第三十九話 作戦会議
夏が過ぎ、秋が来る。
日は徐々に短くなり、訓練が始まる時間は、まだ辺りは真っ暗だ。
楽団の行進曲が鳴り響く中、何度か河原を往復する。やがて日が登り、朝焼けで空が赤く染まる。川面がキラキラと赤く瞬き、美しい風景が広がる。
サイラスを信じて、ひたすら走る。
カリオスたち、新たに合流した元兵士たちも練習に加わる。さすがファルカン将軍の教え子たち、スピードが尋常でない。隊列を先導し、猛烈なスピードで走る。
ファビア達は、必死で彼らに食らいつく。
練習のギアが一段上がる!
そして、さらに時が経ち、大祭まで残り100日を切った頃合いの、練習終わりの酒場。
いつも通り、ひとしきり盛り上がったのち、サイラス、元兵士たち、ファビア、シリウス、カルロスが店に残り、入念な打ち合わせを重ねる。
まずは部隊編成。サイラスが作戦の細部を詰める。
「中央から地下にかけて……特に地下は、道が狭く、先端は一騎打ちに近い。個人の戦闘能力がものを言う。俺とカリオスが先頭にたち、二列縦隊で進む。メンバーも、元兵士で固める。地下室に着いたら、姫たちを取り囲み、守りながら扉を破って裏へ抜ける!」
カリオスがうなずく。
「次に左翼。ファビアが率いろ。そして右翼。こちらは、シリウスだ。両翼は、ルビオ達若手を中心に編成する。こっちはスピード重視だ。」
ファビア、シリウスがうなずく。
「主戦場は地下だ。裏から地下に合流して、姫たちの護衛にあたる。地上の敵は、多少無視しても大丈夫だ。」
そして、カルロスに向かって話す。
「カルロスは、楽団を率いて、山車を裏門まで移動させてくれ。山車は、正門はくぐれるが、小さな裏門からは出られない大きさにする。全員脱出したら、山車を引っ張って、裏口を塞ぐ。」
さらに続ける。
「走るのは、今日で終わりだ。明日の訓練で編成を全員に伝える。戦闘訓練に入るぞ。俺たち元兵士は各部隊に分かれて、徹底的に鍛える!」
皆の眼に緊張が走る。
ファビアが拳を突き出す。
「よし、やろう!」
「おう!!」
全員でコツンと拳をかさねる。
エレニアの大祭まで、90日……!
遂に奪還計画の全容が見えてきます。
しかし、戦場では予想外の事が起きるのが世の常。
うまくいくのでしょうか……
いよいよ、物語はクライマックスへ向かいます。




