表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/123

第五話 帝国軍の出陣

冬が過ぎ、エレニアは春を迎える。


エルゲン将軍率いる帝国軍は、群青色の甲冑に身を包み、総勢5万人もの大軍で、エレニアに向けて進軍する。


収穫祭以来、帝国の動きを監視していた、エレニアの将軍ファルカンも、すぐにその動きを察知する。


女王ビアンカの元に届く伝令に、悲壮感が漂う。

「ついにこの日が、きたか……ファルカン!全軍を持ってシャフタル帝国軍を阻止せよ!」

「お任せください!」

ファルカン将軍は、すぐさま、王国軍を城下の草原に結集させる。


帝国軍は、国境を守るエレニア兵を瞬く間に蹴散らし、城下の草原、南側に5万の兵を結集させる。


この草原を駆け上がれば、その先にはすぐにエレニア城。その行手に、エレニア軍が陣取る。


ファルカン将軍率いる王国軍は総勢わずか8千人。しかし、エレニアを愛する王国軍の士気は高く、怯む者はいない。


エレニア城の前に広がる草原は、一見なだらかな丘が続くだけに見えるが……

そこは、大きななすり鉢状になっており、城に向かうには一回丘を駆け下り、そのあと駆け登る必要があった。


その、なんでもない、しかし特徴的な地形は、ここでしか通用しない、独特の戦術を生み出す。

いにしえの、伝統の戦法。

ファルカン将軍は、それに賭ける。


「全軍進撃せよ!エレニア城は目の前だ!」

エルゲン将軍が叫び、大軍が一斉に坂を駆け降りる。


その瞬間!迎え撃つために進軍する!

……と思われたファルカン将軍は、両腕を大きく左右に広げる。

「全軍、両翼に散れ!」

エレニア兵は、突然横を向いて、左右に大きく展開。

すり鉢の山から帝国軍を囲む位置に,すばやく移動する。

何度も訓練を繰り返した、練度の高い行軍だ。


帝国軍先頭の騎馬兵が、すり鉢の底に辿り着き、丘を登ろうとする時……

ここに、わずかだが、崖のように急峻な箇所がある。

これが天然の要塞として立ち塞がり、隊列が一瞬乱れる。

特に騎馬兵。落ち着けば、普通に通れるルートはあるのだが、5万人もの兵士が流れ込んでくるため、たちまちすり鉢の底は兵士の渋滞を起こす。


そして、丘を登るため隊列が横に広がり始めた瞬間!

「全軍、突撃せよ!」

ファルカンが雄叫びを上げながら、坂を,駆け下りる。


すり鉢を取り巻くエレニア軍が、すり鉢の底で渋滞する帝国軍に、一斉に、四方八方から襲いかかる。

「うおおおおおおっ!」


エレニア軍は、混乱に陥る帝国軍をなぎ倒しながら、一斉に坂を駆け降りる。


帝国軍の兵士たちは、統率を失い、徐々に後退していく。


完全にエレニア軍が押している!

奇跡が,起きるのか!?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ