第三十一章 最後のピース
情報は一通り集まった!
しかし、最大の、そして肝心のピースが足りない。
人だ。それも屈強な兵士。
大祭まであと180日ほど。いつもマイペースなファビアの眼にも、さすがに焦りが見える。
いつもの酒場で、ファビア、シリウス、カルロスが集まって作戦会議を繰り返すが、完全に行き詰まっている。
そんなある日、びっくりするような大声が響く。
「エレニア軍副将、サイラスだ!極秘任務のためここに来た!誰かいるか!」
……!
なんか、めちゃ怪しい人がきた……!
大声で極秘任務、とか叫ぶバカ……!
身構えるファビア、一瞬耳を疑う。
え!?サ……サイラス……!?
伝説の将軍ファルカンの右翼!
そして、今は亡きニコルの夫。
そして、ニコラスの父親!
生きていたのか!!
みな一斉に、大声のもとへ駆け寄る。
「副将サイラス!サイラスだ!」
「おおお、ファビア!」
再会を喜んで抱き合う。
ちょっとバカだけど陽気なサイラスは、皆の人気者。
しかも、今一番必要な、戦争のプロ!
皆の表情が、一気に明るくなる。
カルロスが少し警戒しながら尋ねる。
「ところで……ここは極秘のアジト。どうしてここを知ったのですか?」
サイラスは得意気に語る。
「酒場で飲んでたら、なんか知らないおっさんが横に座って、教えてくれたのだ!」
「…………」
…………
それが帝国軍幹部、ルドルフである事は、誰も知らない……