
「いやいやいや、ぜんっぜん、興味ないから!そもそもシリウスは、パイの事しか考えてないんだから!」
またまた、ベルモントの取引所でシリウスの放った言葉で大盛りあがり!
「この……パイ……やきたて……ですか……?」
(ビアンカ村に着いたら、いーっぱい、焼いてあげるわよ!)
(……あ、でも、シリウスのためじゃないからね!みんなのために焼くんだから!)
そんなこんなで、賑やかなエレニアの一行、北へと向かう!
――
希望に満ちたエレニアの一行、いよいよビアンカ村へと凱旋します。
カルロスの楽団から楽器を引き継いだ一行は、道中、その祝福を神様に捧げる曲を奏でます。
ぜひご一聴くださいませ。
https://suno.com/song/1a737bf5-0954-432d-ad8c-fb7cfc9e924e
神様に捧げる祝福
作詞:さくらまりお
作曲:suno
[verse1]
大いなる試練
果てしない苦難
どれほどの傷が
刻まれたのかな
[verse2]
心をひとつに
仲間と乗りこえる
固いいしときずな
それは山さえ動かす
[chorus]
きせきがおきる
すべてのりこえた
神様に祝福をささげましょう
[verse3]
あれくるうあらし
おおいつくすやみ
先の見えないなか
祈りをささげる
[verse4]
嵐はいずれおさまる
明けない夜はない
未来だけをしんじて
祈りをささげる
[bridge]
死神が手を伸ばす
その手をふりはらう
そしてうちやぶる
[chorus]
きせきがおきる
すべてのりこえた
神様に祝福をささげましょう
[chorus]
きせきがおきる
すべてのりこえた
神様に祝福をささげましょう




