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第四十一話 反省と進化

さらに20日ほど日が過ぎ……

河原で何度も、両翼陣形の形を繰り返す。いきなり始まった、実戦さながらの訓練。皆の顔に、興奮と緊張が入り混じる。


大祭まで70日。

カルロスや楽団たちは、山車など祭列の準備を進める。

怪しまれないように、細心の注意を払う。

特に芸のないエレニア兵たちがパレード列に入ると違和感がある。

それに、多くの大衆が集まる中、さすがにサイラスやファビアの顔を知る者がいてもおかしくない。


そこで、エレニア兵5人を山車の引き手にして、残り5人は、武器と共に山車の中に潜ませる事にする。


山車は最後に、裏門を塞ぐ役割も担う予定だ。

カルロスは残りの銀貨を使い切り、一世一代の完璧な山車を作り上げる!


さらに10日が過ぎ、残り60日を切る。

訓練と準備も、いよいよ大詰めを迎える。


その日、酒場でファビア、サイラス、シリウスやエレニア兵の主力メンバーたちは、本番が迫る中、戦術訓練について、最後の詰めを話し合う。


まずサイラスがテーブルを囲んで練習の統括をする。

「戦術練習が始まって30日ほど。基本的な戦術は何度も繰り返し、皆よく付いてきている。かなり練度も高くなってきた。」

シリウスが答える。

「そうだな、この調子であと2ヶ月、さらに繰り返せば完璧になりそうだ!」


少し間が空いた後、ファビアが問いかける。


「俺は、少し違和感がある。」

「どこに?」

「……具体的にはわからないけど……でも何か、違和感があるんだ。」

将軍ファルカンの血なのか、本能で感じる事があるのだ。

皆がけげんな顔をする中、シリウスが問いかける。

「そういえば、最初の拠点でも同じセリフ聞いたぞ。こいつは、自分でもわかってないけど、何か危険を察する事があるんだ。」

「…………」

その正体がみな掴めない中、沈黙が流れる。

その時、ファビアがふと思い出したようにつぶやく。


「その……草原の戦いの事なんだが……」

言いにくそうに口ごもる。


シリウスが助け船を入れる。

「何でもいいから言えよ。」

「……サイラスに聞きたいんだ。どうして、エレニア軍は負けたんだ?」

「!!」

シリウスが慌てて答える。

「5万対8千だぜ?負けて当然だろ。」

………

……

少しの沈黙のあと、サイラスが重い口を開く。

「そうではない。俺たちの、戦術ミスなんだ。」

意外な言葉に、一同の視線がサイラスに向く。

サイラスはそのまま話を続ける。


「両翼陣形は成功して4万もの兵を打ち倒し、我々は勝利目前だった。しかし、敵将エルゲンは1万の兵を温存してたのだ。新たに現れた1万の兵に、俺たちは何の策もなく正面から戦い、敗れた。」


皆の顔に緊張が走る。ファビアが声を上げる。

「それだ!違和感の正体は。……たぶん。」


サイラスが応える。

「そう言えば、確かにそうだ。すり鉢の底以外に敵がいる事は全く想定してなかった。凝った戦術は、想定外の事態に弱い。」

シリウスも議論に加わる。

「確かにそうだ。……例えば今回……地下に敵がいなかったら……?」

……


少し考えた後、ファビアが口を開く。

「主力が正門前にいる、とか後から増援がくる、とか色んなケースを想定して訓練する必要がある。」

ファビアはさらに続ける。


「両翼陣形は、満遍なく兵を配置できるから、本来はあらゆる戦況に対応できるはず。問題は、冷静に、臨機応変に動けるかどうかだ!」


サイラスが声を張って同意する。

「その通りだ。明日から訓練内容を組み直そう。俺が、あらゆるケースを想定した配置を考える。そして、適切な状況判断ができるまで、模擬戦を繰り返す!」


全員、声を重ねて応じる。

「おう!!」


ファルカン将軍が築き上げた、エレニア軍伝統の戦術。今、若き指揮官たちの手でさらに進化する!





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