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第二十九章 情報が集まる

シリウスは、着々と情報を集める。特に一番の難関、正門について有力な情報を得る。

年に一度、春の大祭。ベルモントの住人によると、この日だけ、正門が開かれて、祭の隊列を城に招き入れるというのだ。


何でも、この日はルーサー王が、すべての民に娯楽を与えるよう勅命を出すのだ。


この日しかない!

幸い、ここには道化師たち、娯楽のプロがいる!


早速シリウスは、カルロスに切り出す。


「カルロス、よく聞いてくれ。君たちの力が必要だ。大祭の当日だ。一年で唯一、正門が開かれ、祭りの楽団が中に入るチャンスがある。」

「それは私どもも聞いた事があります。祭の隊列は当日、アルテリア中央の広場に集まり、その後首都の端から端まで、思い思いの方向に向かって進みます。」

「我々も隊列を出そう!」


カルロスは胸をドンと叩いて応える。

「お任せあれ!広場を出て、まっすぐベルモント城に向かう。最高の音楽を奏で、最高のショーを披露しながら、城内に入って見せましょう!」


徐々に計画が固まってくる。

だが、まだ最大の情報がたりない。ベルモント城の地図だ。侵入した後の作戦を立てるのに、絶対必要だ。


シリウスはカルロスに、肩を寄せて小声で話す。

「ベルモント城の地図は手に入らないのか?」

「古いとはいえ、現役の城です。その構造は国家機密ですぞ。」

「誰か忍びこめないのか。」

「だめです、危険過ぎます。」

万策尽き、二人して押し黙る。


その時、少し離れたテーブルでパラパラと古びた本をめくっていたファビアが突然声を上げる。


「おおーっ、ベルモント城の地下室、めちゃ広いな!」

二人は一瞬顔を見合わせた後、シリウスがファビアに噛みつく。

「お前、何読んでんだよ!」

「ベルモント城の地図。すげえ立派だぞ。」


「ち……ちょっと貸せ!」

シリウスが強引に本を奪い取り、本のタイトルを凝視する。そこには、こう書いてあった。


"アルテリアの歩き方"


「か……観光の本???」

慌ててページをめくる。

巻頭カラーの特集は……

"憧れの古城を行く。ベルモント城徹底解説!」


カラフルなイラスト入りの、すっごく細かい地図。

これで作戦が立てられる!


シリウスはカルロスを肘でつつく。

「おい、国家機密じゃなかったのかよ。」

「………」


ファビアはきょとんとして、話す。

「戦争の前まで観光地だった、って言ってたろ。その時代の古本には大抵乗ってるぞ。」

シリウスが突っ込む。

「……ていうか、お前、ひょっとして観光するつもりで買ったんじゃ……」

「いやいやいやいや!ちがう、ちがう!」


必死に否定するファビア。

めっちゃ怪しい……


とにかく、地図は手に入った!

プリンセス奪還に向けて大きな一歩!



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