第四十話 戦術訓練始まる!
翌日、秋深まる中での河原。
まだ日は暗い中、兵士や道化師たちが集まる。
サイラスが皆を集めて、編成と作戦を伝える。
「今までよくついてきてくれた!走るのはもう十分だ。今日からは、実戦を想定した訓練に入るぞ。」
皆がざわめく。
「まずは部隊編成だ。左翼!」
ファビア、ブラント、ルビオ……計8名。
「続いて右翼!」
シリウス、ザガット、セレシオ……計8名。
「そして中央。」
サイラス、カリオス、…………計8名。
「最後に楽団」
カルロス以下、計6名
総勢30名、朝焼けの河原に整列し、楽団が進撃の行進曲を奏でる。
河原には、城と同じ大きさに石灰で描いた線が引かれている。本番と全く同じ陣形での訓練が始まる。
サイラスが、各リーダーに細かい位置の指示を出す。
各部隊整列して、門の位置から中に入ってく。
サイラスがテンポ良く指示を出す。
「全軍、進め!!」「両翼、展開!」「両翼止まれ!」
「中央、全速前進!」
「両翼、全速前進!」
サイラスの部隊が中央から地下に向かう。そこで、両翼の指揮が切り替わる。
ファビアは左翼8名に指示を出す。
「前進!裏へ走り抜け!」
白線は、ほぼ実寸で引かれている。ちょうど裏に抜けた所でファビアは再び指示を出す。
「反転!反転!裏門から地下に入れ!」
初めての戦術訓練とは思えないスピードで、整然と部隊が動く。ひたすら走り続けた基礎練習が、ここで活きる!
中央で合流した3部隊、ここで互いを仮想敵とみなしての模擬戦が始まる。
中央の指揮官サイラスが、木製の模擬剣を振り下ろす。
右翼の先陣ファビアも、剣で受け止める!
「うおおおおっ!」
「おりゃあああっ!」
カアアァン!!
木が擦れ合う乾いた音が響きわたる。その瞬間、ファビアの剣は弾かれて空を舞い、体が吹き飛ぶ。
「おおおおっ!」
その瞬間!すぐ後方に構えていたザガットが、まだ体制の整ってないサイラスに剣を打ち込む!
「うおおっ!」
今度はサイラスの剣が中を舞う!
剣を飛ばされて呆然とするファビアに、ザガットがニヤリと笑って諭す。
「一騎打ちの勝ち負けなんかどうでもいいんだ!全員で、戦って、最後に勝てばいいんだよ!」
各部隊に配属された、ファルカンの教え子たち。
若き両翼に、戦闘のイロハを叩き込む!




